私の町 吉備津

藤井高尚って知っている??今、彼の著書[歌のしるべ]を紹介しております。

独り春を洩らす・・・

2009-11-22 17:12:03 | Weblog
 千入の森と茶祖堂の間に梅林があります。
 ここでは、百花未だ開かざるに先立ちて、独り春を洩らし、紅梅と白梅が交わり乱れ咲きます。
    ・あわれしる 人はきてみよ 夕月に
               鶴なく園の 梅のさかりを   斎藤忠敬
    ・かをらすは 雪とのみ見て 過ぎなまし
               梅の林の 花のさかりを    福田某

 梅の季節に是非、特に、月夜の梅見はいかがでしょうか?
 私は、まだ、かって一度も月夜の梅見はしたことがないのですが。斎藤氏の歌のように「あわれしる」こと間違いないと思っています。

 私は、この斎藤氏の歌を詠むと、「春の夜のやみはあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる」の歌がいつも心に浮かびます。

 なお、園の北東に位置するこの辺りは、梅桜楓3つにはっきりとの区切ら林で、対角線上にある二色ヶ岡の森とはまた違った趣を呈しています。
 
 そこらあたりの対称の面白さも永忠の意図とした回遊式庭園としての後楽園の特色だろうと思っています。
 ただ、四季折々その時その時だけの自然の織り成す美の探索ではなく、永遠の時を捉えて恒久的な普遍的な美しさを、その瞬時の美しさの中から把握できるようにと、造園意図を置いたのではないかと思うのですが????
 要するに、これでもか、これでもかという永忠の思いがいっぱいに園中に敷き詰められたように配置されている庭園であるのです。
 見えないものの中から客観的な、普遍的なものを見破るだけの確かな眼を要求したのです。そんな偉大なる芸術家でもあったのだのです、永忠は。