竹林の愚人  WAREHOUSE

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放射能がクラゲとやってくる

2007-07-26 01:04:46 | BOOKS
水口憲哉 「放射能がクラゲとやってくる」 七つ森書館 2006.05.01. 

原子力資料情報室の資料では、再処理工場は基本的には大気中や海へ放射能を放出するとあります。放射能をどれだけ放出するかという管理目標値を青森県六ヶ所村の再処理工場を運転する日本原燃株式会社は政府に出しています。 実にすごい量を捨てます。原発は全国に55基あり、1ヵ所でも大変だと言っているのに、その原発1基が1年間に捨てる放射能を、たった1日で捨てるのです。 日本原燃は、廃液は大量の海水で希釈され、大量放出により施設周辺で受ける放射線量は約800分の1で、非常に少なく、岩手県沿岸では、さらに薄まると言っています。 1997年、グリーンピースが、フランスのラアーグの核再処理工場の放流管の放出口のところに潜水して採水しました。検査機関で分析したら、通常の海水の1700万倍の放射能が含まれていました。この採集した海水をヨーロッパ各国に配って検討してもらった結果、ヨーロッパの21ヵ国のうち10カ国が、再処理工場を運営しているフランスとイギリスに対して、再処理工場を止めるよう要請しています。フランスはラアーグ、イギリスはセラフィールドの2ヵ所の再処理工場から出る放射能で、ヨーロッパの北海のまわりは汚染が広がっているのですが、フランスとイギリスが強行して再処理工場を動かしているのが実情です。 岩手の人たちが心配しているのは、海に捨てたものがそのまま岩手の沿岸での汚染になることです。青森県で放出された放射性廃液は、薄まりますが消えることなく、そのまま岩手県の海へ流れていきます。いま問題になっているセシウム137というのは、半減期が30年で、プルトニウムの仲間には半減期が何万年というのがあり、放射能の効力はずっと続いています。消すことができないから、手に余って捨てているということです。 また、「海藻や魚に付着し、取り込まれ濃縮する」という問題があります。これは昔から言われている事実です。たとえばサケの場合、濃縮が100倍になります。薄めて1にしても、その海水中でサケが生活していれば、サケの体の中で100に濃縮され、そのサケを食べれば、体の中でもっと濃くなる。だから、薄めて流せばいいということではありません。 放流管の出口で、1万枚の合成紙の葉書を放流しました。葉書が行く場所には、放射能が行くということを知ろうとしてやった調査ですから、考えたらきついことです。この放流実験で房総半島まで流れて行くことが明らかになりました。 長近、イギリスでは、新しい放射能の制限値は甲殻類の漁業を滅ぼす可能性があると報じられています。もう漁業が危機です。そして、国が食べる量を減らしましょうと、食規制を始めています。また、セラフィールドの再処理工場の敷地にはカモメなどの海鳥が舞い降り、汚染が広がるから来た鳥を全部射殺して、地下の倉庫に溜めてあるが、その処理に困るということが書いてありました。