妖精が見える子供

不思議な雰囲気をもったの息子ジュー。
双子の姉のリンと共に、毎日ニッコリ暮らしています。
最近にゃ~ずが仲間入🐱🐱

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ジューに向き合えるまで・・・10

2004年07月01日 21時07分34秒 | ジューに向き合えるまで
桜をみると2人が産まれたときを思い出す。
とても温かい日だった。
退院した日は桜が満開でとても綺麗だった。
3年しかたってないのにもう遠い昔のように感じる。


私は保育園に向かっていた。
自転車で走ると風が心地いい。
ジューの髪が私の顔をくすぐる。子供独特の甘い香りがした。

園の前で自転車を停めて深呼吸をする。

「ねぇ~ママ。明日からここにくるんでしょう。リンちゃん楽しみだな~」

「お友達がいっぱいできるといいね。」

門を開け2人が走っていく。

同じ病院で出会ったMさん、いやM先生が私を見て走ってきた。
まだ春休み中で子供たちも少なかった。

「こんにちは!あれからどうしてたか気になっていたの。ジュー君・・・大変だったね。」

私は今までの事を短く話した。

園長先生が私に気がついてこっちにやってきた。
「いよいよ明日ですね。
お母さん、ジュー君とリンちゃんは職員全員でしっかり見ていきます。ジュー君は絶対に伸びます。何かあったら必ず言ってください。一人で抱え込まないで。一緒にジュー君を育てていきましょう。」

M先生がジューのクラスに連れて行ってくれた。
小柄なとても可愛らしいK先生が明日の入園式のための準備をしていた。

挨拶をして今までのことを話した。
とても真剣に聞いてくれた。
ここでジューは3年間過ごすことになる。

園庭に一人の男の子がいた。M先生は言った。
「こんな事言ってはなんだけどあの子ジューくんよりひとつ上の子で自閉症なの。お母さんは彼が赤ちゃんの時に亡くなったのよ。」



明日は入園式だ。
周りをみると私は決して一人ではなかった。

さっき今度一緒に入園する仲のいいのお母さんに会いジューのことを言ってみた。
とても勇気がいったけど。

「気がつかなくてごめんね。つらかったよね。」
彼女は本気で泣いてくれた。

「リン、ジュー、明日からここにくるんだよ。」

背筋をのばして前を向いて生きていきたい。
そう思いながらペダルを踏んだ。





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ジューに向き合えるまで・・・9

2004年06月30日 03時08分40秒 | ジューに向き合えるまで
ある日母がうちに来た。
リンは大喜びで私には目もくれず母に甘えている。
私はそれがとても腹立たしかった。
リンは最近あんな笑顔を私に見せたことはなかったから。

