ビスタ~リ通信

山のこと日常のことを、思いつくままに。

劔岳 カニと白エビ三昧

2011-08-14 | 山のはなし
110802 劔岳

わいはん撮影

8月2日(火)室堂→雷鳥平→別山乗越→劔沢テント場

歩き出しは曇りだが、雷鳥平に向かう間に晴れてきて、立山三山を見る事ができた。もうもうと蒸気を上げる地獄谷や雷鳥平で遊ぶ雷鳥の親子。室堂から歩き出してすぐに次々と夏山の景色が我々の目の前に現れてくるのだが、こうも間髪入れずに見せつけられるとちょいと気恥ずかしい。
雷鳥坂を一気に登って、別山乗越からゆるりと下り、劔沢テント場へ到着。3度目の劔岳は室堂からのコースで。室堂から3時間あまりでテント場について、その後は翌日の劔岳往復に備えて充分休息を取る。テント設営後は持ってきたワインを飲んだ後、夜行バスの睡眠不足を解消するため速攻で寝た。

8月3日(水)劔沢テント場→一服劔→前劔→劔岳 往復

朝から霧雨。降り続くような雨なら中止だが、止みそうな気配。これならばと、雨具を着て5時過ぎに出発した。新築の劔沢小屋の横を通り過ぎ、雪渓上を歩いてこれまた築浅の剣山荘へ。トイレをお借りして、一服劔へと登る。一服劔まで鎖場が2カ所。鎖場をカウントしたプレートがある。これは復路で、ビールまであと鎖場いくつ、とカウントダウンできてよい。
一服劔の狭いピークをややくだって、前劔への急登にとりかかる。途中、割れた音が響いてきて、なんだ、と思ったら、山荘のラジオ体操の音であった。
ガレた急坂なので岩を落とさないように気を遣いながら登っていく。岩を落としたら、後ろのわいはんより、さらに下の方にいる登山者に当たる可能性の方が高い。緩やかな登りになり回り込むように前劔のピークに到着した。
一服劔を下に見ながら休憩。前回歩いた時は視界ゼロだったので、思い出の補正をすることができる。前劔からはキレにキレた稜線となる。あんさんら、厳しい自然の刀匠が作り上げた芸術作品をとくと楽しみなはれ、と言われているような気がする。前劔からほどなく門を通過し、平蔵の頭、コルを過ぎてカニのタテバイ。これらを通過した後、わいはんに感想を聞く。「怖いというより楽しい」。やろうな。ここより怖い山は世の中にいっぱいある。そやけど、今の楽しさが一瞬にして恐怖に変わってしまうこともあり得る。それが分かっているから楽しくても安心はない。山やからね。
ぼんやりと霧で霞む祠が見えてきた。山頂到着。「この辺が3,000メートルかな」と山頂標識を高く掲げて写真を撮っていると、そばで休憩をしていた人に笑われた。
山頂からくだってカニのヨコバイへ。何人かが列をつくっていたが、なんだかんだで押し出されて先頭に行かされた。ここはしっかりと両手で鎖を握って思い切って足場に足が届くまで、体ごとずり下げれば後は大丈夫。次に下りてきた女性に足場を教えて、その次のわいはんはその女性が教える、という風になった。
後は、上りと若干違うルートを歩く所もあるが大体同じ道を引き返す。行きしなに寄った剣山荘の前で、夫婦づれの奥さんの方が、小屋の前で写真を撮ったらとだんなさんに促すと、無事に下りてきてから生ビールとともに撮るから今はいい、といった会話をわいはんがそばで聞いていた。そのだんなさんと同じく生ビールが飲みたくなってきたらしく、一服劔まで戻ってくるとそわそわしだした。
剣山荘に着いて生ビールをすぐに飲み干したが、わいはんの顔は浮かない。なんやねん、持ってきたワインが足らへんなら小屋でビール買えばええやろ、というと、いや値段が……、とテント場に着いてからも押し問答を繰り返す。足りないと思いながらワインをちびちび飲んでも酔えないからビール買ったら?と何度目かに言ってやっと決心がついたらしく、劔沢小屋に行ってビールを買った。そこで初めて新しい小屋を見たのだが、そこから見る限り、玄関のそばに談話室があり、昔の風情のままといった感じ。ビールを買ってきてからは、時々見える劔岳のシルエットに目をやりながらのんびりと過ごした。

8月4日(木)

テントが乾くまでと言っていたらいつまでたっても撤収できないので湿った状態で撤収した。
それでも、テント場でのんびり朝を過ごしての出発だ。こういうの、久しぶり。別山乗越までゆるゆる登って行く。何度も振り返ったが劔岳はその姿を見せてはくれなかった。雷鳥坂を下っていくと、しんどそうに登ってくるたくさんの登山者とすれ違った。雷鳥平から整備された遊歩道を登っていき、みくりが池温泉へ。温泉に立ち寄っていった。そこからあっという間に室堂バスターミナルへと戻ってきた。