私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

立役と女形に付いての梅玉の考え

2013-03-14 10:44:13 | Weblog

 中村歌右衛門こと梅玉は高尚の質問に答えています。

 基本的には、一人の役者が女形と立役をするのはよくはないのだが、之を始めて嵐小六が演じた。初めこの小六は女形であったが、途中から男役に変った。見る人は、小六は女形が他の方がいいというので、時々女形もやっていたが、その女形の情が何とも言えないと云ってほめそやしておったのだそうです。しかし、これは小六に限って出来るのもであり、団蔵(市川)や吉三郎(嵐)などは女形は決してしないと云っていたのだそうです。第一自分が女形を演じれば、その情が十分に役として演ずることができなく、その為に、立役にも十分にその役を演じさせるとができなく申し訳ないのでやらないと云っていた、と。でも、時々自分も女役をするのは、その吉三郎と芸をあらそい、自分の芸を磨くためにしている。更に、九化もやっておる。
 と。結局、男、女の二役は名人と呼ばれた役者がするにはいいが、今は、誰でも男女の二役を演じるているが、それは、決して、好い事ではない、と、高尚は結論付けております。

 それはそれとして、このような歌舞伎の芸談が役者と出来る高尚のその道の大きさにも驚らかされます。

 尚、このような書き物からも、宮内芝居には、このような江戸や大坂の一流役者が来ていたと云うことが分かります。それだけで、2週間の長丁場が保たれた原因になっているのです。岡山や姫路や広島の城下町ではなく、この宮内にです。大きな顔をして「たいしたもんじゃあございませんか」と言える所以がここらにあるのです。


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