国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第一回衆議院 運輸及び交通委員会 第4号から転載 1話目 

2017-12-25 14:09:09 | 国鉄関連_国会審議
今回から、昭和22年7月21日運輸及び交通委員会 第4号の議事録からの引用になります。
今回は、国鉄労働組合に関するお話になります。
国労が発足するのが昭和21(1946)年2月ですが、その時は国鉄労働組合総連合会と言う形で誕生します。当時の鉄道省職員の96%が加盟し発足しました。
この時は、神奈川分会が、加盟を拒否されたためと言われています。
その後、下記のような闘争を経て、昭和22年6月には単一組織の国鉄労働組合として改組の上発足しますが、当初から運動を引っ張って来た共産党系に対する、穏健派(社会党支持)が昭和22年11月の臨時大会で分裂、国鉄労組反共連盟を結成します。
その後、反共同盟は発展して、国鉄民主化同盟(民同)へと発展していくことになります。
国鉄民主化同盟(民同)はその後も分裂を繰り返し、昭和32年の新潟闘争を経て、国鉄新潟地方労働組合が国労から脱退して発足、その後同様の動きが全国で起こり、同年の11月27日には、職能毎に新労組を組織化し国鉄職能別労組連合会(国鉄職能労連)が発足しました。
さらに、昭和34(1959)年に社会党極右派が脱退して、民主社会党(民社党)を結成するに及び、以前から関係が深かった、国鉄労組民主化同盟(新生民同・民同右派が所属)も大挙して国労から分裂、昭和36(1961)年には、国鉄新潟して、新国労が誕生することになりました。


ただ、発足当時の国労は、概要として下記のように書かれていますが、戦後初期の労働運動を牽引したところがあり、大原社会問題研究所の日本労働年鑑 戦後特集(第22集)によりますと、下記のような記述がみられます。(記事は当時のママ)


◇五〇萬をこえる大組合であるが闘争の歴史も豊富で、廿一(昭和21)年一月の「省電安全運転」廿一(昭和21)年九月のいわゆる「国鉄ゼネスト」廿二(昭和22)年二月一日ゼネストまでの闘争では全闘(全国労働組合共同闘争委員会)のイニシアをとるなど我が国全体の労働運動に大きな力を常にもつていました。

と書かれているように、共産党が主導して国鉄の中で運動を牽引していたと言われています、そして共産党の運動方針に反発するグループが国労内で分裂して

参考 http://whitecat-kat.hatenablog.com/entry/2015/02/08/113458 国鉄労働組合史詳細解説6

*******************以下は国会審議の本文になります********************



こんにちは、引き続き衆議院、運輸及び交通委員会の議事録を御覧ください。
今回は、主に国鉄労働運動について語られています。

第001回国会 運輸及び交通委員会 第4号
  付託事件
 海運組合法を廢止する法律案(内閣送付)(豫
 第三号)
―――――――――――――――――――――
昭和二十二年七月二十一日(月曜日)
    午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 正木  清君
   理事 前田  郁君
      井谷 正吉君    佐々木更三君
      島上善五郎君    館  俊三君
      成重 光眞君    矢野 政男君
      山崎 岩男君   小笠原八十美君
      高橋 英吉君    田村 虎一君
      中野 武雄君    前田 正男君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 苫米地義三君
 出席政府委員
        運輸政務次官  田中源三郎君
        運輸事務官   伊能繁次郎君
        運輸事務官   牛島 辰彌君
        運輸事務官   郷野 基秀君
    ―――――――――――――
七月十一日
 海運組合法を廢止する法律案(内閣送付)(豫
 第三号)
の審査を本委員に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 國鐵、日通、及び私鐵の各勞働組合に關する説
 明聽取