私はまだどうやってこの子達に接したらいいかわからなかった。
このままではいけないと思いつつも前へは進めなかった。

母とリンがしゃべっている。
とても楽しそうだ。横でジューも寝そべっている。
2人ともとてもリラックスしている。

こうして見ていると2人ともとても小さい。
まだ3歳にもなっていないのだ。
私は自分に嫌気がさしていた。
私がこの子たちにしてきたことはいったい何なんだろう・・・

リンと母の話し声が聞こえた。

「リンはママのお腹のなかでもジューとずっと一緒にいたんだよ。皆がリンとジューが生まれてくるのをすごく楽しみにしていたんだよ」

「ママも楽しみにしてたの?」

「ママが一番楽しみにしていたよ。」

「でもママりんちゃんに怒ってばっかりなの・・・」

母が私を呼んだ。
「リンとジューがお腹にいたときの写真をみせてあげて」

なんでそんなこと・・・とも思ったが二階に行って本棚をのぞくと赤と白のチェックのアルバムがでてきた。
私はずっとそのアルバムにお腹のエコーの写真を貼っていたのだ。

私はそれを持って黙ってリンに渡した。
白黒のなにかよくわからない写真が何ページにもわたり貼ってある。
母がリンに説明している声が聞こえた。

「あんまりわからないね。ママに聞いてみようか」

べつに今更見る気はなかったが母の手前しかたなく2人の所に行きアルバムをのぞいた。
写真の下にはいろいろなことが書いてあった。
母がそれをリンに読んでいった。


「うれしい!やっと子供ができた。双子のようだ。」

6週目「5ミリと3ミリ。心臓がうごく。小さな命だ。すごい!私はとても感動している。」

3ヶ月「1センチ8ミリ2頭身になる。もう人間の形になっている。とても可愛い。」

4ヶ月「6センチ。とても小さい手が見えた。」

5ヶ月「10センチ。147グラム。胎動はまだ感じないが2人ともとても元気に動いている。」

6ヶ月「男の子と女の子のようだ。嬉しい。頑張って育てていこう。」

8ヶ月「張り止めと貧血の薬をもらう。まだ小さいからもう少し待っててね。」

9ヶ月「ここまでくれば一応安心らしい。よかった。無事に生まれますように。」

10ヶ月「よく頑張ったね。出てくるときは赤ちゃんもとても苦しいらしい。ママも頑張るから、2人とも頑張ってね。」


「陣痛がはじまったようだ。痛い。苦しい。でももうすぐ私の夢が叶う。絶対に大事にするから頑張って産まれておいで。」


2人がまだ本当に小さい、まだたまごだったときから写真の下に必ず書いてある言葉。

それはまぎれもなく私がずっとずっと願っていたことだった。

「早くあなた達にあいたい。ここにきてくれてありがとう。」

そう、私はずっとあなた達に会いたかったのだ。






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ジューに向き合えるまで・・・8

2004年06月17日 03時48分03秒 | ジューに向き合えるまで
ある晩私はひとつのホームページに釘づけになった。
自閉傾向のあった男の子をもつ母親のページだった。
2歳の時に保育園の先生に「自閉症ではないか」と言われ
通園施設に通い今は地元の小学校の普通クラスに通っているらしい。

書いてあるその男の子の雰囲気があまりにもジューとそっくりだったのでとても驚き
「もしかしたら・・・」という希望を持った。

治らないと言われているだけで本当は治るのかもしれない。
もしかしたらジューには奇跡がおこるかもしれない・・・。

きっとジューもこの男の子のようになれるはずだ。
会話だってできるようになるだろうし、リンと兄弟喧嘩だってするようになる。

この前だって初めて「リンちゃん」と言えたし道のこだわりも無い日だってあるのだから・・・



私はジューが初めてリンの名前を呼んだ日からますますジューに固執するようになっていた。

嫌がるジューに本を持って追いかけ言葉を教えようとした。

おやつだって「ちょうだいが言えるまであげない。」と何時間も
「ちょうだいは?」「ちょうだいは?」と繰り返した。

何度言っても椅子に座らないジューを叩いて座らせ「いただきます」や「ごちそうさま」を強要させた。


だが何をやってもジューは口をつぐんだままだった。

リンの名前もあれから呼ぶこともなかった。



私の実家に泊まりに行くとリンは私の母に異常に甘え私のところに来る事はなかった。
寝る時でさえ私はリンから泣きながらながら拒否された。

実家から帰る時は、まるで母親から引き裂かれる子供のように泣きさけんだ。
「おばぁちゃんのところに帰る!」

もういっぱいいっぱいだった。
私は本当にこの子達と最悪の道を選んでしまうかもしれない・・・


私はジューに似ている男の子の母親にメールをだした。
顔も名前も知らない人にこんな事を・・・とも思ったが私はそれしか方法がないような気がしていた。
初めてでどう書いていいのか解らず何行かの文を2時間かけて。

