パンセ(みたいなものを目指して)

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敗北感と絶望感に襲われた

2022年06月24日 09時35分49秒 | あれこれ考えること

木曜日のボランティア、外国にルーツのある子どもたちの日本語の勉強の手伝い
(自分の担当は小学校5年生の男の子)
それが終わって帰るときは、敗北感とか絶望感に陥ることが多い
それは、この子たちは将来どうなってしまうのだろう?
という不安と
彼らは見捨てられているかもしれない!
という実感のせいだ

自分が小学生の時を思えば、真面目にその時間を過ごすのは簡単でないことはわかる
自分はそろばん教室に行ったふりをして、遊んでいたこともあった
授業が終わったあとに、3時からまた勉強をしなければならないのは
それが将来にとって大事なことだとしても、子どもにとって苦痛なのかもしれない

昨日はやる気のない様子でスタートした
いつものように漢字を1ページ埋めるのだが、最近は漢字だけ、熟語だけを書くのではなく
短い文章にして書いている(ひざの傷が治る等)
ところが、書かなければならないその1ページは、ずっと同じものが続いている
少なくとも一週間は同じ字を書いている
前にそれに気づいたときに、文章を変えようと彼と相談して書くべき漢字を変えた
それは良いのだが、今度はそれが変わっていない

「〇〇くん、新しい文字覚えよう!」
と声をかけるが乗り気でない
漢字スキルノートを見て、覚えて欲しい文字を探す
そしていくつか候補をあげる
普段なら10個くらいの漢字を書くのだが、やる気がなさそうなので半分の5つにした
だが、新しく覚える漢字は画数が多くて面倒くさそうだ
その文字を見ただけで彼の顔が曇る

残酷な現実だが人には個人差がある
物覚えの良い人とそうでない人
学校での勉強を難なく理解できる人と、そうでない人
それは勉強に向かう気持ちの問題だ、、
と一言で言い切ってしまえない現実がある

それは速く走ることのできる人と、走れない人の違いのようなもので
それも個性と言うのは違うかもしれないが、教える側を不安にさせる

「〇〇くん、漢字は画数が多くて覚えるもの大変だけど
 日本人も覚えるのは大変なんだよ。だから我慢して覚えよう
 今日、全部でなくてもいいから少しでも覚えよう、、」
「僕、日本人じゃないもん。大きくなってお金を貯めたらブラジルにお母さんと帰るもん」

この一言が、昨日のボランティアの終わった時の気分を支配していた
彼は日本での暮らしを楽しんでいない(それはもしかしてお母さんも)

何よりもショックだったのは、彼は自分が見捨てられている(かもしれない)と
気づいているかもしれないことだ
宿題は間違っていても1ページが埋まっていれば○が書かれ
放っておけば一ヶ月も同じ字を書かされる
それは彼に対する無関心の現れだ(あるいは彼に対する諦めだ)

ここでは教師に対して声をあげるつもりはない
直面すれば、ついそうしてしまいそうな気持ちもわからないではない

人の能力の差、遺伝と環境によるものとの影響についていろんな研究がなされている
ある程度は環境による要素が大きいとされているが、彼の家庭を考えてみる
彼の家庭だけがそうではないが、家に帰ると彼はポルトガル語で会話する
家にはテレビはない
ディスプレイはあるが、ポルトガル語の配信される何かを見ている
そして子どもに対して教育は大事だ!(日本語の習得も大事だ)
という認識はあまりない

同じような環境の家庭でも、教育は大事で、日本語の勉強も大事だ!
と認識していた家庭はブラジルに行ってもzoomで勉強を続けていた家庭だ
彼らの家にはテレビがあって、日本にいたときは日本語の番組を見るようにしていた

環境のせいで差がついてしまうの現実だが、実は子どもの時点でなく
親の時点で相当な差が生まれている
ある家庭は教育が大事だと認識する人たちと交流する機会が多い
一方、そうでない人の交流は「類は友を呼ぶ」の例えどおり
教育に価値観を持たない人が多い(だろう)

つまりは親ガチャだ
親の資質だけでなく親の環境、親が接する人たちの差がそのまま
子どもたちに引き継がれてしまう

彼のことを考えると、親御さんにいろいろと考えてもらわなければならないが
どこまで口を出していいか、わからない
それが為に、ますますイライラが募る

彼はあの年齢で、もう未来に対して夢を持っていないのではないか?
不意にそんな不安が頭に浮かぶ

自発的にやる気を出す様になる、、多分これが一番と思うが
一体どうすれば良いのだろう
子どもにどのような言い方をすればわかってくれるのだろう

これはこうした外国にルーツのある家庭だけに限らず
親ガチャは想像以上に深刻な問題だと実感する

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