    ―――――――――――――
○正木委員長 會議を開きます。
 これより國鐵勞働問題に關して、當局より説明を聽取いたします。牛島政府委員。
○牛島政府委員 私、鐵道總局の職員局長の牛島でございます。國鐵の勞働組合運動につきまして、簡單に御説明申し上げたいと思います。お手もとに差上げてございます國鐵勞働組合概況を作成してまいりましたので、この概況書竝びに國鐵勞働協約の解説に從いまして、要點だけを申し上げたいと存じます。
 話の順序といたしまして、第一番目に國鐵勞働組合運動の、本日までの經過の概要を申し上げたいと思います。國鐵勞働組合の運動の經過を大別いたしますと、大體五期にわけ得ると思うのであります。第一期は、昭和二十一年の二月に國鐵總連合が結成されるまでの時期でございまして、第二期は、二十一年の九月の例の馘首絶對反對のストライキ問題が妥結したまでの時期、第三期は、昭和二十二年二月の例の生活權獲得ゼネスト問題が、妥結と申しますか、打切られたまでの時期、第四期は二・一ゼネスト以後、六月に國鐵總連合が單一に結成されたその大會までの時期、第五期は、その單一組合結成後本日に至るまで、こういうふうにわけ得ると思うのであります。ここにも書いておきましたが、終戰後國鐵といたしましては、勞働組合を結成いたす前に、上下の意思疏通の機關といたしまして、昭和二十年十一月一日に鐵道委員會というものをつくりまして、部内で發足いたしたのでありますが、しかし勞働組合法の成立竝びにその後におきます社會、經濟界の情勢の變化によりまして、急速に鐵道委員會は發展的に解消いたしまして、勞働組合が結成されるようになりました。その當時におきましての情勢もそこに書いてございますが、結局この勞働組合を全國的に單一するか、または連合體にするかという點におきまして、いろいろと折衝はあつたようでございますが、結局連合體といたしまして、昭和二十一年の二月に發足いたすように相なりました。この連合體としての總連合が結成されまして以來、一面非常に物價騰貴、生活の不安にかられました從事員一同は、非常に生活不安に襲われたのでございますが、例の七月一日の全官公職員に對するところの給與の改善案によりまして、一時小康を得たように思われました。その後七月末におきまして、國鐵經營の合理化の見地から、人員を整備し、さらに必要な部面に増員をしようというような管理者側からの申出を契機といたしまして、例の馘首絶對反對のストライキが起りました。これも九月十四日に政府側と組合側との妥結によりまして、一應收まつたわけでございます。この結果當局としては、從來の整理案というものはこれを取消すことにいたしました。ただ今後におけるところの、一面において過剰人員があり、一面において不足人員があるというような點につきましては、これを極力配置轉換を行う、また惡質者はこを整理していくことによつて、九月十五日のストライキは一應妥結したのであります。その後さらにインフレーシヨンの進行に伴いまして、生活の困難がようやく極度に達しつつありましたので、二十一年の十一月に國鐵總連合といたしましては、大會をもちまして生活權獲得の要求書を提出いたしました。そうして管理者側と交渉を開始するに至りましたが、この鬪爭は全官公吏の問題に發展いたしまして、例の二十二年二月一日を期してゼネストをする、いわゆる二・一ゼネストの態勢を整えるに至つたのでありますが、その筋からの命令によりまして、その寸前において中止される状態に立ち至りました。この二・一ゼネストの中止後、組合側も一應爭議を打切ることといたしまして、鬪爭態勢を解きまして、交渉によつて問題を解決するというような方向に進んでまいりました。その打切るときにあたりまして、政府側から提出いたしましたところの政府職員の待遇改善委員會の準備會において、兩者協議によつて今後給與、待遇改善の妥結點を見出していこうということに相なつたのであります。他面二月二十一日におきましては、經營參加の問題をも含めたところの廣汎な勞働協約が締結されました。その後五月下旬におきましては、第一囘の臨時の經營協議會が開催せられました。鐵道の財政、給與關係、勤務時間、その他勞働條件に關する問題、業務關係の問題等、國鐵經營の各般にわたりまして、經營協議會において協議が行われました。經營協議會の結果といたしましては、組合側と運賃の値上げ問題に關し若干意見の相違がございましたが、大局的には双方の意見が一致いたしまして、これを專門委員會においてさらに深く檢討することに相なりました。