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Summer Sonic 09 in Tokyo 08/09/09 【後編】

2009-08-15 | performance


Keane(キーン)が終わった直後、感動に浸る間も与えてくれずに、後ろからドドドーッと次のRazorlight(レイザーライト)目当てと思われる人たちがなだれ込んできて、私は移動するつもりなのに押されまくり、やっとのことで抜け出してブロックの後ろへ逃げた。あの行為は頂けなかったな・・・。
Razorlightは翌日の単独公演に行くので残っていなくても良かったのだが、スタジアムでプレイする姿をちょっと見ておきたかった。でもKeane終わりで出てメッセに向かえば良かった・・・と後でちょっと後悔するハメに・・・。
PAテントの前辺りで見たのだが、前方ブロックなのに後ろの方は相変わらずガラガラだった。本国ではスタジアム・クラスSold OutのRazorlightのことだから、もっとたくさんの人で溢れるもんだと思っていた。

【Razorlight】 16:00~ Marine Stage

メンバーが登場し、演奏が始まったが、Vo.のJohnny Borrell(ジョニー・ボーレル)はあとからゆっくりとお殿様ばりに登場。さすがだわ、Johnnyさん・・・。
しかも、腋が大きく開いたタンクトップにロング・スカーフ、スキニー・パンツといったいでたち。そして腕の筋肉だけでも、相変わらずの肉体美っぷりだった。
1曲目は 「Back To Start」。“oh,oh,oh~ohohoh~” が、あまり声が出ていなかった。それに、何だかJohnnyはイラ立っているようにも見えた。
今年の3月に、オリジナル・メンバーのAndy Burrows(アンディ・バロウズ)が抜けて、今年いっぱいはNY出身のドラムスが代役を務めているのだが、ヘヴィなビートを打ち出して振りも大きく、頑張っている姿をアピールしているようだったが、Andyの安定した存在感には代えがたかった。
それと気になったのが、やたらと高い台に立ってコーラスをしていたオヤジ。誰だ?って感じだった。
続いて 「In The Morning」 の躍動感のあるギターのカッティングが流れ、タテノリのこの曲の丁度良い速さとビートに体が自然と動き、広々としていたので周りを気にせずに踊れた。
そして、またまたギターのカッティングがカッコいい 「Stumble And Fall」 と続き、疾走感溢れるサビの展開に引き込まれた。
この頃からポツポツと雨が降ってきて、明日もあることだし、そろそろメッセに行こうと思い、「Golden Touch」 を聴きながらスタジアムを出た。


それにしても、ゲリラ豪雨というのはいきなりどしゃ降りになるもので、ロッカーから荷物を出している時にザーーーーッとものすごい雨に見舞われてしまった。
Keaneの時じゃなくて良かった~とつくづく思い、きっとあの激しい雨は “オレ様ジョニ様” が引き起こしたんだわ・・・と(勝手に)思った。
どうしよう・・・The Vaselines(ヴァセリンズ)に間に合わない・・・と思案していたら、傘を差した男の子達が中に走り込んできて、“今から中入るんで、邪魔になるんで、コレいる?” とビニ傘を差し出してくれた。なんて優しい奴らなんだ!感謝カンゲキ!
シャトルバスの列が結構長くなっていて15分ほど待たなければならなかったので、その傘は本当に有難かった。それでも下半身びしょ濡れの状態でバスに乗り込み、メッセに到着。
今度は私が “向こうに着いたら誰かに渡してあげてね” と言って、バス乗場に向かう女の子に傘をバトン・タッチしてから中に入った。
Sonic Stageはいちばん端っこで、入口は中央にしかないので遠い遠い。急いで歩いて行ったが時既に遅し。
The Vaselinesは終わっていて、Teenage Fanclub(ティーンエイジ・ファンクラブ、以下TFC)のサウンド・チェック中だった。 雨にさえ会わなければ、少しくらいは聴けていたかも・・・と悔やんだ。
Eugene Kelly(ユージン・ケリー)は、eugenius(ユージニアス)の94年の来日時に、単独とBig Star(ビッグ・スター)とのジョイントで2回見ているが、The Vaselinesでも見たかったな・・・。でも悔やんでも仕方ないし、TFCに間に合って何よりだった。
The Vaselinesを見ていたはずの友にメールしたが、終わったあとSonic Youth(ソニック・ユース)で戻ると言ってマリンに行ってしまっていたので、座り込んでいる人たちをかきわけ、早速立ち位置を探し求め歩いた。
家から凍らせて持って来ていたアクエリアスは、なんとまだ少し解けずに残っていたので、冷たいドリンクで喉を潤しつつ、ワクワクしながらTFCを待った。