返事が返ってきた。

今でも忘れる事はないとても優しい思いやりに満ちた文だった。

「最愛の息子さんを「自閉症」と言われた時の衝撃は私には痛いほどわかります・・・」

涙があふれてくる。
今まで誰も私に言う事ができなかった言葉。
私は多分誰かに言ってほしかったのだ。

「あなたの気持ちがわかる」と。

私の気持ちをわかってくれる人がいる・・・

私は子供のように大声で泣きじゃくった。
ジュ-の障害がわかった時の涙とはまったく違う種類の温かい涙だった。













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ジューに向き合えるまで・・・7

2004年06月14日 07時27分50秒 | ジューに向き合えるまで
毎夜毎晩「自閉症」を検索しては読みふけっていた。

私はパソコンにまったく興味はなかったが少しでも情報がほしかった。
ジューには何も変化はなく私はとてもあせっていた。

ジューは自閉症なんだという思いと、いや、ジューのことだけは間違っているのかも、という両方の思いで胸をざわつかせながら・・・



リンはちょうど魔の2歳児と呼ばれる時期で毎日毎日
「いや!しない!嫌い!」を繰り返していた。


「ジューこっちにおいで。本読んであげる・・・あっぱらぱらめくっちゃ駄目だよ。これがキリンだよ。首ながいね~これが・・」
「ママ~リンちゃんにも読んで!」
「あ~もう!リンは後でって言ったじゃない!リンが来たからジューがあっちにいっちゃったでしょう!」

なぜこの子は私の言う事が聞けないんだろう。


「ママ~おしっこ」
「ちょっと待ってて。ジューこれはね・・・」
「でちゃったよ~」
「あ~もうあんたは何やってんの!ママ忙しいんだからね!」

なぜこのこは私を煩わすんだろう。


「さっ靴履いて。いくよ。」
「いや!ママが履かせて!」
「自分でできるでしょう。」
「いや!リンちゃんはママがいいの!」
「なんで出来ないの!あんたは自分でできるでしょう!」


なぜこのこは私を困らせることばかり言うんだろう。


このこがいるとジューとの時間がつくれない。
こうしている間にもジューとほかの子の差は広がってしまう。
なんとかして私がジューを普通の子にしなければいけない。
取り返しの付かない事になってしまう前に。

リンは普通の子なんだからジューにもっともっと時間をかけてあげなくては・・・
それにしてもリンは泣いてばかりだ。イライラする。

私がジューの事でこんなに大変なのに。
私がジューのことでこんなに頑張っているのに。
このこはなぜ私の邪魔ばかりするんだろう。

今思えば信じられないのだが、私はこの頃リンを本当に疎ましく感じていたのだ。
私が拒めば拒むほどリンは私に執着した。
それがリンに対しての怒りになり私はリンを可愛いと思えなくなっていた。

こんなはずではなかったのに・・・。
私はこんな思いをするために、いやさせるためにこの子達を産んだのだろうか。


そんな憂鬱な気持ちで何日か過ぎたある日リンが食事中にお茶をこぼした。
「テレビばかり見てるからでしょう!もう食べなくていいから外にでてなさい!」」
私は大声で怒鳴り泣いているリンを外に放りだした。
「ママ~ごめんなさい。ごめんなさい。お茶こぼしちゃってごめんなさい。」リンが大声で泣いている。

こういう事が起きてもジューは何とも思わない。
どうせ今だって知らん顔で・・・。


その日ジューはその様子をジッと見ていた。
そして静かに椅子をおり窓に近づいていった。

そっと窓を開けてリンを見つめる。

「リンちゃん・・・」

初めて本当に初めてジューがリンの名前を呼んだ瞬間だった。










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ジューに向き合えるまで・・・6

2004年06月09日 06時58分27秒 | ジューに向き合えるまで
私はとても子供が欲しかった。
欲しくて病院に通って嫌な治療も痛い思いもしてきた。

妊娠がわかった時は嬉しくて先生の前で思わずバンザイをした。
そして泣いた。

大好きなお酒も飲まなかったし双子はリスクが多いというので食事にもとても気をつかった。
2人が無事に産まれますように。

毎日お腹をさわって願っていた・・・


児童館はその日も人がいっぱいだった。外が寒いので暖房がきいていてとてもありがたい。

私は2人を離れたところでみていた。
顔見知りのお母さんが近づいて来る。
私は誰とも話したくはなかったが、かといって避けるわけにもいかず黙ってその人の話を聞いていた。
姑の事で悩んでいるという。
彼女は私に姑がどんなことを自分にしてきたか自分がどんなに我慢をしているか話していた。

「皆が健康でいいじゃない。それが一番だよ」と言ってみた。
彼女は私の言葉が自分の言って欲しかった言葉ではなかったので少しガッカリしたようだったが又姑のことを話し出した。


