なぜ?社長や役員の給料は高いのか?について、前回は創業時の苦労に対する対価という事をご説明しました。
今回は社長や役員という人たちの法的立場からの説明をします。
”法的立場”って何かと言いますと、企業は商売をしていますので、商売の法律ということで、基本的には”商法”という法律が関係してきます。ただし、私は弁護士ではありませんので商法に対する詳しい説明は出来ませんし、もしかしたら間違った説明をするかもしれません。
ですが、経理財務コンサルタントという立場からの視点で誤解を恐れずにご説明したいと思います。
みなさん、カルロスゴーンさんはご存知ですよね。日産のCEO(最高経経営責任者)です。あの方は、もともと日産の社員ではなかったですよね。日産を立て直すためにスカウトされてきたのですよね。
会社がゴーンさんに「日産と言う会社の経営」をお願いしたのです。
社長は会社の経営をすることが仕事のプロフェッショナルなのです。法律的には社長や取締役や監査役などの人たちは【会社との委任契約】になるのです。
【会社との委任契約】とは、
会社を良くする為にプロとして働いてくれますか?と会社が頼んで、
はい!承知しましたと頼まれた人が了解をする契約です。
ですから、「会社の経営を頼まれた人」にしてみたら、会社の業績が良くなったのか?悪くなったのか?が自分自身のプロとしての経営能力の評価となります。会社が良くならなければ1年間でクビになります、良くなってきていれば翌年もお願いいたしますと言うことになります。まぁ通常は契約期間というのがあり、3年とかの契約期間がきたら、更新するのかしないのかを会社と決めると思いますがね。
サッカーの日本代表監督のジーコ監督やトルシエ監督やオシム監督も私が想像するに「委任契約」でしょうね。日本のサッカー、日本代表を強くするために勝たせるためにスカウトされてきて、ワールドカップなどで良い成績を残す為に、日本のサッカーを強くする為に全身全霊を掛けて監督業をします。成績がよければ契約を延長するし、悪ければものの数ヶ月で監督交代となります。
会社の社長や役員さんも同じです。会社の経営が良くなれば継続契約もありうるでしょうし、悪かったり不祥事があったりした場合は委任契約解除となります。
中小零細企業も基本的には同じです。
社長(役員)と会社は”会社経営の委任関係”になります。
だから、社長や役員さんは「経営のプロ」として、企業を良くする(利益を出し、大きくする又は安定させる)事が仕事なのです。プロだから、会社をどうしたら大きくできるのか?どうすれば利益が出るのか?を朝から晩まで考えて行動しています。会社の為なら休みも返上して、いろんな事にチャレンジしたり、いろんな会合に参加したりして情報を収集したりします。
みなさん 「プロ」というとどんな人を思い浮かべますか?
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プロ野球のイチロー選手 松井選手 プロサッカーの中村俊輔選手 ヒデ選手 ゴルフのダイガーウッズ選手 バスケットボールのマイケルジョーダン選手
こういったスポーツの人達を思い浮かべますよね。
また、歌手や俳優さんやお笑い芸人さんも「プロ」の人達ですよね。
他にも、医者や弁護士、税理士などの人達も「プロ」の人達ですよね。
この「プロ」の人達に共通していることは何だと思いますか?
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高給取り
確かにその通りですね!
しかし、それでは、”なぜ?社長や役員の給料は高いのか?”について説明しているのに答えにならないじゃないですか!!
「プロ」の人達に共通していることは
- 専門職をして仕事をしている
- 多くの人から期待を持たれて仕事をしている
- 責任を持って仕事をしている
- リスクを背負って仕事をしている
- 生活の全てが仕事を中心に回っている etc
こういったことが共通項でしょう。
これらは”期待されている””多くの人達に影響を与える””リスクが大きい”という要素があります。
”期待されている””多くの人達に影響を与える”については分かる感じがするけど、”リスクが大きい”についてはイマイチよく分からないという方もいるかな?
なぜ、”リスクが大きい”のかと言うと、「プロ」の人達は多くの方から期待をされて、それに答える事により存在価値がでて、報酬を貰っています。
スポーツの選手であれば、「試合に勝つ事 チームを有名にする事 ファンを喜ばせる事」が球団やオーナーやファンの期待です。それに答える事が出来ない場合は、クビや減俸になります。
期待に答えている時には年俸8000万円や何億という報酬を貰えるでしょうけど、ケガをしてしまい試合に出れなかったり、いいプレーが出来なかったりした時には年俸がゼロになる可能性もあります。
コレを企業の社長や役員さんに置き換えていいますと、
企業の社長や役員さんは「会社の利益を出す事 資金繰りをよくする事 資金調達をする事 経営を安定させる事 従業員を幸せにする事 社会に貢献する事」を株主や取引先、従業員、金融機関から期待をもたれています。
この期待に答える事が出来ないと、会社が倒産したりします。
会社が倒産すると、社長の家族はもちろん、従業員とその家族、取引先、金融機関などの大きな影響を与えます。家族や従業員達は路頭に迷うでしょう。これからどうやって生活していけばいいんだろう・・・と生活に困るでしょう。
社長や役員さんは倒産させないように必死になって経営をします。必死になって資金調達や資金繰りをします。必死になって製品を作ります。必死になって製品を販売する先を探して交渉します。必死になって会社を良くしようとします。時には私財を売り払ってでも資金調達をします。
この「必死」や「リスクへの見返り」として、サラリーマンの方々より給料が高く設定してあるのです。
会社によって規模や社長や役員が貰っている給料には差がありますが、この「必死」や「リスク」はどの企業でも共通でしょう。
このような理由があって、社長や役員の給料は高いのです。