ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ほうせんか幻想

2021-04-04 22:34:12 | 日記

                           ほうせんか幻想



                       おかん

                      きょうの朝
                      あまりに太陽の日射しがまぶしく
                      めまいがして
                      よろよろ
                      と
                      知らない町を歩いていた
                      ぼくの手は
                      赤く染まって
                      ああ

                      おかん
                      知らない人を刺してしまった
                      おかん
                      理由なんかない
                      ただ
                      太陽がまぶしすぎて
                      何も考えられず
                      悪意も殺意もなく
                      ぼくは
                      AIのロボットの腕と化して
                      勝手に動いたのだ

                      おかん
                      20世紀のなかばで
                      理不尽な
                      理由もない
                      殺戮はあっという間に
                      世界に蔓延して
                      21世紀には
                      普通の出来事になっちまったよ
                      たいくつな
                      悲惨が
                      美食レポの横で
                      繰り広げられて

                      ぼくの涙は
                      充血した目から
                      まっきっきに
                      汚れて流れていく
                      濁流さ

                      おかん
                      いきるって
                      なんだろね

                      14歳で哲学者になってしまったよ
                      いま
                      生きていることが
                      充分に大事なことなのかもしれない

                      ぼくはこの手を洗い流して
                      いきなおそう
                      汚れてしまったら
                      もうすでに
                      ぼくがぼくでなく
                      ぽかんと
                      空の上

                      真昼の決闘は
                      ただの幻だった

                      手のひらに
                      ほうせんかのはなびら

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