スコットカーボンバイクの流れ、CR1、アディクトとはなにやら佇まいが異なります。ここからスコットの新しい時代が始まるのでしょう。
個人的にはエアロ特性を強調したいなら、もっとリムハイトの高いホイールを付けても良いのではないかなと思います。
そうそう、こっちの感じです(笑)。やはりエアロロードにはディープリムがよく似合います。ただハイロード全般なんですが、ホイールのグラフィックにセンスがない! 一差し色を入れれば、もっと格好良くなるとおもいますよ。とはいってもレースで使っている黄色いハイロードロゴは勘弁ですが。
シートチューブには『スコット・エアロダイナミクス・サイエンス』と書かれており、空力特性を重視したいわゆるエアロロードであることが分かる。
ヘッド周り。ワンポイントファイブのテーパーコラムになっている。
シートピラーはなんとインテグラルを廃止してきた。そしてシートクランプをトップチューブに埋め込むことで、一体感のある美しい集合部に仕上がっている。
http://bicycling.com/blogs/boulderreport/2010/07/02/scott-unveils-new-aero-road-bike/
http://www.bikerumor.com/2010/07/02/first-fuzzy-look-2011-scott-f01-aero-road-race-bike-and-htc-columbia-news/#more-19369
全体写真を見てもらうとわかるのですが、エアロと謳いつつあまりエアロではありません。自転車界では一般に
3対1の割合で縦が長ければエアロ効果を発生すると言われています。UCIの規制もこれ以上はアウトと成っています。
でもこのF01のチューブは3対2という数値なのです。そして近くで見た場合、涙滴断面形状ではなく、かなり普通な角張った形状をしています。これがこのフレーム最大の秘密らしいのですが……、まだ分かりません(ペコリ)。トレックが新型エアロバイクで言い始めたカムテールデザインと似たようなところがあるのかもしれません。
因みにカムテールってあんまり特別な技術でも概念でもないです。車は結構昔からリヤをストンと切り落としたようなデザインがクーペやスポーツカーにありましたが、あれがまさにカムテールです。始めはだまされそうになりましたが……。70年代には既に提唱されていたようです。私もあの尻切れデザインは空力的に問題ないということは知っていましたが、カムテールという名前はちょっと知りませんでした。カムバックで覚えていたような……? 言葉とは恐ろしいですねえ(苦笑)。
閑話休題
チューブに目をやると色のせいか、シートチューブを含むリヤ三角の各チューブはかなり角張って見えます。
ヘッドチューブはワンポイントファイブのテーパーコラム。もうお約束ですね。
そして最も意外だったのがシートポストです。インテグラル形式を捨て、専用のエアロ形状ポストを使ってきています。面白いですねー。
フレーム単体では840グラムとなります。アディクトほど病的な軽さ(笑)ではないですが、十二分な軽さです。BB90なので、おそらくプレスフィットBB仕様でしょう。
細かいところはまた後日。
追記
オフィシャルが出てきたので足しておきます。そして空力図も。
今回の断面は涙滴ではなく、どちらかというとおむすび型ですね。スコット自体もアディクトの丸チューブの方が軽くできると言っています。でもF01の新型チューブの方がより優れていると。幅で言えばTTバイクのプラズマの方がはるかに薄いです。ですがチューブ幅広く、風下側を切り落とすことで仮想的に長大なエアロフォルムを取り、空力により秀でたフレームになったようです。
空力というのはとても難しく、これだけという事では語れません。しかしちょっとさわりだけ。
風をコントロールするには、物体の前面(風上)と後面(風下)を分けて考えるのがいいでしょう。さらに中間(物体が空気と接する部分)もあれば完璧です。
前面はまさに向かってくる風に対してどのように身を隠すかが大切です。薄ければ薄いほど、細ければ細いほど押し戻される力から逃げることが出来ます。自転車では前面投影面積の減少が主な対処法です。モーターサイクルや車などはカウルが許されているので、前面投影面積の減少だけでなく、より積極的に空気を制御する前面が採用されます。
後面は風が通り抜けていくのを整然と送り出すことが重要です。なので一般的なエアロフォルムは後面が段々と細く薄くなっていくのです。これは整った形で空気が抜けていってくれないと、物体の後方で風が渦巻きを作り出してしまうからです。この渦巻きの力・ボルテックスの力は非常に強大で、負圧として物体を後方に引っ張ります。これは野球のフォークボールや飛行機の羽と同じ原理です。あれらは前面と後面の圧差が生み出す現象なのです。それゆえに空力が考えられていない物体は遅くなります。
スピードを出す物はボルテックスを発生させないために、様々な対策が考案されています。ゴルフボールのディンプルも良い例です。あれは大きなボルテックスができないように、小さなボルテックスで風をボールに引きつけて制御しているのです。風をいなすとでも言えばいいでしょうか。
F01に採用されている技術は、ジップの最新ホイール404クリンチャーと似た部分があります。あれも従来よりリム幅を拡げて、仮想的にリムハイトを高く設計しているのです。だからよりディープな808よりも空力特性に優れるのです。
トレックのエアロコンセプトは仮想的な涙滴形状の長大化より、斜めからの風を重視していることが押し出されていますが、もちろNこの効果もあるでしょう。
風の出入りのスムーズ化は空力特性の向上に繋がります。このバイクもここら辺をかなり考えて作られているようです。楽しみですねえ。
でも……、自転車で一番の空気抵抗は人間なんです。バイク自体での20%の抵抗削減は非常に大きいですが、走る状態に成ったとき、数%以下の影響しか及ぼしません。0.幾つなんてことも珍しくありません。
それでも追求してしまうのが、自転車乗りの悲しい性ですね(苦笑)。
他にも目を向けてみましょう。
ヘッドチューブはテーパーヘッドチューブなんですが、ダウンチューブ側はともかくトップチューブ側もギリギリまで太さを保っています。ヘッド周りの容積を拡大し、剛性と安定感を向上させる最新バイクの流行の手法です。
そして面白いのがシートチューブです。見ての通りストレート形状で、シートチューブへの接続箇所をトップチューブとの交点に持ってきていません。これは突き上げなどのエネルギー伝達を和らげるのが目的かと。アーチシェイプとは異なった方法論で、快適性を増そうとしているのでしょう。
非常によく考えられていると思いますよ。