私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

宮内芝居に出演した役者

2013-03-15 19:39:49 | Weblog

 梅玉こと、中村歌右衛門と藤井高尚が鶏頭樹園で会談した話を紹介しているのですが、この文政三年の秋の吉備津神社大祭の歌舞伎には、今ではとても考えられないような多彩な、それも超一流な、役者が来宮しております。その名を挙げてみます。

 中村歌右衛門、坂東三津五郎、市川団十郎、、関三十郎、岩井平四郎、片岡仁左衛門、松本杢四郎、嵐 小六、中村歌六、市川団蔵、沢村国太郎等の名前が出ております。大坂と江戸の大役者が大挙して出演したのだそうです。その芝居見物のための賑わいは想像を絶するものがあったことには違いありません。それも一日や二日ではありません。十六日間も連続してです。

 その合間を見ての中村歌右衛門と藤井高尚との会談ばなしが書き残されているのです。それが「落葉の下草」です。 
  余談ですが、このような大がかりな江戸大阪の役者の顔ぶれが一堂にそろって出演したのは、現在、宮内に残っている記録によりますと、この時が最初で最後であったようです。それにしてもこれだけの役者をよくぞ揃えたものであると感心させられます。そこらへんの交渉は、例の宮内の親分、岡田屋熊次郎の力があったからだとも言い伝えられております。

 なお、捜しておりますと、これらの役者の中、関三十郎、の錦絵がありましたので載せておきます。その鼻に特色があり、「鼻の三十郎、」と呼ばれていたとあります。念のために。そなん錦絵にも登場するような有名役者がそろって来ていたのです。