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コピー用紙の裏は使うな!

2007-07-31 05:38:04 | BOOKS
村井 哲之 「コピー用紙の裏は使うな!」 朝日新書 2007.03.30. 

「コスト削減」をヤフーで検索すると760万件ヒットする程、コストの問題はいまや非常に大きな関心事になっています。コストについて考えることは、単に「無駄を減らす」ことではなく、組織のありようについて考えることになります。売上増に100%の成功法則はありませんが、コスト削減には、正しく取り組めば必ず成果につながる100%の成功法則があります。ところが、世間の多くの経営者がこのことに気づいていません。 日本で一番利益を上げている自動車メーカー・トヨタでは前年比2,000億~3,000億円のコスト削減を実現しています。しかも、毎年やり続けています。トヨタは常に為替リスクを抱え、1円の円高で700億円の純利益が吹っ飛び、多国籍企業なのでカントリーリスクも抱えています。「世界のトヨタ自動車」といえども、大きなリスクと日々闘っているのです。だからこそコスト削減力を磨き続け、現場のすみずみまで浸透させて、現場にはプラン→ドゥ→チェック→アクションのサイクルがしっかりと根づいています。 コスト削減とは単なる「ケチケチ運動」ではなく、本来的には、「経営」と「現場」のすき間を継続して埋めていく作業であり、運動です。「何でも屋」的存在の総務にできる仕事でないことは明らかで、総務部長が前面に出てこられてうまく行ったためしはありません。本当にコストを削減したいなら、経営者の仕事、それも極めて優先順位が高い仕事と位置づけ、「現場」から生きのよい、既成概念にとらわれない人材を中心に集め、プロジェクトを組成して推し進めることです。 【通信業界】は自由化がスタートして21年。通信各社は固定電話も携帯もインターネットもデータ通信もすべて1社で提供できる会社を目指して激しい合従連衡を繰り返し、今では3社に集約され、この4つのサービスを組み合わせた新たなサービスがたくさん登場してきます。それぞれの分野ごとに、今受けている通信サービスの契約内容やプランを、過去の利用状況データに基づき常に最適化しておくことです。 【電力業界】では、電力の自由化を正しく理解している大手企業は、PPSから電力購入を行い、ノンリスクで2~3%の確実な削減を実現しています。 【コピー業界】はカウンター料金、保守・メンテナンス費で収益を上げている流れがありますので、カウンター料金単価の交渉だけでなく、契約そのものを、機材はリーシングをやめレンタル方式に切り替えるのです。 このように、契約先・仕入れ先の収益構造が見えるとコストが大きく下がります。そのために必要なものは、その業界の先を読む力、「先見性」です。電気・ガス・上下水道代は、取引量に応じた1年間の契約です。そこには契約条件の見直しの機会が常にあるのです。 契約あるところに交渉あり。あらゆる産業が自由化され、競争原理が導入される大きな流れの中で、経費が下がる可能性があります。積極的に情報を集め、すべての契約にもっともっとこだわりましょう。