組合側との團體交渉もやうやく軌道に乘つてきたような感がございます。國鐵總連合は結成以來、連合體として出發いたしたのでございますが、本年の六月に相なりますと、さらに大會をもちまして、全國鐵の勞働組合を打つて一丸とするところの單一組合の結成を完了いたしまして、中央の本部が地方の各支部を包括するような組織に改められたのであります。なお大會におきましては、從來未解決であつたところのいろいろの問題、さらに新たな地方提出の要求項目を整理いたしまして、七月九日新たな要求を提出しております。最近におきまする組合側の動向といたしましては、經營協議會等によりまして、協議により解決點を見出そうとするような方向に相なりつつあるように思われます。なお八月中旬には、さらに定期の經營協議會を開催いたすように組合側と話合つておる次第であります。
 今までの組合運動の沿革等につきましては、概略ただいま申し上げた通りでございます。なお組合といたしましての日誌等につきましては、その次に組合運動概要の日誌として掲載いたしてございますから、この點につきましては省略いたしたいと思います。
 次に申し上げますことは、現在の組合の組織の概要でございます。國有鐵道の勞働組合は、從來鐵道局の管轄區域毎に各地方の連合會を結成いたしておりまして、その複合體をもつて總連合會を結成いたしておりましたが、本年の六月五日の大會以降、この複合體を解體いたしまして、全組合員を打つて一丸とするところの單一の組織體に改めたのであります。現在におきましては本部の下に支部が全國に七十五ございます。組合員數は約五十六、七萬に及んでおると思いますが、結成當時におきましては約五十六萬三千になつております。さらにこの支部の組織の上に各地方、すなはち東京、中部、大阪、新潟、仙臺、北海道、九州、四國、廣島というようなふうに、支部の連絡機關といたしまして、地方評議會を設けておる次第でございます。この組合におきましては、後に書いてございますが、支部竝びに地方評議會におきましても若干の團體交渉權というものを認めておるのでございます。さらに組合といたしての届出その他の手續を了しておるのでございまして、法律的に申しますと、あるいは純粹の意味の單一體ではないのかも知れないというふうに私どもは考えておるのであります。
 次に、最近の組合におけるところの問題につきまして申し上げたいと思います。組合より管理者側に向いましていろいろと要求事項が出ておりますが、この要求事項の傾向について申し上げたいと思います。當局に對する要求は、やはり何と申しましても生活を除去せんとするところの要求が一番多いと思います。從いまして生活費を中心とするところの基本給の増額の問題、その他これに附帶するところの勞働條件の改善の問題が主となつておりますが、業務改善の問題につきましても、最近におきましては大分殖えてまいつてきたように思います。
 まず第一の給與改善の問題でありますが、先ほどもちよつと申し上げた官公吏の給與改善というものは、現在におきましては、政府職員の待遇改善委員會準備會においてこれを決定いたしておるのでございまして、生活保障を中核といたしますところの基本賃金竝びに各種手當等につきましては、現状におきましては運輸省限りにおいて解決し得ない全官公吏の問題と相なつてまいつておりますので、漸次この準備委員會において審議せらるるような傾向にあるのであります。ただ組合側と管理者側との交渉によりまして意見の一致を見、さらに委員會においてこれを審議するというような方向に進んでおると思われるのであります。
 次に基本給竝びにそれと直接關係ある金錢給與以外の勞働條件に關する問題といたしましては、たとえば休日であるとか休暇、勞働時間等の直接的な勤務條件、また住居施設あるいは醫療施設、被服の問題、その他の物的の諸給與等の間接的な勤務條件とにわけ得られるのでありますが、この兩者につきましては、本年の二月二十一日に締結いたしました勞働協約によつて基本的な線はきめられております。今後の問題といたしましては、その具體的な實施方法が殘されておるわけでございまして、すでに經營協議會においても協議され、現に專門委員會においてもさらに深く協議が繼續いたしておる次第であります。