その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

酒井譲 『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』 (光文社新書)

2013-03-29 00:58:05 | 


 分かり易い文章で書かれた「人材育成」の入門書。 タイトルにある「日本で最も人材を育成する会社」というのは筆者が勤めるフリービット社の目標とのこと。

 人材育成について、概念モデルなどの理論と筆者が勤めるフリービット社の実例などの実践が、程よくブレンドされています。一方で、個々のトピックスについての掘り下げは深くないので、実際にこの仕事に就いている人、就いたことのある人には、あまり新しい知見は得られないでしょう。

 私自身、「育成ターゲットの設定」や「教育効果の測定」など、課題の切り口は興味を引かれた一方で、内容は簡単なものだったので、むしろ欲求不満がたまりました。例えば、最終章の「育成プログラムの具体例」。確かに、読書手当、社内ミニブログなど今までの育成本には無い施策が紹介されていますが、「仕掛け」のレヴェルに留まっていて、これらが、会社を強くする本質的な人材育成策とは思えません。もちろん、金科玉条の有効な方法論などあるわけないので、こうした「仕掛け」の組み合わせ、積み重ねが大切なのでしょうけど、私の琴線に触れる分析や指摘は残念ながらあまりありませんでした。

 それだけ、企業の人材育成というのは難しい分野であるということなのかもしれません。悪くはないけど、強くは薦められないという、感じです。


(個人的備忘録)
・バックワード・チェイニング
行動をゴール(営業なら受注後の入金)の経験から初めて、遡って入口(営業ならアポ取り)を経験させる。




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