私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

沓冠(くつかぶり)

2013-05-21 09:56:08 | Weblog

 「沓冠」<くつかぶり>と云うお遊びの歌をご存知ですか??私も始めて聞く名前でした。頓阿法師と兼好法師の関係を調べているうちに、2人の間で、昨日、取り上げた歌がありました。

 “もすず ざめかり まくら そでのあき だてなきまぜ”

 これが兼好法師から頓阿法師に贈られた歌です。今、赤で記したそれぞれの文字を辿れば「よねたまへ」となります。「よね」ですからお米のことです。「お米をください」と云う事を、このような歌で言い表わしたのです。また、この歌の逆から一字づつをたどれば「銭も欲し」と読めます。

 なんと洒落人のおしゃれなお遊びでしょうか。こんな風流がいつの頃からでしょうか我が国にはあったのです。日本以外の国では見られない大変ユニークな粋人と云いましょうか雅な人にしかしかできない文学的なお遊びだったのです。き真面目一辺倒の人には決して出来ない芸当だったのです。
 
 なお、高尚先生は、相当な生真面目な方ではありますから、「沓冠」のような駄洒落の効いた歌は詠まれたことはないとは思うのですが、「ひょっとして」と云う思いがありましたものですから、彼の書物から、あちこちと探してみたのですが、私の見た限りでは、残念とでもいいましょうか、やっぱり見当たりませんでした。

 この兼好法師の歌のお相手だったのが、高尚先生が万葉以降の最高の歌よみとされた頓阿法師だったのです。彼はその返しとして
 “よるもうし ねたくわがせこ はてはこず なほざりにだに しばしとひませ”
 の歌を送ります。「よねはなし せにすこし」。その結果どうなりましたでしょうか????

   お後が宜しい様で!!!