太った中年

日本男児たるもの

坂の上の雲

2009-11-29 | weblog

今夜から日本海海戦のヒーロー秋山真之を描いたNHKスペシャル「坂の上の雲」が始まる。

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みどころ

現代の日本人に勇気と示唆を与えるドラマ

「坂の上の雲」は、司馬遼太郎が10年の歳月をかけ、明治という時代に立ち向かった青春群像を渾身の力で書き上げた壮大な物語です。発行部数は2,000万部を超え、多くの日本人の心を動かした司馬遼太郎の代表作でもあります。
 
今回、国民的文学ともいえるこの作品の映像化がNHKに許されたのを機に、近代国家の第一歩を記した明治という時代のエネルギーと苦悩をこれまでにないスケールのドラマとして描き、現代の日本人に勇気と示唆を与えるものとしたいと思います。
 
21世紀を迎えた今、世界はグローバル化の波に洗われながら国家や民族のあり方をめぐって混迷を深めています。その中で日本は、社会構造の変化や価値観の分裂に直面し進むべき道が見えない状況が続いているのではないでしょうか。
 
「坂の上の雲」は、国民ひとりひとりが少年のような希望をもって国の近代化に取り組み、そして存亡をかけて日露戦争を戦った「少年の国・明治」の物語です。そこには、今の日本と同じように新たな価値観の創造に苦悩・奮闘した明治という時代の精神が生き生きと描かれています。
 
この作品に込められたメッセージは、日本がこれから向かうべき道を考える上で大きなヒントを与えてくれるに違いありません。

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これは痛いNHKの企画意図。司馬史観は「明るい明治」ではない。さて、「坂の上の雲」で司馬は日露戦争がロシアの南下政策に対する日本の自存、自衛戦争だと指摘している。NHKのサイトから拝借した冒頭図から分かるように当時の欧米列強はアジアを植民地侵略したのだ。毎度のことながら自虐史観では日本のアジア植民地侵略だけ非難して欧米列強によるアジア植民地侵略は棚に上げる。また、欧米列強はアジアを植民地侵略したことに対して謝罪したことはない。そうしたこと踏まえ、日本が欧米列強同様にアジア植民地侵略をして、結果欧米列強のアジア植民地支配を解放した大東亜戦争を始める分水嶺になったのが日露戦争だった。

司馬は「坂の上の雲」で旅順攻略の際、作戦ミスを重ねた乃木大将を愚将と断じて物議を醸した。日露戦争の勝利で乃木大将は東郷元帥と並び聖将と崇められた。しかし、結局そのような虚像を作ったことによって昭和の無能な軍人を生んでしまったと司馬は糾弾するのである。そして日露戦争は日本が兵器から戦費まで英国の援助を受け、さらに日本海海戦では英国指揮官が搭乗していた云わば代理戦争の側面もあった。ところが強国ロシアへの勝利の熱狂によってそれらは忘れ去られ、あたかも日本ひとりで勝ったように思い、特に軍部は自身を過大視するようになり、誇大妄想となって負けると分かっていた日米開戦へ突入したワケだ。

それから日露戦争は世界史上、有色人種が白人に初めて勝った戦争だった。勝利のニュースは英国から世界中に配信され衝撃を与えた。インド、中国、ベトナム、ビルマ、エジプト、他、後に国の指導者となる人々は賛辞を呈した。乃木大将は旅順陥落のあと、英タイムズ紙に以下の発言をしている。

「日本人は西洋の学問の成果をすべて集めた。そして、西洋の成果を応用し、組み合わせて使いこなしている。この民族はわれわれの育んだ複雑な文明をわずか一世代あまりのうちに習得したのだ。ロシア軍はロシア人最高の武勇を発揮している。しかし、それを攻撃する日本人はもっと偉大といわざるをえない。ねばり強さ、機転、素晴らしい勇気、厳しい状況への知的な対応、いま、世界中が興奮している。日本人は誇り高い西洋人と並び立つ列強であることを世界に示したのだ。」

しかし欧米は日本の勝利を嫌悪した。ドイツ皇帝ウィルヘルム2世は以下の談話を残している。

「世界に人類の運命を決する大きな危機が近づいている。その第一回の戦争は、われら白色人種のロシア人と有色人種日本との間で戦われた。白色人種は不幸にして敗れた。日本は白人を憎んでいる。白人が、悪魔を憎むように憎んでいる。しかし我らにとって、日本そのものが危険なわけではない。統一されたアジアのリーダーに、日本がなることが、危険なのである。日本による中国の統一、それが、世界に脅威を与えるもっとも不吉なことである。」

米国は日露戦争終結の仲介をしたが、国内では黄禍論によって日本人排斥運動がおきた。このように日露戦争には光と影があるワケだが果たしてNHKはどのように描くのだろうか、無論期待はしていない。


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