Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

マシンロボ・フォールンの大逆襲

2009年07月16日 | 映画
『トランスフォーマー リベンジ』を観てきました。

前作が結構おもしろかったので続編にもある程度は期待してましたが、
今回も上々のデキでした。

今回の物語は前作から2年後。
オプティマス・プライム率いるオートボット軍団と、対ディセプティコン用特殊部隊
「NEST」、そして大学生になった主人公のサムが、古代トランスフォーマー族が
地球に残した遺物を巡って、復活したメガトロンとその師である反逆者フォールン、
そしてディセプティコン軍団と激突します。

7人のプライムと一人のフォールン・・・って、これ明らかに七大天使とルシフェルが
モチーフになってますよね。
かつてトランスフォーマーと接触した人類の種族的な記憶が歪んで伝えられ、
その姿が今もその恐怖のイメージとして残っているということなのでしょう。

こんなところにもクラークの『幼年期の終わり』(または短編版の「守護天使」)
からの影響が見られる気がします。

上が長編『幼年期の終り』
下はその原型短編が収録された『太陽系最後の日』(共にハヤカワSF文庫)

メカの数、SFXのレベル、そして戦闘シーンなどは1作目に比べて大きく強化。
前作ではやや物足りなかったメカ同士のぶつかり合いや人間側軍人の奮闘ぶりが、
今回はたっぷりと描写されてました。

ところで重機のふりをしていたデモリッシャーの変形シーンを見て、スタージョン中期の
中篇SF小説「殺人ブルドーザー」を思い出してたヒト、私以外にもいませんかね?

シオドア・スタージョン他 『地球の制止する日』(創元SF文庫)
(「殺人ブルドーザー」収録)

遥か古代にトランスフォーマーが人類と接触していたことや、その子孫たちが人間社会に
ひっそりとまぎれこんで、いろんなメカに擬態しながら生き延びていたという裏設定は
実におもしろかったです。

こちらはまるでA・ディヴィッドスンの奇想SF「あるいは牡蠣でいっぱいの海」みたい。

A・ディヴィッドスン 『どんがらがん』(河出書房 奇想コレクション)
(「あるいは牡蠣でいっぱいの海」(別題「さもなくば海は牡蠣でいっぱいに」)収録)

また老トランスフォーマー“ジェットファイア”(なんとロッキードSR-71!)の一言も
実に興味深いものがあります。

「ワシの父は宇宙最初の車輪だった。」

ホラ話としてもユニークですが、これがメカ種族の進化の一端を示唆する話とすれば
それだけでもう十分ワクワクしてきます。
こういう点をもっと掘り下げれば、かなり本格的なSFサスペンスができるはずですが
それをしないで単純にロボットと爆発と破壊のオンパレードで押しまくるところが、
良くも悪くも『トランスフォーマー』らしさということなのでしょう。

そういえば姫鷲さんを含めてあまり評判の良くない“下ネタ”と“下品な母親”ですが
私は結構楽しめました。
なにしろ『フライング・ハイ』とか『トップ・シークレット』とか、昔から大好きですし(^^;。
(ただし『オースティン・パワーズ』はM・マイヤーズが濃すぎてダメでしたが)

個人的には、最先端のSFXと旧きよきアメリカンホームコメディがミックスされたのが
『トランスフォーマー』の世界観だと思ってるので、その意味ではあの母親のキャラも
物語には欠かせない存在だと思います。
大学でハッパ入りのお菓子を売りつけられてブッ飛んじゃうのには笑ったし、
最後には父親を制して息子を戦いへと送り出したのもエラかったなぁ。

それにしても今回は市街戦にパラシュート降下に山岳戦闘と、オプティマスが大暴れ。
色がトリコロールなのも含めて、前作以上にガンダムっぽく見えました。
敗北して大破するも強化されて復活!というのも、ガンダムのお約束ですし(笑)。

あと忘れちゃいけないのが、サイドスワイプのカッコよさ!
こちらは動きといいソードの使い方といい、どこかガンダムシュピーゲルを思わせます。
序盤だけしか活躍しなかったのは残念だけど、今後シリーズが続くならぜひ再登場を。
あとアーシーちゃんもぜひ復活希望!(できればミカエラのバイクで登場して欲しい。)

余談ですが、スミソニアン博物館のシーンでこれ見よがしにエノラ・ゲイが映ったのは
ちょっとイヤでしたね。
日本発の玩具から生まれた映画にこれが出てくるとは・・・なんか複雑な気持ちです。
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« お台場でターミネーターとか... | トップ | 「円谷倉庫」第2弾の渋いラ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ジェットファイアーのパーツが使い捨てだったのには苦笑 (姫鷲)
2009-07-18 18:13:56
どうも、姫鷲です。
サイドスワイプ、カッコ良かったですねー。彼はゲルマン忍者に違いないと私も思いますw

アーシーに乗ったミカエラ、「ヒューマン・アライアンス」というトイシリーズで発売されますよ。スキッズとの3体セットです。
”人が乗ったまま変形できる”のがコンセプトなので、スケールも統一されています・・・が、メインのスキッズ以外はトホホな出来でして・・・。
返信する
用済みになったらポイですからね (青の零号)
2009-07-18 23:30:14
姫鷲さん、いつもありがとうございます~。

>ジェットファイアーのパーツが使い捨てだったのには苦笑
私もあれはさすがにヒドイと思いました。
除装するときは完全に廃棄物扱いでしたからね。
せめてボディのどこかに収納するとか、少しでも
感謝の念を見せて欲しかったです。

>彼はゲルマン忍者に違いないと私も思いますw
次に登場するときは、ぜひ「シュトルム・ウント・ドランク」を
やってもらいたいですねぇ(笑)。

>アーシーに乗ったミカエラ
劇中にこの組み合わせで出てなかったのが不思議なくらいです。
もしかして、次回作のためにネタを温存してるのかも?
返信する

コメントを投稿