「私の子自閉症なの。結婚もできないし一生治らないの」
と彼女に言ってやりたくなった。彼女はどんな顔をするのだろう。
姑のことなんてジューのことに比べるとたかがしれている。

児童館では子供達がたくさん遊んでいた。
リンは知らない女の子とままごとをしている。
ジューはジャングルジムにのって上の方ををジッとみていた。

これだけ子供達がいてもジューの栗色の髪や愛らしい顔立ちはとても目立つ。
ジューの近くにいたお母さんたちがジューを見て「この子かわいいね。私もこんな子が欲しかったわ」と言っているのが聞こえた。

ほんのこの前までは自慢だったジューの容姿もただの飾りのように思える。
ジューはとてもかわいい。でも障害者なのだ。


自閉症は1000人に1~2人の割合で産まれてくると書いてあった。

ボールであそんでいるあの子でも・・・
けんかばかりしているあの子でも・・・
姑の悪口ばかり言っていたさっきの彼女の子でも・・・

ジューじゃなくてもよかったはずなのに。
いや、リンとジュー以外なら誰でもよかった。


私は他の人達が羨ましかった。
この人たちは、夫や姑の悪口をいったり夕飯のことや子供のおむつはずしのようなたわいもない話が楽しいと感じることができる。

私はこんな仕打ちをうけなければならない程悪い事をしてきたのだろうか。

なぜジューでなければいけなかったんでろう。

なぜ私達だけがこんなめにあわなくてはならないんだろう。


私は怒りを感じていた。



















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ジューに向き合えるまで・・・5

2004年06月06日 13時16分23秒 | ジューに向き合えるまで
夜中にふと目覚めるとリンとジューが小さな寝息をたてている。
だんだん目がなれてきて私は2人をジッと見つめる。

こんなちいさな子の首をしめるのはたやすいことだろう。
ジューと死んでしまったら後に残るリンはどうなるのだろう。
一生苦しむのか。いやそんな事も時間がたてば忘れていくだろう。
そんなことを考えながら又眠りにつく。


私は元気だった。
他人からみるとそんなことがあったとは思えなかっただろう。
ジューのことは私の母と妹と夫にしか言っていなかった。

友達との付き合いもいつも通り続けていた。
本当は誰にも会いたくはなかったし話したくもなかったのに。

でも誰にもジューのことは言えなかった。
言ったらこの人達はジューの事をどういう目で見るのだろうという事ばかり考えていた。

「あの双子の子の男の子の方、障害者なんだって。女の子の方もかわいそうね~」
皆の噂が聞こえてくるような気がした。
リンもジューのことでいじめられ辛い思いをするに違いない。

ある日実家で母と妹とで食事をした。
母も妹も私を責めなかった。それどころか私が毎日2人を公園に連れて行っていることや意外に元気そうなことを喜んでいた。

私はイライラしていた。
お酒も入っているせいもあっただろうけど私は初めて自分の気持ちを言った。

「ジューと一緒に死にたい。この子がいると皆に迷惑がかかる。さくら(妹)も結婚するときにジューがいると断わられるかもしれない。リンだってジューがいるといじめられるかもしれないし。私達が死んだらジューは皆からうとまれて生きていかないといけないんだし。ジューがいたら・・・・・・・」

