私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

厳しい残暑です。一服の清涼剤をどうぞ!!

2010-08-22 10:38:27 | Weblog
    
  
 どうですきれいでしょう。
 
 此の朝顔について、今日は、宗治の書簡を受け取った秀吉話を、又また、置いといて、例の如くにわき道に反れます。

 
 秀吉と云えば、まず、私の頭に浮かぶのが千利休です。この高松城の戦い当時は、天正十年の事ですから、当然、此の時には、利休はこの戦いには参加して居るはずもありませんし、まだ、利休は信長公に仕えていた時だったようです。
 記録などをひも解いてみても、吉備の国とこの利休とは、直接的には無関係なのだそうですが、強いて挙げるとすると、是も故事付けですが、茶祖である栄西禅師が、「我が町 吉備津」出身だったと、云う関係から、まんざら無関係だとも言い切れないのではないかとも思われるのですが???。
 
 ここで、突然に話が、又、有らぬ方向に飛びます。
 
 この利休は朝顔の花が、とても好きで、毎年、利休の庭に植えて、その清楚な姿を楽しんでいたのだそうです。
 そんな話を何時だったか忘れてしまったのですが、どこかの本か、それともテレビだったかもしれませんが知りました。現在でも、日本各地に朝顔市が立つ程だそうですから、こよなくこの花を愛でている人がいることは確かです。でも、私の周りには、そこら辺りに、畑の隅にも、山にも、いくらでも転がっているような平々凡々たる花の一つぐらいにしかとらえてはいませんでした。そんなに特別な目で、この花を眺めたことはありませんでした。
 今朝も、畑の野菜に水をやっていました。どうしてかは分からないのですが、今朝に限って、畑の隅に有る柿の木の下辺りに、何やら2,3こ、白っぽい花が咲いている事に気付きます。自然に生えた朝顔が、遅咲きの花を付けていたのです。もう2.3日前から咲いていたのでしょうか、私は気付いてはいませんでした。
 「何だ。こんな所に朝顔が」
 と、母がとても好きだったので、仏壇にでもと、一輪取って帰り、先ず、食卓に置きます。
 何気なく、そのコップに投げ入れた食卓の朝顔の花を見ました。これも、どうしてかは分からないのですが、今朝は、珍しくつくづくと眺めました。すると、今まで、一度たりとも、思っても見なかったその色の美しさに惚れぼれしてしまいます。
 「うちの朝顔って、こんなにいきれいだったかなあ。気が付かなかったなあ。是が我が家の朝顔か」
 消え入りそうな白と云ってもいいような薄い桃色で、夏の己を朝の化粧と洒落ているではありませんか。
 花びら全体が五つに区切られいて、そのきちんとジョウゴ型に開いている姿を、生まれて初めて見る様に眺めます。なんという優雅な姿でしょうか。でも、それは、今まで、私が、いつも目にしているあの普通の朝顔の花びらです。それを、つくづく見ていますと、なんだか今まで気に掛けなかった私の不注意のようにも感じられるから不思議ではありませんか。
 「誰がどうしてこんな形に、色って何でしょう、花はどうして夕影しらぬ朝なのでしょうか。・・・」
 次から次へと、いくらでの疑問が、雲のようにわき上がってきます

 そのままコップに挿した朝顔を眺めます。葉と茎と花とが、誠にすっきりとした形で、下から上へと順序よく並んでいます。誰が一体何のために、こうも整然と創り上げたのでしょうか。その茎先には、明日か明後日の日の為にでしょうか、それはそれは小さな花びらの元を、ちゃんと既に結び付けています。それすらも、今朝は、大変珍しい事のように奇妙に感じられました。

 それから、しばらくその朝顔を眺めていました。神の為せる技としか言いようのないような自然の造化に驚かずには居られません。その色と形のマッチした姿のなんて神々しいのでしょうか。朝顔自身以外の何ものにも、決して、出来ない不思議な美しさの世界に魅せられます。
 それから、暫らく、食卓の上に置いた朝顔に見とれていました。
 「早く食べないと、おみおつけ冷えてしまいますわよ」
 つれあいの言葉に促されながら、でもまだ、花を見つつ箸を走らせます。
 自然って、本当に尊いもんですな。そんなことすら知らないで、此の自然を汚している私を含めた人間って、本当にもう滅びるしかないもんでしょうか。
 その摩訶不思議で、人の手では、決して、造る事が出来ない美の造化を写真でご覧らんいただきたいものだと思います。
 こんなの、今日の残暑よけにはならんでしょうなあ


 なお、蛇足です。 一説によりますと、千利休のこの朝顔好きが、秀吉に切腹を命じられる原因の一つになったのではと、言われています。人の手では決して作れない造化の美の世界の利休と、殺伐たる人間関係の義の世界の秀吉との違いが、その主な原因だったのではないかと思われます。