私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

再び、仙台でのビスカイノ達

2011-11-16 17:28:04 | Weblog
 12月に入り寒さも厳しくなったため、根白に至ったビスカイノ達は、そこから北への探検は止めて、再び、仙台へと引き返します。そして8日に仙台まで帰りますが、すでに政宗は「オレー」のために仙台には居ませんでした。

 この仙台で、ビスカイノはどうしてかは知らないのですが、仏教僧侶と会って、
 「坊主等と議論し、彼らの悪行殊に男色其の他に付きて責め、或者は論破され又恥を感じたることににつきても述べず。彼らは言い訳として、彼等の神の外に神あることを聞かず、祖先の教えたる事をなしたるなりと言へり。彼等の曖昧なることは大に憐れむべし」
 と、感じたと書いています。

 坊主は基督教など聞いたことがないというのだそうです。又、男色などという誠に罪深い行為に付いても、祖先の教えたることをしているのだから何も悪いことではないとしか答えなかったのです。「大いに憐れむべし」としか書いていませんが、この場で、ビスカイノは、仏教の奥義などに付いては議論せず、男色などの当時の僧侶の実生活における悪行に付いてのみ議論したのではなかったのでしょうか。なんて憐れな宗教であろうかという思いがしたのではと思います。

 このビスカイノは、最初に訪れた仙台で会見した伊達政宗の勧めで見た瑞巌寺に対して、「木造にては当寺を以って世界に並ぶものなし」と言わしめたのですが。その坊主ドモのやっていることは、仏教寺院の建物とはずいぶん違って、下品でお粗末なものだという思いが強くしたのではないでしょうか。

 残念ですが、ビスカイノの私的な思いが書き綴られた書きものではありません。この書はあくまでもイスパニア国王に対する探検報告書という公文書なのでから、個人的な思いなどは思いも及ばないものなのです。