国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

衆議員運輸委員会-2号 昭和55年10月15日 第12夜

2015-03-15 13:35:50 | 国鉄関連_国会審議

みなさまこんにちは。
本日もしばし、お付き合いくださいませ。
国鉄の再建策について、元国鉄職員である福岡議員が厳しい追求を行っていますが、下記に簡単に解説を加えましたが、当時の国鉄の再建プランというのは、理想的な数字を作ってということが多々見られました。
それでは、本当に上手くいくはずはないのですが、最後は政府が助けてくれるだろう、だから国会議員に便宜を図ってもらおう・・・みたいなところが国鉄の部内に有ったようです。
そして、これが余計に運輸省との対立を生む構図となったようです。

以下簡単に解説を加えさせていただきております。

国鉄の再建策は何度も何度も計画倒れで終わっていたという事実があり、これに関しては国鉄の中でも再建策という作文を書くための再建策と言われていたといった話を聞いたことがありますが、この国会答弁での内容が全てを語っているように思います。

> 冒頭に先生から御指摘がございましたように、過去の再建構想というものが大きく狂いました最大の原因は、輸送量の見込みを非常に高目に見込んだということが非常に致命的な問題であったわけでございます。

このへんの指摘も中々厳しいですね。
国鉄は赤字が定着した昭和45年以降頃(昭和39年で単年度赤字を計上しましたが、それ以後は積立金を食いつぶす形になり、昭和44年頃でその積立金も食い潰して赤字体質になったと記憶しています。
その頃から、国鉄は急速に国会議員に擦り寄る体制が顕著となり、「最終的には政府が何とかしてくれる」という意識が根付いていったように思われます。

> 国鉄の基盤強化をやって、荷物もふえる、人もふえるというような政策が欲しいということを先ほど来言っているのですね。そういうものを前提にして積算をすれば、可能最大限はこのくらいだろう、最悪の場合はこの程度かもしれないという、幅はあるかもしれませんが、何かそこの積算ができるはずだと思うのですよ。恐らく旅客は、いろいろ努力をして年に一%ぐらいふえるだろう、あるいは努力をしたいという程度で、格別の試算は私はないと思うのですね。ありますか。あったら教えてください。

このへんに関しては、当時の運輸省は交通政策に関して野放しであったと思いますね。
今でも、総合的に考えているのか疑問に思うことは多々ありますが・・・、現状では拠点間輸送以外は鉄道輸送よりもトラックのほうが速い場合もありますが、エネルギー問題を考えるとタンク車等の車扱い輸送のていりょうk・定形輸送はもう少し見直されても良いと思うのですが、これも大きく減少しているんですよね。

> 輸送関係に二九%、約三〇%近い石油を消費しておるわけであります。先ほど申し上げました輸送機関別シェアですね、輸送量、自動車を中心にした輸送あるいは航空機の輸送がどこまで可能なのか、こう考えてまいりますと、いや応なしにこの大量輸送機関というものを見直していかなければならぬ事情がここにある。であるのにもかかわらず鉄監局長の答弁である。それでは交通政策というものじゃないでしょう。これは野放しですよ。

> 国鉄は一人当たり百キロカロリー。これを一といたしますと、バスは一・四倍、乗用車は自家用車が七・五倍、営業車は千二百六十キロカロリーで十二・六倍、航空機は六百九十キロカロリーで六・九倍、エネルギーの消費効率を見ればそういう状態になっておるわけです。
>  こういうエネルギー事情にあるのに、先ほどの鉄監局長の答弁のようなことで日本の交通政策は今後やっていけるのかどうか、これも予告をしておきたい一つの問題点なんですね。

以下は、国会審議の資料になります。


○福岡委員 重ねてお伺いいたしますが、それでは昭和六十年に、旅客で二千五十億人キロの輸送量がある、貨物の四百億トンキロの輸送量がある、何か積算の根拠あるいは試算をされたものがありますか。

○加賀山説明員 お答え申し上げます。
 昨年の七月に再建基本構想案を固めました段階で、一つの再建の目標というようなものを考えました段階におきまして、輸送量の見込みをどうするかということをわれわれが考えました段階に、確かに先生御指摘のとおり、いろいろな政策面の影響によりまして動きが出てくるということがありますが、冒頭に先生から御指摘がございましたように、過去の再建構想というものが大きく狂いました最大の原因は、輸送量の見込みを非常に高目に見込んだということが非常に致命的な問題であったわけでございます。最近の輸送動向をいろいろ考えます段階で、その辺の輸送量の見込みを余り強目に見ることはかえって再建の計画としては危険であるという考え方のもとに、私どもといたしましては、旅客微増、貨物横ばいという考え方をとったわけであります。
 ただ、当時におきまして、御承知のとおり、輸送量は貨物あるいは旅客においてもまだ若干低減傾向が続いておる中でございまして、その中で輸送の構造をむしろ国鉄の特性を発揮できる分野に大きく主力を傾ける。国鉄の特性の失われた分野というものはある程度整理をしていくという形におきまして、国鉄自体の輸送形態を鉄道にふさわしい方向に向けていきたい。同時に、そのことは大臣もおっしゃいましたように、産業構造あるいは社会構造の変化というものを踏まえました段階で、当然そういうような形にするのが一番いいのではないかという考え方から若干の数字を見込んだわけでございます。無論、それに対しますわれわれのある程度の意欲というものを織り込みました見込み方で、しかもかた目にという形で想定した数字でございます。