ただここにおきましてこの物的給與の問題でございますが、この問題も國内資源の供給能力との關係もございまして、運輸省限りにおいては解決し得ないような方向に逐次向いつつあるのであります。經濟安定本部等におきましてこれが委員會もすでにできておりまして、組合側竝びに管理者側もこれを出して、その協議にあたることになつておるのでありますが、遺憾ながらあまり活動をしておらぬような状況にあります。ただこの委員會においても、輸送業務というものについて、産業別の優先順位の決定においても、また實際の勤勞用物資の配分決定の問題においても、なかなか重大な問題が起つております。業務改善に關するところの問題として、組合側においても業務組織の改善あるいは制度の運用等につきましていろいろと協議をいたしております。現に第一囘の經營協議會におきましても、この點の具體的方策についていろいろと審議されたのでありますが、今後の問題といたしまして經營の合理化等、組合側にも協力を求める點が相當多々あると考えておるのであります。さらにここに附け加えて皆様方に申し上げておきたいことは、きわめて最近におきまする政府の施策その他に基きまして、現在の組合側において最も關心をもつておりまする問題の一つは食糧に對する確保の問題を強く取上げておる點であります。あるいは食糧の現物を遲配欠配なく與える、あるいはまた食糧休暇をもらいたいというような面において、問題となつて現われてきておる次第であります。
 次に組合の内部の問題につきまして、簡單に申し上げたいと思います。組合内部の事情を管理者の立場から見ますると、内部はやはり急進的な考え方と、比較的堅實と申しますか、穏健な考え方との抗爭をめぐつて、微妙な動きを示しておるように思われるのであります。これが從來の爭議の過程におきまして、明確な形となつて現われておるように思われるのであります。すでに御承知の、昭和二十一年二月總連合が發足いたす以前におきまして、東鐵管内に發生いたしました例の省電爭議の問題でございますが、これなども急進派のいわゆる直接行動と見られるものとも思われるのであります。これに對しまして比較的穏健な考え方をもつておる組合員といたしましては、組合の團結を亂るものであるとして一旦除名處分に出たのであります。しかして當局側がこれらの省電事件の責任者を懲戒處分といたしました。ところが穏健派はひつくり返りまして、組合自身として除名をいたしましたものを、この除名を取消しまして、當局に對しましては懲戒處分の撤囘を要求するに至つたのであります。このように分裂しながらも當局に對する抗爭におきましては、團結を保持する形がその後の組合の動きを支配いたしておると思われます。また昭和二十一年の九月馘首反對の爭議におきましても、名古屋以西におきまするところの、いわゆる穏健と申しますか、堅實と申しますか、そういう組合が東日本の組合のゼネスト決行に反對をいたしまして、一時は組合の分裂を見るかとも思われたのでありますが、結局大同團結いたしまして、當局に要求を貫徹しようという態度に出ております。また本年の二・一ゼネストの爭議は、國有鐵道のみの問題ではなく、全官公職員の共同鬪爭という形をとりましたために、これまでとは違つた行き方をし、當初におきましては分裂の兆は見られませんでしたが、G・H・Qのその筋の中止勸告が明らかになつてまいりますにつれ、一般組合員は急進派の獨斷的行動を不滿とし、これを排撃しようとする試みなども現われたように思われるのであります。また三月中旬におきまして組合が大會をもちました際におきましても、一部急進分子を組合幹部より取除く動議が提起されたことがございます。組合といたしましては、その大會においては決議をしなかつたようでありますが、こういうふうに組合内部といたしまして、われわれ管理者側として見ておりますと、急進派と穏健派とは相當激しい抗爭を續けてきておるように思われるのであります。しかしながら當局に對しましては、あくまで組合の團結を失うことなく、一致してこれに當ろうとしておるように思われます。現に組合の幹部として苦心しておるところも、またこういうところにあるのではないかと思われるのであります。組合といたしましても、最近におきましては非常に自己批判をいたしておるように思われるのでございまして、先般六月の大會におきまして、新たに中央執行委員等が選出されたのでありますが、そういうのを見ましても、比較的堅實な、建設的な、また穏健な人が大部分を占めておるように思われます。なお組合は總同盟あるいはまた産別會議等に現在の段階においては加入いたしておりません。ただ組合の外部活動といたしましては、例の全國勞働組合連絡協議會、さらに七月上旬結成を見ました全日本交通運輸勞働組合協議會に參加いたして、これらと隨時連絡し、組合運動を展開しつつあるのでありまして、現在の段階におきましては、一應落ちつきのある動向を示しておるのであります。