【Teenage Fanclub】 16:55~ Sonic Stage

Keaneに次いで、今回のサマソニの私のメインがTFC。
2005年のサマソニではThe Black Crowes(ブラック・クロウズ)を最前で見たかったのでTFCを断念したが、その代わりにサマソニ前にサンフランシスコで見たので、ライヴは4年ぶりのTFC。
今回ドラムスは、TFCの前身バンドThe Boy Hairdressers(ボーイ・ヘアドレッサーズ)のメンバーだったグラスゴー音楽仲間のFrancis MacDonald(フランシス・マクドナルド)、そしてキーボードを加えた5人編成で登場。
昔からおっちゃん顔だったNorman(ノーマン)は(←ゴメンよNorman!)さほど変わってはいないが、Raymond(レイモンド)はいい歳の取り方をしてるなって思った。Gerry(ジェリー)もあまり変わっていない感じだ。
「It's All In My Mind」 でスタート。柔らかなメロディ、あったかいハーモニーに早くも癒され、自然と笑顔になる自分が居た。
TFCのライヴで何故か私はいつも、イントロを聴くだげで涙腺が緩んでしまうのだが、「Don't Look Back」 でまずやられた。歌に入るとこれまたGerryの優しくて甘い声に聴き惚れる。Gerryの声って、名前通り本当にラヴリーなのだ(彼の名前はGerard Love:ジェラルド・ラヴ)。
新曲を挟んで、RaymondがVo.の 「About You」。和むわ~。そしてめちゃくちゃ楽しい。そう、コレコレ。TFCのライヴは本当に心の底から楽しくなるのだ。
次にやった新曲 「Baby Lee」 はとっても可愛い曲で、オフィス・グラスゴーさんのteenagefanclub+logで歌詞を載せてくれていたので、まだウロ覚えだったがところどころを一緒に歌うことができた。
続く 「Ain't That Enough」 の歌い出しのハーモニーはもう絶品! ドーンドドートコトン!と鳴り響くFrancisが刻むビートも心地良い。
「I Need Direction」 の “Pa~PaPaPa~” のコーラスがめちゃくちゃ可愛い。間奏のキーボードのソロ終わりのNormanのギター・ソロに歓声が沸き、一歩前に踏み出してプレイするNormanも、その歓声に応えるようにニコニコ顔で熱演。
なんかもうやる曲やる曲全てが青春ソング・オンパレードと言った感じで、キュンとさせられるのと同時にほんわかとあったかい気持ちにしてくれた。
そして、キターーーーーッ!「Everything Flows」。このノイジーなのにポップなイントロ、それだけでもう完全にぶちのめされ、甘酸っぱいメロディを一緒に歌いまくった。もちろん周りの人もみんな歌ってた。
結構柔らかい曲が続いていたが、この辺りからテンポ・アップして行き、ドライヴィン・ポップ・チューン 「Sparky's Dream」 へと続き、テンションは高ぶる一方。
で、その気持ちをそのまま 「The Concept」 へ。
She wears denim wherever she goes
Says she's gonna get some records by the Status Quo
Oh yeah...Oh yeah...
ここまで私は両手で口元を覆っていた。ホントにこの曲はいつ聴いてもヤバい。いつ聴いても(iPodで聴いている時でさえ)、初めて聴いた頃のことや初めてTFCのライヴを見た頃のことが、ぐるぐると頭の中を駆け巡って甦ってきて、ジワッとくるのだ。
涙で少し霞んだ目でNorman、Gerry、Raymond、Francisを見つめながら、一緒に歌って踊って心から楽しんだ。最後の “Aaaah~ Aaaah~ Aaaah~” でみんな手をかざして大合唱。
おおらかな空気が流れ、幸せな気分に浸りながら、大歓声大拍手の中で “ありがと~!” と叫んでいた。
楽しいひとときというのは、アッという間に過ぎてしまう。でも、みんな大好きTFC! 今度は新作を引っさげて、単独公演で帰ってきてね。
最後にひとこと、「Niel Jung」 が聴きたかった~!

