その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、映画、本などなどについての個人的覚書。SINCE 2008

ハリウッド映画も顔負け!: オペラ「アイーダ」/ジュゼッペ・ヴェルディ @新国立劇場オペラハウス

2018-04-15 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)


 目が舞台に引きつけられ放しの4時間弱だった。評判には聞いていたものの、フランコ・ゼッフィレッリの演出は、期待値を大きく上回る豪華絢爛な舞台だった。特に第2幕のラダメスの凱旋シーンの壮大さは、これまでのオペラ観劇歴でも有数のもの。

 オケ、歌手、合唱陣もそれぞれ持ち味を生かして、演出に負けないパフォーマンスで、舞台を盛り上げた。

 パオロ・カリニャーニ指揮の東フィルは伸びやかで開放的な演奏で、良く鳴っていた。金管陣やオーボエのソロなどにも聴き入った。

 歌手陣では、アイーダ役のイム・セギョンは韓国出身の方。パンチが効いた太めの声で、声量も大きく、東洋人っぽさは感じず、アイーダ役にも違和感なかった。表現に豊かさ、深みがあるともっと良かったと思う。

 アイーダの恋敵アムネリス役のエカテリーナ・セメンチュクが印象的。演技・歌唱共に素晴らしく、一途にラダメスを想う王女の誇りと愛を表現しており、存在感はナンバーワンだった。

 ラダメス役のナジミディン・マヴリャーノフは安定したテノール。ただ、声量においてややパンチ不足で、ヒーローとしてのアウラもあまり感じなかったのは残念。

 日本人勢は、アモナズロ役の上江隼人の演技が印象的。誇り高いエチオピア王としての存在感がしっかり。ランフィス役の妻屋秀和は安定したパフォーマンス。逆にエジプト国王の久保田真澄は演技、歌唱共にエジプト国王の強さが表し切れてなかった気がした。

 いつもながらだが、新国立劇場の合唱団は秀逸。第1幕の舞台袖からの巫女の小林由佳の歌唱も清らかで素晴らしかった。

 1幕、2幕の豪華絢爛さに対して、第3,4幕は一転して心理劇となる。4幕1場のラダメスとアムネリス、2場地下牢でのアイーダとラムダス、夫々の緊張感あるやりとりはドラマとしても魅力たっぷりで、このオペラがハリウッド的単なる豪華娯楽作品ではないことが良くわかる。

新国立劇場開場20周年記念特別公演に相応しい公演だった。


(新国立劇場Twitterより拝借)

2018年4月14日

2017/2018シーズン
新国立劇場 開場20周年記念特別公演
オペラ「アイーダ」/ジュゼッペ・ヴェルディ
Aida / Giuseppe VERDI

全4幕〈イタリア語上演/字幕付〉
オペラパレス

スタッフ
指 揮:パオロ・カリニャーニ
演出・美術・衣裳:フランコ・ゼッフィレッリ
照 明:奥畑康夫
振 付:石井清子

キャスト
アイーダ:イム・セギョン
ラダメス:ナジミディン・マヴリャーノフ
アムネリス:エカテリーナ・セメンチュク
アモナズロ:上江隼人
ランフィス:妻屋秀和
エジプト国王:久保田真澄
伝令:村上敏明
巫女:小林由佳
ほか

合 唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

20th Anniversary
2017/2018 Season

Music by Giuseppe VERDI
Opera in 4 Acts
Sung in Italian with Japanese surtitles
OPERA HOUSE

5 Apr. - 22 Apr., 2018

Staff
Conductor Paolo CARIGNANI
Production, Set and Costume Design Franco ZEFFIRELLI
Lighting Design OKUHATA Yasuo
Choreographer ISHII Kiyoko

Cast
Aida RIM Sae-Kyung
Radames Najmiddin MAVLYANOV
Amneris Ekaterina SEMENCHUK
Amonasro KAMIE Hayato
Ramfis TSUMAYA Hidekazu
Il Re KUBOTA Masumi
Un messaggero MURAKAMI Toshiaki
Sacerdotessa KOBAYASHI Yuka

Chorus New National Theatre Chorus
Orchestra Tokyo Philharmonic Orchestra

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