私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

江漢が食べた刺身は鰆か

2011-03-04 11:37:51 | Weblog

 江漢は、一体、二十日間、岡山で何をしていたのでしょうか。江漢の書き残した本を調べました。 すると、江漢はこの「画図西遊譚」の他に「西遊日記」と云う書物も書き残している事も知りました。 その日記には


 「二十五日。天気大西風烈し。朝五時出立して行くに寒風骨を透かす。・・・・漸くにして岡山石関町赤穂屋喜左衛門方へ行く。親子出でて「只今御帰り」かとて、奥の離れ座敷へ伴ひ、炬燵をしてゐて、湯に入る。食事して酒の肴、刺身を出だす。その切身歯に当りてゴリゴリという、刺身の氷りたるなり。当春へかけての寒さ、四十年此方の寒気と申す事なりとぞ。・・・・・・・」

 と書かれてあります。
 なお、ここに書かれている「刺身」の事ですが、あまりの寒さの故に刺身も氷ついていたのでしょう「ゴリゴリと氷りたる」と書かれています。岡山地方の此の期の刺身と云えば、江戸人にはどう映ったのかは分からないですが、どんな刺身か書いてはいないのですが、多分鰆だったのではないでしょうか?この時期の鰆は脂が乗って大変おいしく頂けるのです。
 この前、2月19日にあった西大寺の会陽見学に東京から来た友人と一緒に食事をしたのですが、その時、とっておきの岡山の鰆の刺身も用意しました。その友人は
 「是が鰆の刺身か。初めて食べたが、大変おいしいね」
と言って沢山食べていただきました。関東の人は刺身と云えば「マグロ」ですが、我が岡山では、鯛か鰆が刺身の代名詞ぐらいになっています。ですから、此の時、江漢が食べた刺身は多分鰆だったのではないかと想像しています。