 次には、勞働組合が結成されまして、組合活動が活溌になりましたことが、鐵道業務にどういう影響を及ぼしたかという點を簡單に申し上げたいと思います。組合員が組合活動の何たるかを明確に自覺して、單に權利だけを主張するような矯激な傾向を改めて、義務をも履行するようになりますれば、業務に對してはむしろ非常によい影響を與える。勞働組合なくして今後の業務の完全な遂行はできないことになると考えております。しかしながら現在までの組合活動は、必ずしも業務に對してよい影響のみを與えたとは考えられない。悪い影響を與えておる點も少くないのであります。第一に業務命令に從わないことが本筋であると誤解をする向きもあつたかと思われるのでありまして、それは長い間の一方的な命令に對する服從の反動として、理解し得る點もないではございませんが、一旦發せられた業務上の命令に對しては、あくまでも服從することが、いかに民主的になつても絶對に必要であると思うのであります。最近は組合員も逐次職場紀律の維持の重大性に目ざめつつあることは喜ばしい傾向にあると思われます。
 第二に組合結成の當初におきましては、組合員は無統制にデモその他に參加する傾向がございまして、爭議問題が發生するたびに、幾度となく何萬という組合員が職場を離れるというようなことになりまして、これらにつきましては、當然業務に悪い影響を及ぼしました。今後これらの觀點からいたしまして、組合事務に專從する者の範圍及び組合活動をなし得る場合等を限定し、協約の規定を組合員に遵守さしてまいらねばならないと考えております。
 次に今後の見透しはどういうふうになるかということにつきまして一言申し上げます。本年の二月に例の劃期的な勞働協約が締結されましてから後の組合運動は、從來とは大分形を異にしてきたように思われます。從來のように鬪爭のみにこだわるというようなことなしに、昨今は勞働協約の規定に從い、經營協議會を中心に當局と事務的に交渉するように相なつてきております。組合内部におきましても、すでに申し上げましたように非常な反省期に入つておるように思われるのでありまして、今後におきましては、非常に軌道に乗つて組合との交渉その他が進められるものと思うのであります。ただ今後の日本の經濟の秩序いかんというものが非常に大きな關係があるのでありまして、さらにインフレーシヨンが悪化し、生活問題が事務的な交渉、あるいは協議のらち内で解決ができなくなるというようなときには、かつて示したような組合活動の態勢に逆轉するところがないとは斷言できないのであります。
 以上申し上げましたところは從來の組合に關することでございますが、以下お手もとに差上げましたパンフレツトにございます點は、組合のきわめて最近の綱領竝びに運動方針でございます。これらをごらん願いますと、考え方といたしましても、非常に建設的なものに相なつておると思われます。國鐵の勞働組合の規則その他はそこにございますが、この規則の説明は一應省略さしていただきまして、別にお手もとに差上げてございます國鐵勞働協約の解説書によりまして、勞働協約のおもな點だけを御説明申し上げたいと思います。この勞働協約を作成するには、組合側竝びに管理者側も誠心誠意努力をいたしまして、さらに中央勞働委員會の御努力もございまして、でき上つたものでございます。全條五十六條よりなつております。この協約の根本というか、特徴をなしておるものを一、二申し上げたいと思いますが、この協約におきましては、鐵道經營の管理權竝びに人事權というものは當局側にあるという點に特徴があると思います。この點は組合といたしましても管理者側に經營權竝びに人事權というものがあることをはつきり認めたことになつております。次に經營協議會の設置を第二條において規定しております。經營協議會につきましては別に經營協議會規則を設けておりますが、すでに第一囘を開き、さらに中旬には第二囘を開いてまいりたいと思つております。このパンフレツトのおしまいの方に經營協議會の規則も掲げてございます。