○福岡委員 どうも得心できる答弁でないですね。それは気持ちはわかりますよ。いままでの再建計画で輸送量を高く見過ぎてそれがうまくいかなかった、現在も減少傾向にあるから安全を見て低目に見積もった、そういうお気持ちはわかる。ところが、私が言わんとしておるのは、国鉄の基盤強化をやって、荷物もふえる、人もふえるというような政策が欲しいということを先ほど来言っているのですね。そういうものを前提にして積算をすれば、可能最大限はこのくらいだろう、最悪の場合はこの程度かもしれないという、幅はあるかもしれませんが、何かそこの積算ができるはずだと思うのですよ。恐らく旅客は、いろいろ努力をして年に一%ぐらいふえるだろう、あるいは努力をしたいという程度で、格別の試算は私はないと思うのですね。ありますか。あったら教えてください。

○加賀山説明員 先生御指摘のとおり、いろいろな計数、いわゆる経済モデル的な計算をいたして出した数字ではございませんので、ある程度の意欲を織り込みまして想定をいたしたものでございます。

○福岡委員 さっきも言葉短に私は申し上げたのですが、たとえば貨物ですね、貨物駅の集約をどんどんやった。いまでもまだそういう計画が残っておるところもある。便利が悪くなったものだから、トラックに比べれば運賃も安い、だから国鉄を利用したいのだけれども、貨物駅がなくなったからやむを得ずトラックにかわっていく。国鉄で貨物関係で投資されたのは恐らくコンテナ関係だけじゃないかと思うのですね。もう少し貨物輸送に対する施策が、特に設備投資などが行われておれば、貨物の輸送量はこんなに減ってはいないと思うのです。後でこの点はまた出てくるのでありますが、そこでエネルギー問題をひとつ具体的に考えてみたいと思うのです。
 日本の五十三年度の「エネルギー源別・部門別消費割合」という資料を通産省からもらってみたのです。どうなっておるかといいますと、石油の関係では輸送関係が二九%、民生が一五、産業が五六、こうなっている。電力の関係でいいますと、輸送関係は三%、民生が三四、産業が六三ということになっておる。ガスも、わずかではありますが、輸送関係が四%使っていることになっておるわけですよ。
 この石油資源が一番問題なのでありますけれども、安定供給ができるかどうか、いままでどおり石油の輸入ができるかどうかは非常に問題があるわけですね。価格の方も、安いときは、昭和四十五年当時は一バレルが一ドル八十セントぐらいだったでしょう。いま幾らになっていますか。もう三十ドル時代でしょう。供給の面、価格の面、不安材料が山積しておるわけですよ。
 それで、申し上げましたように、輸送関係に二九%、約三〇%近い石油を消費しておるわけであります。先ほど申し上げました輸送機関別シェアですね、輸送量、自動車を中心にした輸送あるいは航空機の輸送がどこまで可能なのか、こう考えてまいりますと、いや応なしにこの大量輸送機関というものを見直していかなければならぬ事情がここにある。であるのにもかかわらず鉄監局長の答弁である。それでは交通政策というものじゃないでしょう。これは野放しですよ。
 しかも、エネルギーの消費効率は国鉄が非常に低い。これは皆さん専門家ですから私から申し上げる必要もないと思うのですが、念のために申し上げてみますと、旅客の関係で国鉄は一人当たり百キロカロリー。これを一といたしますと、バスは一・四倍、乗用車は自家用車が七・五倍、営業車は千二百六十キロカロリーで十二・六倍、航空機は六百九十キロカロリーで六・九倍、エネルギーの消費効率を見ればそういう状態になっておるわけです。
 こういうエネルギー事情にあるのに、先ほどの鉄監局長の答弁のようなことで日本の交通政策は今後やっていけるのかどうか、これも予告をしておきたい一つの問題点なんですね。だれが考えてもこういう状態ではやっていけないのです。これは国鉄再建という観点だけではなくて、日本の総合交通政策として考えられなければならぬ基本的な問題なのですよ。そういうものがないじゃないですか。そういうことで日本の交通政策がやっていけるとお思いなのでしょうか、御見解をお伺いしたいところであります。

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