ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

哀愁

2020-07-29 21:54:18 | 日記

                         哀愁



                    降り積もる時の雨に撃たれて
                    そこらじゅう穴だらけ
                    ぽつりぽつりの雨だれや
                    暴風雨に揺さぶられ

                    今にも倒れてしまいそうな
                    シロアリに食われてしまった柱
                    つたが絡まって
                    かろうじて立っているのか

                    かじまる
                    お前は長い間そこにいて
                    幹は太く
                    コケや
                    ひげが伸びたから
                    枝も重く
                    垂れ下がっている
                    重い体は
                    朝の軽やかな風に吹かれても
                    揺れもしない

                    年月は
                    とめようもなく
                    流れて
                    酸化させ
                    劣化を
                    促している

                    時間を
                    惜しみ
                    いとおしく
                    思っても
                    流れていってしまう

                    だから
                    写真に切り取り
                    そこに残したいと
                    あの時間が
                    そこにあったことを
                    証明するために

                    慣れないスピードの車で
                    あの場所へでかけているのだよ

                    もはや
                    太陽の熱で
                    吹き出る汗が
                    ぬぐえないから

                    何も思わず
                    白い砂利道をひたすら駆けていた
                    あのときにはもどれないから