竹林の愚人  WAREHOUSE

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「間取り」で楽しむ住宅読本

2005-07-02 22:28:34 | BOOKS
内田青蔵 「間取り」で楽しむ住宅読本 光文社新書 2005.01.20.

玄関とは禅宗では「玄妙な道に入る関門」とし、武士の独自の身分制社会を維持するためにつくられ、格式を表す場として定着した。身分の高い人を招き入れるための場として用意され、玄関は主人と客だけしか使用できなかった。1910年頃から身分制度をそのまま残された玄関と内玄関の使い分けが批判され、出入り口という機能を直接示す言葉が提唱された。靴を脱いで生活するという生活様式は今日においても変わることはない。
戦後の住まいづくりでは、格式制とか身分制といった考え方は急速に消え去り、履物の置き場としての無機的な出入り口という玄関が当たり前となった。
玄関は送り・迎えたいという気持ちの表現の場。欧米の住まいにはないわが国独自の精神性の存在を示す場であり、外から内へ、あるいは内から外へ、という精神の切換の場であった。