マタイによる福音書
◆天に富を積みなさい
6:19 「あなたがたは地上に富を積んではならない。
そこでは、虫が食ったり、さび付いたりするし、
また、盗人が忍び込んで盗み出したりする。
6:20 富は、天に積みなさい。そこでは、虫が食うことも、
さび付くこともなく、また、盗人が忍び込むことも盗み出すこともない。
6:21 あなたの富のあるところに、あなたの心もあるのだ。」
◆体のともし火は目
6:22 「体のともし火は目である。目が澄んでいれば、あなたの全身が明るいが、
6:23 濁っていれば、全身が暗い。だから、あなたの中にある光が消えれば、
その暗さはどれほどであろう。」
◆神と富
6:24 「だれも、二人の主人に仕えることはできない。
一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、
どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。」
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キルケゴールの有名な著作は「野の百合と空の鳥」について
という講話集があります。
1847 年「野の百合と空の鳥から何を学ぶか」
1848 年「異邦人の思い煩い」
1849 年「野の百合と空の鳥」
3つの講話が連続して刊行されていますが、
日本では著作集18巻に収納されています。
中でも「野の百合と空の鳥から何を学ぶか」の中に
同時期の童話作家であったアンデルセン的な寓話を書いています。
その内容は野の百合が、小鳥にそそのかされて
多くの自分の仲間たちが咲き乱れている場所に行きたいと願います。
そこで山鳩に根から抜いてもらい、翼の上に乗って、
その場所に連れていってもらおうとします。
そこに行けば自分も王冠の綺麗な百合になれるのだと。
しかし、百合は運ばれている途中でしおれて死んでしまいます。
その山鳩は、家鳩を見て農夫の庭にある鳩舎の中に駆け込んででいきました。
こうすれば自分も毎日餌を与えてもらえると思ったからです。
しかし、山鳩は目めざとい農夫に見つかり、
彼だけ別の小さな箱に移され、翌日には殺されてしまいました。
彼らはどうして今自分が置かれた野原、空の下で過ごそうとしなかったのか。
人間も同じことではないか。
我々はみな神の被造物であり、我々を養い得るのは神だけなのだ。
それゆえ、明日のことを思い煩うことなく、
神の許で今日与えられたこの一日を生きなさい、と
キルケゴールは語り出します。