次に申し上げる點は、この協約におきまして組合員の範圍と申しますか、第四條の規定がいろいろと從來も問題になつたのでございます。國有鐵道の從業員はこの勞働組合の組合員とするというふうな書き方になつておりまするので、この點がいろいろと例の職制の問題と關連いたしまして、クローズド・シヨツプではないかというふうに言われたのでございますが、私どもといたしましては、この點につきましては國有鐵道獨自の職制である、こういうふうに考える。強いて申しますればあるいはユニオン・シヨツプに當るのかとも思いますが、本協約を通じまして組合員の脱退を認める、組合員にあらざるところの從業員のあることを認める、また組合より除名されましても、國有鐵道において當然これを解職するということにならない、解職する一つの理由になるというような點、この協約におきましては他の組合の成立をもなお豫想しつつできておる點を考えますと、この第四條においてきめておりますることは決してクローズド・シヨツプではない、國鐵獨自の職制であるというふうに考えておるのであります。なおこの第四條の規定の但書におきまして「職務の性質上甲の立場を代表すると認められるものを除く」というふうに書いてございまして、甲の立場を代表するという立場にあるものは組合員としないというふうに書いてあるのであります。この點につきましては先般の經營協議會におきまして範圍を一應組合側と協定をいたしまして、協定事項として經營協議會においてまとまつたのであります。それの一番の根本は驛長であるとか、あるいはまた現場長、機關區長であるとかいう現場の長を組合員とするかしないかという問題でございます。それも經營協議會におきましては現場の長は組合員としないということで協定が成立したのであります。しかしながら組合といたしましては、經營協議會後の大會におきましてこれをかけましたところが、組合員の同意を得られませんので、これが勞働協約と同じ效果を發生するということに相なりませんために、現在におきましては現場長は組合員であるか、組合員でないか、まだはつきりきまつておらない状態でございます。甲の立場を代表すると認められるもの、これの組合員の範圍ということにつきましてはさらに組合と折衝をし直さなければならない状態にあることを申し上げておきたいと思います。
 次に勞働におきまして特に申し上げることは、勤務時間、その他休日、休暇等のことでございます。勤務時間につきましては一日八時間、一時間以内の休憩時間を含めて勞働時間は一日八時間であるということに取極めてはございます。一時間以内の休憩時間を含んでおりますので、おおむね實働七時間制を採用するということに相なつております。但し勤務時間というものは鐵道の業務の特殊性からいたしまして、いろいろの勤務制度がございますので、それに從いまして別表によるというふうに第十五條の規定において定めておるのでございます。なお休日、休暇につきましては、週休制を採用し慰勞休暇と申しますか、休暇につきましては、勤續一年以上の者につきましては、年二十日を認める。一年未滿三箇月以上の人につきましては、年十日を認めておるのであります。なお勤務時間を超えて勤務いたしました者に對する増務給その他のものを認めておるのであります。女子竝びに年少者の勤務は、勞働基準法が實施になりますのを待つてきめるという勞働協約になつておるのでありまして、現在組合側と女子竝びに年少者の勤務をいかにするかということについては、專門委員會において折衝中でございます。それからこの協約の第五十二條におきまして、この協約は二月二十二日から有效になりまして、八月の二十一日まで有效ということに相なつておりますが、この第五十五条の規定によりまして、この期間中においては人員整理のための解雇をしないということを認めておるのであります。この規定につきましては、先ほど申し上げました九月十五日のゼネストの際交換いたしました覺書を再確認いたしておるのであります。この協約が更新されましても第五十五条は當然には繼續して效力をもつものではないのであります。協約の大體の特徴その他については以上私から申し上げた點に盡きると思つております。はなはだ簡單でございますが、一應國有鐵道勞働組合の概況について申し上げた次第でございます。

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