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夜に聴くアメリカの音

2006-04-03 | music : normal


今年2月にグレイテスト・ヒッツをリリースし、6月には新作をリリースするCracker。
これは93年にリリースされた2ndアルバム 『Kerosene Hat』 で、100万枚以上のセールスを上げた作品。
彼らの最高傑作と言われている、98年リリースの 『Gentlemans Blues』 よりも、私はこのアルバムの方を好んで聴く。
80年代のカレッジ・ロック・シーンを代表するバンド、Camper Van BeethovenのDavid Lowery率いる、ルーツ・ロックをベースとしたアメリカン・ロック・バンド。
Camper Van Beethovenはミュージシャンズ・ミュージシャンとしてもカリズマ性があり、Crackerを先に聴いていた私がCVBを聴いたきっかけも、Teenage FanclubのNormanを通してだった。
CVBとしては2004年に15年ぶりにアルバムを発表したが、私の音の好みとしてはCrackerの方が好きだ。
私の好みを知っている人は、“だろうな・・・” と思うだろう。
ルーツ・ロックと言ってもサザン・ロックほど土臭くなく、シンプル且つダイナミックなバンド・アンサンブルと、親しみやすいメロディックなサウンドが魅力である。
そしてジャケットも、どれもみな正に “これぞアメリカ!” という感じのアート・ワークでシャレている。
しゃがれ声のDavid LoweryのVo.はとても渋く、力強くはないのだが味がある。
シングル・ヒットしたM-1 「Low」 は、広大な大陸をイメージしそうなアグレッシヴなナンバー。
M-3 「Get Off This」 のリズムのノリは最高。アメリカン・ロックならではのリズムとメロディだ。
スロー・ナンバーのアルバム・タイトル曲M-4 「Kerosene Hat」 では渋~いブルーズ・ロックを聴かせ、M-5 「Take Me Down To The Infirmary」 やM-9 「I Want Everything」 ではカントリー・ブルーズの香りを漂わせる。
R.E.M.辺りが好きな人なら共感するに違いない、アコースティック・ナンバーM-8 「Sick Of Goodbyes」。
M-10 「Lonesome Johnny Blues」 のご機嫌なカントリー・ロックも外せない。
夜に聴くと浸ってしまうような、味わい深くて粋な楽曲が揃っている。
また、このアルバムは構成が面白い。全トラック数が99曲なのである。
M-13とM-14は音が入っていなくて、M-15で 「Hi-Desert Biker Meth Lab」 というタイトルは付いているものの、40秒のドラムやパーカッションの音だけのトラック。
その後、M-16からM-68まで延々と3秒ずつの無音が続き、M-69で 「Euro Trash Girl」 という曲が入る。
この曲は、後の2000年リリースの 『Garage D'or』 に収録されている8分以上もあるネオ・カントリー・ロック。
そしてまたM-70からM-87まで無音が続き、M-89で 「I Ride My Bike」 というパンクっぽい曲が入る。
で、またまたM-90からM-98まで無音で、最後M-99はメンバーの笑い声も入っている 「Kerosene Hat」 のデモで、この曲が完成する前の貴重なトラックで終る。
クレジットにはM-15までしかないので、初めて聴いた時、カウンターがやけに進むのが気になって早送りをしてこの3曲を発見した。
何を意味するのか定かではないが、何かの意図があるのだろうか・・・?
今は女性メンバーも加わったみたいで、最近の音は聴いていないが、私はこの頃の音が好きだな・・・。