私は泣きながらこれから起こりうるだろう事を言っていった。

2人は黙って聞いていた。



しばらくしてさくらは言った。

「私はジューがいるからといって不幸とは思わない。まだ起こってもいない事を勝手に想像して私達のことを理由にしないで!」

さくらは誰よりもジューを可愛がってくれていた。

二人が生まれて実家に帰ったときだってあまり寝てない私のために夜の授乳を変わってくれたり、私の家に休みのたびにやって来て本当に可愛がってくれていたのだ。

さくらもとても辛かったはずだ。

でもそんなさくらの言葉もそのときの私には届いていなかった。

私は言った。



「あんたに私の気持ちなんてわかるはずがない」













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ジューに向き合えるまで・・・4

2004年06月06日 08時47分19秒 | ジューに向き合えるまで
帰ってから私の不満は爆発した。

なぜ私があんなことを言われなくてはならないのか。
なぜあなたは笑っていたのか。

夫は黙って聞いていた。
私は夫を責め続けた。

なぜあなたはジューにもっと関われないのか。
なぜあなたはテレビをみて笑っていられるのか。
なぜあなたは・・・・・

「どうしたら満足なんだ!」
私の言葉をさえぎり夫は今まで聞いた事のない大声で怒鳴った。

夫はとても穏やかな人だ。
大らかな両親に育てられてとても素直で純粋で・・・。
私も子供達も夫に怒鳴られた事など1度もなかった。

夫も辛かったに違いない。
でも私達はお互いを思いやる余裕などなかった。

リンが涙を浮かべて心配そうにティッシュを渡してくれる。
「ありがとう。ごめんね。」
私達は涙をふいてジューを見た。

ジューはテレビを見ている。
まるで何事もないように。
そこだけ違う世界。ジューだけの世界だ。

初めて児童精神科にかかった日
隣で男の子が奇声をあげてもジューは知らん顔で積み木を積んでいた。
ジューだけの、私には入る事のできない世界にいた。

私達がどんなにジューのことで喧嘩になろうとどんなに嘆き悲しんでいてもジューには届かない。

「このこは・・・ジューは異常だ」私はつぶやいた。

私はジューを育てていけるのだろうか。

ジューあなたが産まれた日はすべてが輝いてみえた。

でも今私はあなたをそんなふうには感じられない。

ジューあなたは生まれてこなかった方がよかったのかもしれない。










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ジューに向き合えるまで・・・3

2004年06月03日 21時11分39秒 | ジューに向き合えるまで
私はその日2人を連れて保育園に向かっていた。

ジューのことは認めたくはなかったが何かをしないといられなかった。

あの日・・・道のこだわりが出てジューを何度も叩いた日。
あの日から私は家に3人でいることが怖くなっていた。

朝から児童館に行きお昼を食べて昼寝をさせてから夕方また公園に行く。

人から見たらいい母親だったかもしれないが私はいつジューに、ジューだけでなくリンにも手を出してしまうかもしれない自分が怖かった。

情けない話だが人前ならなんとか自分を抑えることできるような気がしたのだ。

保育園に着いて自転車から2人を降ろす。
遊具に向かって走っていく2人を見ながら思った。
「ここはジューを受け入れてくれるのだろうか」

先生が一人小さい子を抱きながら近づいてきた。

「こんにちは。園長先生とお会いしたいのですが」というと
走って呼びに行ってくれた。

50歳くらいだろうか。かわいいエプロンをかけた人が私のところにやってきた。
「こんにちは。Kです。」
直感的にこの人は私の味方だと感じた。

私はジューの事を話したがでも私自身まだジューを障害者と認めていない事だけは言わないでいた。

「大丈夫です。あなたの大事なお子さんはきちんと預からせていただきます。」

聞くとこの町にはいくつかの保育園があるが数年前までは障害のある子供はみんなこの保育園に通っていたらしい。

この後におよんでK先生の障害者という言葉に抵抗を感じながらもホッとした。

年が明けてお正月をむかえた。
ジューは何も変わってはいなかった。
私はジューを誰にも見せたくはなかったが夫の実家にいかなくてはならない。

夫は本家の跡取りだ。おじいさんから受け継いできた小さい町工場を守っていかなくてはならないのだ。
ジューも夫から譲り受けそれを守っていくはずだった。

もちろん私はジューがやりたくなければそれでいいと思っていた。好きな道を歩んでくれたらいい。

でもやらないとできないは全然違う。
ジューにはできないのだ。

行くとおじさん達はもう集まっていた。
「大きくなったね~」など話かける。
リンがジューの分まで話してくれるのではじめはジューのことはあまり気にならないようだった。

でもあまりにもリンとの差が開きすぎていた
おじさんが酔っているのか
「リンちゃんだけに話しかけているからジュー君は話せないんじゃないか。今の母親は子供にテレビばかり見せて家の中にひきこもってばかりいるから」

