パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

御園座で「ジークフリート」(愛知祝祭管弦楽団の演奏会形式による)

2018年09月03日 08時46分59秒 | 見てきた、聴いてきた(展示会・映画と音楽)

チケット購入は数ヶ月前、ずっと楽しみにしていた愛知祝祭管弦楽団の演奏会形式による「ジークフリート」
一昨年の「ラインの黄金」昨年の「ワルキューレ」に続く三番目の上演が昨日(9月2日)あった
会場はなんと御園座、いつもの芸術劇場のコンサートホールが改修中で使えないので
新しくなったばかりの御園座に白羽の矢が当たった

数ヶ月前、ネットで早々とチケットを手に入れた
早いうちだったので、「良い席」を優先的に回してくれたのだろうけれど
この席が前から7番目の中央
音楽を聴くのとセリフを見るのには「良い席ではないかもしれない」と思ったが
たまにはこのような席も良いかもしれないとそのまま手にした
そしていざ現場で座ってみると、やたら近い、、これが歌舞伎なら役者さんの表情も見えて
「良い席」なんだろうが、音楽はどうなんだろうと少し不安になった


4年をかけてアマチュアオーケストラによる「ニーベルングの指輪」の全曲演奏のこの企画
とても気合が入っている
演奏は上手い下手を超えてどこか熱っぽい、それだけじゃなく演奏会形式というものの舞台は
証明やら小道具だけでなく、会場で配布されるパンフレットもいつもかなり充実している

ストーリーをわかりやすく漫画で紹介したページもあリ、これをざっと読んでおけば
あまりセリフを気にしないでも聴いて(見て)いられる

と言っても、やはり歌っている内容は気になる
左右に縦に電光掲示板でセリフの表示があるかと思ったが(新国立劇場はそうなので)
今回の御園座では舞台のとんでもなく高い部分
自分の席から電光掲示板を見ようとするとかなり見上げなければならない
そうすると、今度は音楽に集中できない
困ったな、、と思いつつ、音楽に集中すべきか、、慣れに任せるか、、と最初は戸惑いがち

今回は予習しなかったが、昨年新国立劇場で飯守泰次郎の「ジークフリート」を体験し
大体のストーリーの記憶があるので、セリフをパット見ただけでどのような状況かが
何となくわかり、徐々に音楽に集中できるようになった

ところで、あれっ!と思ったことがある
歌い手さんの声が響かない、、
新国立劇場では歌い手さんの「声」の力そのものに驚いたものだ
大声を張り上げているわけではないのに、体が共鳴体のように増幅してどこまでも届く
その驚くような感覚が今回は殆どなかった
これは歌い手さんの実力によるものか、それとも会場の音響がデッドなせいかわからない
でも、明らかに違いはあった

歌手の中ではアルベリヒ役の歌い手さん大森いちえい氏が圧倒的な存在感だった
その独特な風貌と演技力、そして声の力で、「ラインの黄金」では間抜けな小人だったのが
時間を経過して筋金入りの悪になっていったのがわかる気がした

ジークフリートの見せ場、よくできたところは多分2幕
大蛇となったファフナーと戦うところ、森の小鳥たちと会話するところなど
メルヘンチックな味わいがあるが、この日の小鳥役は子どもたちがカラフルな衣装を着て登場
(歌うのは大人だったが)これは大いに納得がいったというかホッとした
恐れを知らない純なジークフリート、彼と会話ができる様になるのはあの子どもたちのような存在である小鳥
大蛇の血を舐めたから小鳥の会話を理解できるようになったとあるが、これが新国立劇場のような大人だと
なんだかしっくりこない、、この演出はこちらのほうが良かったかな

演奏はどうしても尻上がりにノッてくる事が多い
第一幕でも証明が赤くなり、ジークフリートが自分で刀を鍛え始めるところぐらいから急に音楽が
説得力を持つように感じられた
奏されたライトモチーフが体の中にどんどんと浸透していき、
一幕が終わったあとでも頭に中にいつまでも繰り返し繰り返し鳴っていた
(ヴァーグナーの音楽は時々こういうところがある)

3幕はヴォータンとジークフリートのやり取り
無邪気な孫が自分を乗り越えて行く、それに期待するヴォータン、、このあたりまでは良いのだけれど
新国立劇場でもそうだったが、眠っているブリュンヒルデが目覚めてからが、やたらと長い
ジークフリートを見守ったのは自分だたっとか、ジークフリートの求愛に直ぐに応じない理由を挙げてみたり
行きつ戻りつ、、、正直なところ、退屈する(ヴァーグナーの台本のくどさ、、みたいなものを感じる)

オーケストラの演奏はバランスの良いブレンドされた豊かな音色というわけにはいかない
でもそれを補ってあまりある熱さがあった
会場で見ていた(聴いていた)人も満足だったが、一番充実感を味わったのは一年かけて練習してきた
オーケストラのメンバーだったのではないか、、、(きっとそうだ)

これで4年越しの指輪の企画も残すところ「神々の黄昏」のみ
これは2019年8月18日に、今度は芸術劇場コンサートホールで行われるとのこと
ここまで来たら最後も聴く(見る)予定
何しろチケット代が破格に安い、、今回の席は4000円だった(これなら絶対に元は取れる)

ところで、会場で配布された音楽関係のたくさんのパンフレット
いつもの透明の袋に入っていなくて、そのまま渡されたので持ち運ぶに不便
ということで、指輪絡みのトートバックを購入した

書かれている言葉は「ニーベルングの指環」の最後のセリフ
Zurück vom Ring(指輪に近づくな」
そうそう危ないものには近づかないほうが良いってこと、、


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 3度目の正直(ポール・マッカ... | トップ | 人はパンさえあれば良いのか... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

見てきた、聴いてきた(展示会・映画と音楽)」カテゴリの最新記事