パンセ(みたいなものを目指して)

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政治家の虚栄心と、くじけない人

2022年06月22日 17時28分55秒 | あれこれ考えること

6月22日 参議院の公示日
若い人の投票率が上がらない、、などという声もあるが
Youtubeではタレントさんが自発的に投票を呼びかけたりしている

先日の東京の杉並区の区長選では投票率が5%あがって
大きな変化が見られたようで、冷笑的に眺めている人も
動けば変わる!と実感できれば良いのだが

最近、自分たち庶民に代わって物事を決める権利を持つ議員さんについて
思うことがあって、去年読んだマックス・ウェーバーの
「職業としての政治」をパラパラとめくった

その中に学者さんのモデル化した理屈の内容ではなく
いかにもありそうな部分があったので書き残しておいた

職業としての政治 マックス・ウェーバーから(116から117ページ)
政治家は毎日、毎時間のように、自分のうちに潜んでいる瑣末で、あまりにも人間臭い〈敵〉と戦い続けねばならないのです。この敵とは、ごくありふれた虚栄心で、これはすべての仕事のへ献身の、そしてすべての距離(この場合には、自分と距離をおく事ですが)の不倶戴天の敵なのです。
 虚栄心は、誰にでも見られる特性で、虚栄心のない人はおそらくいないでしょう。そして学者や教養のある人々では、虚栄心はある種の職業病のようなものになっています。しかし学者の虚栄心は、どれほど鼻持ちならないものであっても、比較的無害なものなのです。原則的にこれが学者の仕事を妨げる事は無いからです。 しかし政治家の場合にはそうはいきません。政治は避〈避けられない手段〉として、権力を追い求めるからです。その意味では「権力本能」とよく言われますが、この本能は政治家にとってはごく当たり前の資質なのです。しかし政治家という職業の聖〈聖なる精神〉に対する罪が始まるのは、この権力の追求が仕事への献身とは関わりなく、個人的な自己陶酔の対象となるときです。
政治家という仕事にはいわば2種類の大罪があります。仕事に献身しない姿勢と、無責任さであり、この2つは同一のものではないとしても、しばしば重なって現れるものです。虚栄心とは、自分ができるだけ脚光浴びるようにしたいという欲望のことで、この欲望のために政治家はこの2つの大罪の片方を、ときには両方を犯すよう、強く誘惑されるのです。民衆政治家(デマゴーグ)の場合には、「効果」を考慮に入れなければならないだけに、この誘惑は極めて強いものとなります。 そして俳優のように振る舞い、自分の行為に対する責任を軽く考え、自分の行為が与える「印象」ばかりを気にするようになる危険に、常に脅かされているのです。

つい誰かを想像してしまったが、自分が想像している人物とは違うひとを想像するのは
それほど難しくないだろう

議員は選良と言われることがあっても、現実は極めて人間的な感情のやり取りの要素が多いことは
自分の市の議員さんを見ればわかる
賛否の判断の基準は本質ではなく属性で決められていることも多いように見える
また個人個人の関心事が狭い範囲に限られているので、全てに適切な判断ができているか
といえば、そこは怪しいかもしれない
(正確な判断をするためによく調べるなどということはないので)
だが、多数が間違うことはないだろう、、とする現在の制度では
文句が出そうなときがあっても、仕方ないかもしれない
それにしても、個人の資質に依存することの大きいこと、、

ありそうなことではなく、こうあってほしいとする政治家のモデルは
本の最後の部分にこう書かれている
(これは国会議員の分野だろうが)

156から157ページ
政治という仕事は、情熱と判断力の両方を使いながら、硬い板に力を込めて、ゆっくりと穴を開けていくような仕事です。世界のうちで不可能と思われることに取り組むことがなければ、今可能と思われることも実現できない事は確かですし、歴史が示す経験からも、それは確かなことです。 しかしこれを成し得るのは、指導者でなければならないのであり、単に指導者であるだけではなく、素朴な意味で英雄でなければならないのです。そして指導者でも英雄でもない人は、すべての希望が挫折しても耐えることのできる心の強靭さを、今すぐにそなえなければなりません。それでなければ、今可能であることでさえ、実現できないでしょう。
現実のうちで貢献しようとしているものと比較して、世界がどれほどに愚かで卑属に見えたとしてもくじけることのない人、どんな事態に陥っても、「それでも私はやる」と断言できる人、そのような人だけが政治へ「召命(ベルーフ)」「天職」をそなえているのです。

理想を語り、諦めず、意見の違う相手の尊厳を認めた上で
具体的な知恵を出せる人、、、
そういう人を選ぶことが、今回できれば良いのだが

 

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