夫が苦笑いをしている。

わたしはひとりだ。ひとりぼっちなのだ。







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ジューに向き合えるまで・・・2

2004年06月01日 15時06分48秒 | ジューに向き合えるまで
今まで感じたことのないくらい長い一ヶ月だった。

私の母とリンとジューを連れて児童精神科のある病院をたずねた。

病院とは思えないようなつくりで少しホッとした。
車を停めると歩いてくる親子連れが見えた。

小学生ぐらいの男の子で大きな奇声をあげている。
母親は無表情でその子の手首をつかんで中に入っていった。

私一人ならすぐ帰ってしまっていたかもしれない。
リンが「おばあちゃんここは何処なの」と母に聞いている。
私達はそれを聞き流し重い足取りで中に入っていった。

受付をすませてロビーに行くと何人かの人が待っていた。
リンとジューは玩具のあるところへ走っていき遊んでいる。

お揃いの服を着た小さな二人をこの人達はどういう目で見ているのだろう。

ジューが変なことをしなければいいのに。
こういう場所に来ていながら私は人の目ばかりが気になっていた。


さっき見た子が2人の隣で突然奇声をあげて飛び跳ねた。
リンは走って戻ってきて言った。「こわい」
その子の母親にはきっと聞こえていただろうが表情は変わらなかった。

ジューはちらりとも見ない。
黙々と積み木をしている。

とても異様な光景だった。

この前児童相談所にきていたS先生が来てジューの名前を呼んだ。私はホッとしてジューを抱きかかえて逃げるように部屋に入った。

「どうですか」と先生がいった。
私は鞄の中から10数枚の紙を出して先生に渡した。

私はジューが自閉症ではない証拠をできるだけたくさん書いていた。
今思えば滑稽ではずかしいくらいだがそのときは必死だったのだ。

先生はしばらく黙って少し目を通していた。

「自閉症といってもいろいろな子がいます。パニックを起こす子そうでない子、話せる子、話せない子、これができるから自閉症じゃないのではなくてジューくんが何が苦手なのかを考えてあげてください」

今だったら理解できる。
でもそのときの私にはまったく理解できずジューが自閉症でないことを認めてもらえない事に失望した。

先生が今度入園する保育園について話始めた。
「入園前にいちどジュー君の事を話してみてはどうですか。」

ジューのことを人に言うなんてとんでもない。
あと入園まで4ヶ月もあるのに。
もしかしたら間違いかもしれないのに・・・

私はそう言いたいのをぐっとこらえていた。
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ジューに向き合えるまで・・・1

2004年05月23日 03時00分47秒 | ジューに向き合えるまで
本屋に行って自閉症と名のつく本をかたっぱしから買い読んでみた。
ジューは全然違う。
ジューはこんなことはしない。

先生は自閉症に近いと言っただけだ。
人間だし間違いもあるかもしれない。

私は自分で言っておきながらジューが自閉症でない証拠を探し続けていた。

あの日、
ジューが自閉症が一番近いといわれた日。
私は先生に違うといって欲しかっただけだったのだ。

1ヶ月後もういちどあの先生の所に行く前になんとかそれを見つけなくては。


ジューが私に笑顔でいろいろ語りかける。
「ジューはやっぱり自閉症じゃなかったんだ。本当によかった。」私は嬉しくて涙を流してジューを抱きしめる。

ふと目覚めてそれが夢であることに気づき絶望感にかわる。
そんな日が毎晩続いた。

今まで気にならなかった、可愛らしいと目を細めてさえいたジューの行動すべてが自閉症児の行動に見えてくる。

ふつうの子はこんなことはしない・・・

私は本当にまいっていた。

夫も私と同じようにまいっていた。

あの日以来何もかもが変わってしまった。


ある日道のこだわりがでた。
助手席で泣き叫ぶジュー。

「道なんてどこでも一緒じゃない!」と叫び
私は本気でジューをたたいた。なんどもなんども。

後ろの席でリンが泣き出した。
「ママ~・・・やめて!怖い!」

我に戻りジューとリンをみる。

2人は今まで見た事のないような悲しい目をして私を見ていた。
















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