★Setlist★
・It's All In My Mind
・Fall
・Don't Look Back
・I Don't Want Control Of You
・Sometimes
・About You
・Baby Lee
・Ain't That Enough
・Your Love Is The Place Where I Come From
・I Need Direction
・Everything Flows
・Sparky's Dream
・The Concept
(teenagefanclub+logより)


そのままSonic Stageにいようかなとも思ったが、私はSonic Youthに思い入れがないので、一度は見ておいた方がいいかなと言う気持ちはあったが、一旦その場を離れた。
フード・エリアのサイド・ステージでは、DJダイノジのショーが始まっていて、すごく盛り上がっていた。


サマソニ開催前、タイムテーブルをチェックしていた時に目に留まったのが、トクマルシューゴ。
マイスペで音を聴くと、オーガニックなアコースティック・サウンドで、丁度時間的に夕方の海風に吹かれて聴くには気持ち良さそうと思っていた。
でもそれは18:00からで、Sonic Stageからかなり移動しなければならないので、半ばあきらめていた。
しかし、先ほどの豪雨でステージとなるRiverside Gardenは一時中断されていた。
インフォメーションでまだ中断中かと聞くと、約30分押しで再開されたとのこと。間に合うかも知れないと思い、歩いてRiverside Gardenに向かった。
すっかり雨も上がり、涼しい風が肌に気持ちよく、更に歩きながら食べたソフトクリームがとっても美味しかった。
Riverside Gardenは、スタジアムと海岸に隣接する芝生エリアにある、Seaside Villageと名付けられたキャンプサイトの入口にあり、ナチュラルな雰囲気溢れるスペースだった。
サウンド・チェック中のステージは、手作りのオブジェを飾り付けた、これまたナチュラルでアーシーなステージ・デザインだった。


【トクマルシューゴ】 18:40~(予定は18:00~) Riverside Garden

トクマルシューゴは、1stアルバムをNYのインディ・レーベルから出し、ヨーロッパなど海外でも人気が高く、様々な楽器を駆使した演奏を披露する幻想的でポップなステージが定評のミュージシャン。後から知ったのだが、TFCのNormanも賞賛しているらしい。
とにかく、ギターがめちゃくちゃ上手かった。アコギを自由自在に操るテクニカルな手元に、目が釘付けになった。
爽やかな透き通るような甘い声で、軽やかに始まった。狭いステージにはドラムスのほかに、座り込んでいろんなパーカッションを叩く人、アコーディオンやピアニカやおもちゃのピアノを弾く女性が脇を固め、バンドというよりも音楽隊と言った方が相応しい感じの編成だった。
“たぶん今ソニック・ユースやってると思うんですけど、ホント、ホントにここに来てくれてありがとう。僕もヴァセリンズまで見た後ここに来ました” と話していた。
全部初めて聴く曲だったが、すんなりと気持ち良く音が耳に入ってきて、中でもThe Buggles(バグルス)の 「Video Killed The Radio Star」(ラジオスターの悲劇)のカヴァーは、原曲とは全く違い、様々な打楽器の音を組み入れたオーガニックなアレンジがステキだった。
少しお喋りをしたあとに、“やっぱり僕MCダメだわ。もう二度とMCはしない。でももしマリン・ステージに出られたら、その時はMCをやるよ” と笑いを誘い、短かかったけど心地良い上質な音楽に、耳を傾けたひとときだった。
雨上がりだったので立っているしかなかったが、芝生の上に座ったり寝転がって聴くと、もっと気持ち良かっただろうな~。


すっかり日が暮れ、Riverside Gardenから外に出る道の脇は、カメヤマローソクのキャンドルの灯りで飾られ、入る時は気が付かなかったが、Seaside Village入口のゲートも手作りのアートで装飾されていた。


