Biting Angle

アニメ・マンガ・ホビーのゆるい話題と、SFとか美術のすこしマジメな感想など。

鋼の板金術師

2008年10月06日 | 映画
『アイアンマン』見てきました。
アメコミヒーローとしては古参組、しかもメタルヒーローのご先祖的キャラですが
ベトナム戦争を背景にした設定が時代に合わなくなってしまい、銀幕デビューが
ここまで遅れちゃった感じ。21世紀になって、いよいよスクリーンに進出です。

享楽的で世間知らずのボンボン社長である主人公がアフガンで武装ゲリラに捕まり
大量破壊兵器を作れと脅迫されるものの、持ち前の頭脳とありあわせの材料から
初代のアイアンマンスーツを作って脱出。
その後は心を入れ替えて兵器製造から足を洗うと決めた一方、無限の可能性を持つ
スーツと動力源の改良に一人で打ち込みますが、陰謀の黒幕はその成果を奪って
最強のスーツを生み出し、アイアンマンと激突!・・・というのが、映画版のお話。

エンターテインメントとしてはソツなくまとまってたと思います。
アイアンマン開発のプロセスも、戦場でハンマー片手に板金作業のマークⅠから
自宅の研究室で組み立てられたマークⅡ、そのマークⅡを改良したマークⅢと
それぞれの工程をたっぷりと見せてくれますし。
派手好きで女好きのトニー社長ですが、一番光ってるのはアイアンマン開発に
没頭しているときの姿。
ひとりで好きなことにコツコツ打ち込む様子は、ある意味で世界一理想的な
オタクライフの姿にも見えました。
手作りのガレージロボをホットロッドに見立てたカラーリングも、まさにシュミ全開。

一方、テーマとしては昔ながらのアメリカ映画を脱しきれてません。
確かに痛めつけられたとはいえ、脱出する際にはスーツのパワーと火炎放射器で
ゲリラを容赦なく殺し、最後は基地を丸ごと壊滅させてます。
帰国して兵器業から足を洗うと宣言しつつ、アフガンで犠牲となった恩人の村が
ゲリラの襲撃を受けていると知るやいなや、スーツを着こんで武力介入。
生身とパワードスーツの違いだけで、やってることはランボーと変わりません。

兵器を売らない事と武力行使を認める事は両立する、ってことなんでしょうか?
そういう点をあまり悩まないのがエンタメとして成功した部分であり、同時に
それ以上のものが見えてこない「薄さ」にもなっていると思いました。

『ダークナイト』のような平和と暴力、そして人間性に対する深い苦悩と考察は
すっぽりと置き去りにして、自分の思うままにグイグイと行動する主人公。
この行動を無邪気で憎めないものと思うか、あまりに思慮のないものと思うかで
映画全体への印象がかなり違ってくると思います。
個人的には「これがアメリカ人の考える「正義」なのかなぁ」と思ってしまい、
素直には楽しめませんでした。まあそれでもやっぱりおもしろかったんだけど。

ちなみにこのやり口ってどこかで見たことあるなーと思ってたら、まるっきり
ソレスタルビーイングと一緒なんですね。
ダブルオーの2nd第1話を見ていて、思わずヒザを叩いてしまいました。
自社の兵器を一掃するアイアンマンと、ガンダムを駆逐するガンダム。
なんだか2ndシーズンでは、さらに話が似てきそうです。
そういえばこの両作品、どっちもSONY製でしたねー。

ヒゲ社長のトニー・スタークを演じたロバート・ダウ兄ちゃんはさすがの演技派、
イヤミで自信家なのになぜか憎めないという主人公を見事に演じています。
あのヒゲ顔が赤金のスーツを着てる姿は、やっぱり憎めないんだよなぁ。
中年オタクたちに勇気を与える熱演!・・・と評価していいのか、悪いのか。
まあ中年になってひきこもるのは、まず社長になってからということで(^^;。

秘書のペッパーを演じたグウィネス・パルトロウは「素材はいいのに磨かない」
という才媛役がハマってました。女優では『ダークナイト』に勝ったかも。
演技も重要だけど、役者はやっぱり見た目も大事ですから。

最後に「ある組織」の「ある男」が出てきたのには、ちょっと驚きました。
えー、じゃあキャップとかも映画化するの?って感じ。
『アイアンマン』よりもっとアメリカ的な映画になるのは確実ですから、
作品自体にあまり食指は動きませんね。
あのキャラをどういう設定で蘇らせるのか、そこだけは興味ありますけど・・・。
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2 コメント

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トニーの胸には賢者の石? (姫鷲)
2008-10-12 12:55:30
こんにちは。姫鷲です。
インセン教授、思いっきりトニーの体を改造していましたねw
彼が化学分野の第一人者だったらコロッサスのようなアイアンマンになっていたかも。

>世界一理想的なオタクライフ
最近コミック文庫で『プラモ狂四郎』が復刊されているんですが、まさにそれです。資金と物資調達力が違うだけ。
同じ個人での兵器開発でも、バットマンは資材の取引を擬装していましたが、アイアンマンはそんな様子もナシ。社内の物資を横領してるのか、ホントに個人名義で取引してるのか・・・。まぁ後者だとしたら劇中ラストの段階で世間的には正当化されちゃってるでしょうけどねw

>アメリカ的な映画になるのは確実
国内では「愛国心の具現化」ということで誤魔化せても、「国が戦争に勝つために行なった人体実験」というのが果たして諸外国に受け入れられるのかどうか・・・まぁその辺の誕生の経緯は別設定としてお茶を濁したところで、思いっきりアメリカ国旗と国威を背負っちゃってますからね、微妙なところです。
アメリカ国外で興行成績第1位とかいうことにでもなるとホントに苦笑するしかありませんが、日本人は意外と単純ですから「人気俳優の起用」「全米第1位」という触れ込みがあれば相当数の集客が見込めちゃうので、あながち無い話でもないんですよね・・・。
あ~、だから戦争が必要なのかも! (青の零号)
2008-10-12 21:39:15
姫鷲さん、いつもありがとうございます。
板金で思いついたんでタイトルのネタにしましたが
実はいろんなところでハガレンとかぶってますよねぇ。
アークリアクターって、実は戦争で死んだ人の魂が原動力だったりして(^^;。

>インセン教授、思いっきりトニーの体を改造していましたねw
最初はどう見てもイヤがらせだと思ってました(笑)。
胸の穴も空き缶とか使ってそうなテキトーさだし。

>コロッサスのようなアイアンマン
ちょっと違う話ですが、Wikipediaの記事によると
コミック版では新型アーマーの技術にテクノウィルスが
応用されているとか。

>バットマンは資材の取引を擬装していましたが
あの社長の場合、ポケットマネーでバンバン買ってそう。
自分だけで作ってるから、最後に何ができるかは
本人にしかわからないんでしょうし。

>国が戦争に勝つために行なった人体実験
ウルヴィーみたいにそこを強調して描くというやり方も
あるとは思いますが、キャラがキャラですから
あんまりネガティブな話はできないと思います。
なまじ巧妙なプロパガンダ映画になったほうが
タチが悪いのも事実ですしね。
むしろシンプルな愛国者映画になったくれたほうが、
悪意を感じないかもしれません。

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