私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

「おきめくらしも」

2012-11-23 09:33:30 | Weblog

 高尚の京都にある私塾「鐸舎(ぬてや)」についての松屋文後集に、「おきめくらしものふるごと思ひいでらるればなり」と書いてありますが、別項を設けて、わざわざ、この「おきめくらしも」についても説明しています。それによりますと

 「顕宗天皇の置目老媼(オキメオミナ)を慈みたまひて大殿の戸に鐸を懸けて其老媼を召さむとする時は必その鐸を引き鳴らしたまい、ある時、“あさぢ原小谷をすぎてももづたふぬてゆらぐとも置目来らしも”と御歌よみしたまいひし事を云へるなり」
 とあります。

 何故、特に、此の置目老媼について、わざわざ高尚がここに書き記したかと云うと、「鐸」についてもそうですが、その師である本居宣長が「古事記伝」の中で取り上げ、詳しく説明しているかだらと思います。その中で
 「鐸は奴理弖(ヌリテ)と訓べし。鈴の大きなるを云り、鐸の字、説文に大鈴也、と云うに当れり」
 と。 また、続いて
 「 須受(スズ)は総名にて其中に大きなるを奴里弖とは云なり。故に古書に、須受をば鈴と書き、奴里弖をば鐸と書て、鈴とは書ず。」
 と、説明しています

 城戸千楯等が作った私塾[鐸舎]の名前の由来を高尚は <そのゆらぐぬての音に鈴の屋の学のふりを慕へる心ばへはおのずからこもりてこそ> と最後に書いております。