パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

人はパンさえあれば良いのか、、、

2018年09月04日 09時41分17秒 | あれこれ考えること

先日読んだヒトラー・ナチ関係のことが気になっている
どうしても今の日本と重ね合わせてしまうのだが、似ているところがあまりにも多い
ちなみに読んだ本は、「ゲッベルスと私」「白バラは散らず」「ヒトラーに抵抗した人々」

現在では当たり前のように批判されるヒトラーとナチ
しかし当時のドイツ国民は彼らを支持していた
第一次世界大戦の敗戦でどん底状態だったのを、アウトバーン等の公共投資を
積極的に行うことで経済の回復を実現、そして迫り来る共産主義との戦いを声高々に訴える
そしてユダヤ人が世の中の富を不当に搾取している、優れているのはアーリア人で
ユダヤ人や不具な人々は生きるに値しないとまで決めつけ
それを排除することまで行うことを、国民の多くは無言、あるいは見て見ぬふりとか
無関心で結果的に支持した

その時の大衆・国民の関心事、重要なことはただただ経済的なことだけだった
それさえクリアされれば、どこかで行われつつあった気持ち悪くなるような非人間的行為も
知らないことと自分自身を納得させようとした

その時代に、目覚めた市民、と政権中枢部分にいた一分の人々
彼らは打倒ヒトラーを目指した
しかしそれはすでに戦勝中であった自国ドイツの敗戦を願うことであり、そこには彼ら自身のなかにも
気持ちの踏ん切りが必要だった

抵抗した人々の行動がバレたり失敗した時、大衆は彼らを反逆者とか非国民と批判した
しかしミュンヘンの大学生ショル兄妹によって行われたビラによる対ヒトラーへの戦いは
「ドイツ国内にもこのような人たちがいる」という事実を対戦国にも伝わり
全部のドイツ国民が問題ではなく、政権に問題があるとの考えを持つのに役立った

市民(ショル兄弟)の活動は地味なチラシ印刷と配布
その内容は、人としてどうあるべきか、今のドイツはそれができているか、、といった
とても高邁な多分キリスト教の影響と哲学的な内容で、分かる人には分かるといった内容だったが
(わかる人が多かったのは驚くことだが)
後によりわかりやすいヒトラーや彼の進めていることへの批判がわかりやすく記述されるようになった

もう一つ抵抗運動である立場の上にいる人々は、ただ単に打倒するだけではだめだと考えた
フランス革命が起きた時、自由・平等・博愛が叫ばれ人類の夢のような民主主義が可能になったと思われたが
現実にその後のフランスに起きたことは不完全な人間の不完全な政治や社会のあり方
この歴史を踏まえて、抵抗する知識人は「もう一つのドイツ」なる打倒したあとのあるべき姿を模索した
しかし7月20日の計画は失敗、計画に携わった人々は刑死され、多くの国民は彼らヒトラーに抵抗した人々を批判した

戦後となって評価はかなり変わってきて、ショル兄弟の活動は映画になったり、
7月20日の国家に対する活動のように思えるものも、正義の抵抗をしめしたものとして肯定的に捉えられている

でも、問題はそれらは戦後の評価
重い事実は、あの当時のドイツ国民はヒトラーを、ナチを熱狂的に支持したということ
ただ単に自分たちの周りの生活(経済)さえ良くなれば、人として見過ごしてはいけない多くのことを
見過ごしたり、無関心を装ったこと

この部分が今の日本と似ていないかとついつい思ってしまう
アンケートをすれば政治で一番の課題は経済政策と出てくる
経済が良いから(本当かな)求人倍率が高いから、株価が高いから
その他の不都合な事実(森友学園・加計学園・南スーダン日報問題・公文書改ざん問題・伊藤詩織氏をレイプした人物の突然の逮捕中止
十分に議論されないまま進められた参議院議員の定数増加・同じく強硬に進められたIRカジノ法案等いろいろ)
は目を閉じて見ないふりをしつつあるようなこの国の現状
おまけにナチがユダヤ人を区別したようなことが、この国では「朝鮮人とか韓国人・反日」軽蔑的な使い方・ヘイトスピーチが行われている
それを批判する人には「ヘイトスピーチにも表現の自由がある」と無理筋の理屈をこねる

ナチには「エリート」への恨みが根底にあったとも言われる
当初のナチの主要なメンバーは、知識人・最初から軍部にいた軍人・政治家ではなく
彼らエリートが為したことは屈辱的なベルサイユ条約を承認したに過ぎないと批判する
どちらかといえば非エリート・底辺に生きる人々が占めていたとされる
そしてその非エリートの直接的な訴えは国民の感情に届いた

実際には国民がナチを支持したという事実
これは、国民は(大衆は)正しい選択ができないかもしれないという理解にもつながる
いつまで経ってもこのことが気にかかる

民主主義のシステムはもともと不完全なもので、その時々で注意して見守っていかないと
うまく機能しないといったことよりも、いま現実に日本の世の中で起きていること
自分だけが良ければ、他の重要なことには目を閉じたままにするとか、無関心とか
それこそ心が何も感じないと思われるようなことが、、、とても不安

歴史は繰り返すといわれる
バカな歴史を繰り返さないためには、、、謙虚に過去から学ぶこと
でも、その歴史を知ってきたら今が怖くなてしまった、、また繰り返すのではないのかと

ちょいと心配症の小市民の不安


 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 御園座で「ジークフリート」... | トップ | 山の国 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

あれこれ考えること」カテゴリの最新記事