私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

はなしゅうしょたされた?  

2012-07-15 08:16:33 | Weblog

「わしゃあ、ミコト おめえにええように殺ろされてしもうて、こげんとけえ うめられてしもうて むなくそがわるうてしょうがねんじゃ。せえじゃけえいうんじゃねんじゃが、わしが、今、しんぺえしとることはのう。ちょびっと いうのがはずかしんじゃがなあ。わしにゃあのう おめえはしらんとおもうんじゃが でえれえ、かうぇえらしいおなごがおったんじゃ。阿曾媛というんじゃが、わしがおった鬼ノ城のふもてえおるんじゃが。せえつがどうしょうるかきになってしょうがねんじゃ。たのむけえなあ、わしのくびゅう  こげん とこじゃあのうて、あんたがおるとけえうめて、せえから、そのおなごをそこのもりにやとうてくださらんかのう」
 と、しきりに頼むのじゃそうな。ミコトもそりょうきいて かええそうになったんかしらんが、ミコトの釜殿の下を八尺もほて、そけえうめなおしたんじゃ。せえから、その阿曽媛を連れて来てのう、そのお釜の番をさせたんじゃ。そうしたらなあ、今まで、あげえなおおけえこえでうなりょうたんじゃが、ぴたりんことやんでしもうたんじゃ。・・・・・・おうそうそう、夢の中の温羅はなあ、こげんことも いようたんじゃ。『ミコトの釜殿を阿曽媛にたかせてみんせえ。そうすりゃあなあ。その竈が、おんら、おんらとなるけえなあ。そのうなりょうるけえが、ものすげえおおけかったときゃ、せえからはええことばあがおきるんじゃ。はんてえに、ちょびっとしかならなんだり、ひとつもならなんらりしてみいな、わりいことばあおきるけえ。そりょう わしがここから うらなうたるけえ、おがみにくりゃあええんじゃ』というたんじゃ」。

 せえからというもん、里人やそこらへんのもんがなあ、自分の吉兆をうらのうてもらいに、しょっちゅうくるようになったんじゃと。
 「こげんことをしてつかあさるんじゃけえ、温羅も まんざらわりいひとじゃあなかたんじゃな 」
 人々ははなしゅうしょうされたんじゃ

 これが、鳴る釜のイワレです。此が我が故郷に伝わる本当の温羅伝説なのです。その中から、小雪物語で「熊五郎の鳴竈会」を考えたのです。また、次回から小雪物語に戻ります。よろしく。