「お姉チャンに聞いてほしいことがある」
という義妹が、深刻な顔で我が家にやってきた
彼女は中学生二人の子を持つ男性と付き合い
今月から結婚を前提で一緒に暮らし始めていた
「なんだろうね、聞いて欲しいことって…」
彼女が来る前、僕ら夫婦は色々と想像した
「きっと姑が鬼のような人なんだ」とか
実は旦那がスゴイ酒乱…だとか
我ら夫婦は色々に考えたのだった
で…
義妹はやってきた
僕は遠慮して席をはずす
数時間後
義妹はスッキリした顔で帰っていった
後でカミサンから聞いた
「悩み」の内容とは＊＊＊＊＊＊＊＊
旦那（になる人）は酒も煙草もやらず
穏やかに性格で、零細ながら企業を経営し
月収は８０万円で経済に困ることはない
が…
二人の子供は大食いで
朝は５時に起きて、旦那と子供
計３人分の弁当を作り
狭いながらも一軒家の掃除と
想像を絶する大量の洗濯
それが毎日続き
「私はお手伝いさん？」と
空しくなってきたというのだ
まるで自衛隊の食事係になった気分だという…
さらに子供は
嫌いなオカズだと食べず
ご飯にフリカケだけで食事を済ます
近所に住む義理の両親は
毎日のように連絡してきて
週に３日は野菜をドッサリ持って来る
姑らに会うのはわずらわしい
来春に結婚の予定だが
もう その気が無くなった
正月頃には、また姉の側に戻って来たい
と涙ながらに語ったというのだ
ここまで聞いて
僕は腹が立ってきた
「３０過ぎて
何を甘えたことを言っているのか」と
しかしカミサンは
「フムフム」
「そうか、そうか」と聞いてやり
義妹は散々泣き、散々食った（昼飯）後に
スッキリしたと帰っていったのだ
話を聞いて呆れる僕にカミサンは
「人の悩みなんて
誰かに話すだけで
その殆どは消えるのよ
多くの悩みなんて
所詮、そんなもの」
「本当の悩みは
むしろ誰にも話せないもの」
「世間には自分のこと以外に
真剣に悩む人もいる
それは不幸に苦しむ友人のことだったり
人類の未来のことだったり
地球の行く末のことだったり…」
「どうせ悩むなら
そういうことで悩む人になりたい」
そんなことを言うカミサンを
僕は子供が大人を見るように
見つめてしまったのだった
←やっぱり悩みは自分のこと…？
