その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

バイエルン国立管弦楽団/指揮:キリル・ペトレンコ/ワーグナー 楽劇「ワルキューレ」第1幕ほか @NHK音楽祭

2017-11-30 08:00:45 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)
もう2か月前だし、沢山の方々が「名演!」を連呼されていたので、今さら感たっぷりだが、一応個人的記録として。

素晴らしい公演だった。サプライズばかり。

マーラーの「こどもな不思議な角笛」が始まって驚いた。オケの音がとっても柔らかい。いつも聴いているN響の音も柔らいかいけど、さらにその上を行っている。その上、音がきらびやかで、キラキラしてる。ゲルネはN響でも聴いているが、表現力豊かで、味わい深い。

後半のワーグナー「ワルキューレ 一幕」は更にインパクトのあるパフォーマンスだった。凄いのを聴いた。ジークムントを演じるフォークトの透明感あふれるテノールには終始痺れっぱなし。ジークミントのバンクラトヴァも、甲高くなく、自然体で美しいソプラノ。フンディング役のツェッペンフェルトも存在感たっぷりだった。

オケがこれまた素晴らしい。超自然体で、歌手を引き立てつつも、伴奏ではない。徒に大きな音を出すわけでもなく、しっかり自己主張してる。個々のパートもチェロを始め、木管・金管陣も心憎いほどうまい。NHKホール慣れしてない外国オケをこのホールで聞くと、いつも欲求不満が残るのだが(一昨年のロンドン響とか。このホールでの響かせ方はやっぱりN響がホームグランドとして世界一上手いと思ってしまう)、この日のバイエルン管はとてもアウェイとは思えない鳴らし方だった。質量のバランスが絶妙で、音が心にストレートに響いてきた。よっぽどペトレンコのバランス感覚が優れているのだろう。

終演後の大喝采はわたしのNHKホール史では最大級のもの。2年前のパーヴォさんのマーラー1番の時もすごかったが、勝るとも劣らない。私としては、今年No1を競う公演だった。胸がいっぱいになるという久々の体験だった。


バイエルン国立管弦楽団
指揮:キリル・ペトレンコ

2017年10月1日 NHKホール

マーラー/こどもの不思議な角笛
バリトン:マティアス・ゲルネ

ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」第1幕 演奏会形式(ドイツ語上演)

ジークムント:クラウス・フロリアン・フォークト
ジークリンデ:エレーナ・パンクラトヴァ
フンディング:ゲオルク・ゼッペンフェルト
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