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日本経済活力維持の条件

2008-01-26 08:19:47 | BOOKS
野村証券金融経済研究所 「日本経済活力維持の条件」 東洋経済新報社 2007.12.13. 

就業者に占める外国人比率が最も高い県は東京都ではなく、岐阜、静岡、愛知、三重の4県だ。来日した外国人は、景気動向に敏感に行動して、製造業を中心とした雇用需要が強く、かつ賃金水準が高い県で就業している。人が集まる結果、飲食店での就業も活発だ。また平均年齢が15歳~39歳と若く、近接するアジア出身者がその過半を占める。 グローバル化が進む世界経済の中にあって、モノ・カネの自由な動きを妨げないよう、国家間でさまざまな協定が結ばれている。日本にとって最後に残った「ヒト」もまた、自由化の流れから無縁にはできない。製造業や飲食業、他のサービス業、建設業、農林業などの分野で外国人の助けを借りて生産性の底上げを図る、という発想が重要だ。 島国である日本にとって、外国人労働者の本格的受入れは「黒船」級のインパクトをわれわれの暮らしにもたらし、通常の行政コストとは別に、日本語教育などのコストも新たに必要となる。ドイツにおけるトルコ人、フランスにおけるアフリカ系移民などの事例から、文化の融合には時間がかかることも知っている。すべては、こうした情報の中で今のわれわれが何を目指し選択するか、にかかっているのである。 女性や高齢者を中心とする潜在労働力の効果が消える2026年に外国人受入れに向けて重い腰を上げても、その時には少子化が進むアジア諸国にも、新たに日本に来られるだけの人的資源は残っていない、ということになりかねない。 懸念されてきた団塊世代の退職問題は、実は、同世代が65歳を迎える2012年にこそ顕在化する。本格的な労働力不足、年金財政の急速な悪化など、負の2007年から12年までは、本格的な高齢化・労働力不足時代に向けた猶予期間として捉えるべきで、 この5年間こそ、人口、社会、経済のさまざまな構造変化を乗り越えて、活力ある日本経済を構築するために使える最後の期間だ。 今何ができるのかを真剣に考える5年間としなければならない。

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