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ディスクブレーキにスルーアクスルが必要な理由

2016-06-03 00:01:00 | ディスクブレーキ
これは非常に分かりやすいですね。


下からの突き上げの力の掛かり方


ハブのねじれの力をスルーアクスルの受け止め方


ブレーキを掛けたときの力の掛かり方。裏側からの図(フォークのブレーズがそのままなのはご愛敬)



正面から見たハブのねじれの力をスルーアクスルの受け止め方


裏側から見たハブのねじれの力をスルーアクスルの受け止め方



従来からのストレート式ドロップエンドがディスクブレーキ制動時の力を受けた場合


最近採用が進んでいる斜め前ストレート式ドロップエンドがディスクブレーキ制動時の力を受けた場合
http://cyclingtips.com/2015/10/road-bikes-are-headed-towards-through-axels-but-why/

おそらくMTB乗りやディスクロードを長時間乗り込んだ人には説明するまでもなく分かって居る理論です。でもあらためて理屈として見てみるとなるほど、ディスクブレーキはスルーアクスルの登場を持って完成したということが非常によく分かります。

MTB乗りでも、経歴が長い人が居ると思います。思い出してみて下さい。初期のディスクブレーキはフロントブレーキを掛けたとき、特に急制動時、左に持って行かれる感じがしませんでしたか? ハンドル自体もそうですが、バイク自体が。ディスクブレーキ出始めの頃は、ワンポイントファイブ規格も提唱されていませんでした。要するにブレーキングパワーをバイク全体が受け止められていなかった訳です。それを解消するには剛性強化(ワンポイントファイブテーパーコラム)の必要もありましたが、結局スルーアクスルを採用することに依るパワーの分散だったのです。

リヤサスバイクに置いてもここらへんに近いことがありました。リヤブレーキを掛けたときに、リヤサスの挙動が妨げられるというものです。シングルピボットと4バーリンクだとその違いは明らかだったりしました。それを解消するために前三角にトルクロッドを「取り付けるメーカーもごく少数存在しました。今それをやっているのは……、フォーズくらいでしょうか。あと右コーナーと左コーナー、バイクの挙動が違った物です。フロントに比べてスルーアクスルの必要性はそこまで強くありませんでしたが、結局は導入されました。まあ29erの普及に依るところも大でしたけど、リヤブレーキの性能向上という副産物もあったことは間違いないでしょう。

ドライブトレインを例に取ってみましょう。現在は論じられることすらありませんが、自転車ほど軽量で速度が出る物体がこれほど左右の重量バランスが崩れているというのはなかなかないでしょう。乗り手の利き腕、利き足の違いにもよりますが、ディスクブレーキよりはるかにバイクに与える影響は大きいかと。

でも結局そこは目をつぶってしまっている。そして慣れてしまっているからでしょう。ホイールやクランク部のジャイロ効果だけでなく、乗り手の脚部の運動もバイクを安定させている要因だと思いますが……。さらに付け加えると左右チェーンステーにかかる力が異なることに目を付けた左右非対称設計、リヤホイールの左右テンションバランスを是正した完組ホイールの力も大きいかと。そこにもう一つ付け加えると、中心部で入力されて回転させるのは後部であるということ。回転部分が後ろ三角に収まっていることもあるかと思います。

ディスクブレーキとスルーアクスルの関係は、構造そのものに価値があることはなんとなく分かってもらえたと思います。もちろん剛性も大切な要因ですけど。あ、あとこの図だけでは不完全なこともあります。ブレーキングパワーがすべて上にだけ逃げるようになっていますね? しかし最新の設計は台座の下部分がエンドの方に通じる設計になっていますから、少ない割合ではありますが、下方にブレーキングパワーが逃げます。これもディスクブレーキを急制動したときにあまり左にバイクを持って行かれなくなった要因であると私は考えています。

この構造はフロントサスペンションでは一般的ですが、ロードフォーク、しかもフラットマウントではおそらく出来ません。なにかしら革新的な設計が出てくれば話は別ですが。ローディーは軽快なハンドリングにこだわる人が多いです。この部分が何かしらネックになってしまう可能性は否定できません。ディスクブレーキ、スルーアクスル、そこにマウント形状も考慮すべきなんでしょう。

ここはディスクロードの今後の課題ですね。