10年分のサマソニのポスターがライト・アップされて飾られている道を歩きながら、そのままスタジアムの方に歩いて行き、フード・エリアで夕飯。
少し漏れてくるNe-Yo(ニーヨ)の音と、目の前でやっていたDJブースの音楽が混じる中食べた豚玉のお好み焼きは、とっても美味しかった。
サマソニのフードは、メッセ内よりもスタジアムの方が美味しいかも知れない。
お腹を満たした後、シャトルバスでメッセに戻り、最後を飾るThe Flaming Lips(フレーミング・リップス)を見るために、再びSonic Stageへと向かった。
後ろの方に座って始まるのを待っていたのだが、もう既にサウンド・チェック中のステージに前方は大盛り上がり。
メンバー自らが、いろんな仕掛けのセッティングをしていたのだった。
待っている間に床が大きく揺れ、最初ファンのみんなが床が揺れる程ジャンプしたりしてるのかなと思ったが、地震だった。

【The Flaming Lips】 20:05~ Sonic Stage

結論から言うと・・・もの凄かった~!めちゃくちゃ楽しかった~! ライヴというよりも、ひとつのエンターテイナー・ショーを見たという感じだった。
ステージのバックが半円形のスクリーンになっていて、そこからメンバーがひとりずつ登場してきたのだが、その時のエロティックな映像と演出に場内大受け。
そして、Vo.のフロントマン、Wayne Coyne(ウェイン・コイン)が巨大風船の中に入ってオーディエンスの上を転がりながら歩き、Wayne誕生を表現。
たくさんのカラフルな風船が舞う中、ステージに戻った巨大風船がしぼみ、流れてきたのは 「Race For The Prize」。
“ウォーーー!” ともの凄い歓声が上がった。まさか、一発目にこの曲がくるとは! 嬉しさ楽しさ倍増。カンゲキ!
あのドタドタしたドラム音と、それに絡むシンセの音が場内に響き渡り、幻想的な世界を演出。歌に入ると、Wayneの脱力系ヴォイスがこれまた優しく響き渡り、ハッピーな気持ちにさせてくれた。
ステージの両脇では、何やらカエルやウサギなどいろんな着ぐるみを着たたくさんの人たちが踊っているし、キメの音に合わせて紙吹雪やら紙テープやらスモークが、巨大なパイプから飛び出る飛び出る。お祭りだ~という雰囲気にしてくれて、本当に楽しかった。この人たち、やはりタダ者ではない。
そして、この風船や紙吹雪の演出は、最後まで続いた。バック・スクリーンの映像も60'sっぽいレトロな映像で楽しませてくれたし、曲は知らなくてもすっかりLipsの世界に引きずり込まれて行った。
私が苦手とする、歪んだノイズを押し出した曲はやらず、全体的にポップな曲が殆んどだったというのも、気持ち良く楽しめた原因のひとつ。
スクリーンに歌っているWayneの顔がどアップで映り、ヒゲの1本1本まで見えるほどで、曲が終わる毎にカン高い裏声で早口に “アリガトッ” と発するWayneは、めちゃくちゃお茶目だった。
遊び心満載のステージはヴォルテージが上がりっぱなしで、最後の方ではドラまで登場するし、まるで巨大なおもちゃ箱をひっくり返したような賑やかなステージは、大いに盛り上がった。
サイケでポップなショーを繰り広げて楽しませてくれたLipsのステージは、サマソニの最後に相応しい、ナイス・アクトだった。



“終わっちゃった~” とちょっとその場にボーッとしてたら、外に出るタイミングを逃し、気が付けばSonic Stageの出口は大渋滞。
何とかその場を切り抜け、外に出た。過去10年間のオフシャルTシャツが展示されているのを写真に収め、駅前で友と合流。
The Vaselinesでは 「Molly's Lips」 でTFCのNormanが出て来てパフパフと鳴らすホーンを担当し、ユニコーンでずぶ濡れになり、Ne-Yoはマイケル・ジャクソンのトリビュートをやり、Beyoncé(ビヨンセ)のオーラはハンパなかったらしい。
心配していた日焼けもせず、適度に座ったりしてたので足も痛くならず、炎天下のアクトもなかったので体力消耗も避けられたし、最近は日頃からよく歩いているので前より体力が付いたのか、さほど疲れることなく清々しい状態で家路についた。
The Vaselinesを見ることができなかったのは残念だったが、それ以外はちゃんと予定通りのパフォーマンスを堪能することができて、とても充実した今年のサマソニだった。