太った中年

日本男児たるもの

日本の失敗

2009-11-18 | weblog

日本はなぜ無謀な戦争に突入し敗れたのか―ヨーロッパ諸国から同時期に文明国と認められた日米宿命の対立の根底には、中国問題があった。その端緒「対支二十一ヵ条の要求」から敗戦に至る軍人、政治家、思想家、ジャーナリストたちの言動を検討し、誤りを摘出する。多彩な登場人物が織り成す壮大な思想のドラマは論争を呼ぶ。

(以上、ブックデータベースより)

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天皇陛下は戦争に至った歴史が風化することへの懸念を示し、平和への思いを強調した。

日本の将来への心配を問われ、陛下は「私がむしろ心配なのは、次第に過去の歴史が忘れられていくのではないかということです」と切り出して、第2次世界大戦に至る昭和前半の道のりを回顧。「昭和の六十有余年は様々な教訓を与えてくれます。過去の歴史的事実を十分に知って、未来に備えることが大切と思います」と締めくくった。

(以上、朝日新聞より)

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繰返すが陛下の有り難いお言葉である。戦争に至った歴史が風化すれば再び戦争へと歴史は繰返す。戦争とは負けると分かっていた日米決戦のことであり、なぜ無謀にも突入したのか未だ研究され様々な議論がなされている。大体、ドイツのポーランド侵攻が始まりとされる第2次世界大戦開戦も戦時中日本の暗号を解読していたライシャワー元駐日大使によれば第二次上海事変を契機にしているからなぜ日米開戦は難題だ。

さらに日米決戦の勝者米国が敗者日本をアジアの侵略者として一方的に東京裁判で断罪したため過去の歴史的事実を十分に知りうることが困難になった。日本は失敗を重ねて日米決戦に突入したのだ。

冒頭、松本健一の「日本の失敗」は戦争に至った歴史を学べという陛下の御希望に応えるべく最適の傑作本である。日本の失敗を重ねた軍人、政治家、思想家、ジャーナリストたちをゾンビの如く登場させ、気に入らないヤツを手当たり次第殴り倒して行くのだった。中でもマツケンの強烈なパンチを浴びたのが鳩ポッポの爺さんである鳩山一郎だ。明治憲法の欠陥をつく統帥権干犯という魔法の杖を振りかざし政党政治を自滅させ昭和のダメ軍人をのさばらせた政治判断の甘さ、見識のなさにマツケンは容赦をしなかった。

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以下、マツケンにダメ烙印を押された日本の失敗者たちを列挙すると

【軍人】

昭和のダメ軍人全部 なかでも

石原莞爾 (満州事変首謀者、カリスマ軍人)

板垣征四郎関東軍参謀長

本庄繁関東軍司令官

土肥原賢二陸軍大将

片倉衷陸軍少将

末次信正海軍軍令部次長 (ロンドン軍縮会議反対)

加藤寛治軍令部長 (昭和天皇に二重奏上)

遠藤三郎陸軍中将 (日中友好 戦後反戦運動) 

【政治家】

鳩山一郎 (統帥権干犯問題)

犬養毅 (五一五事件で暗殺)

大隈重信 (対支二十一ヵ条の要求)

幣原喜重郎 (幣原弱腰外交)

西園寺公望 (昭和天皇を懐柔)

【右翼】

大川周明 

頭山満

蓑田胸喜

【学者・思想家】

三宅雪嶺 (哲学者)

西田幾太郎 (京都学派)

和辻哲郎 (京都学派)

浅田彰 (ポストモダン)

井上哲次郎 (東大教授)

紀平正美 (学習院教授)

丸山真男 (政治学者)

藤岡信勝 (新しい教科書を作る会)

山田孝雄 (漢学者)

【文化人】

島崎藤村

岡倉天心

保田興重郎

小澤開作 (征爾の父 歯科医 五族協和礼賛)

【マスコミ】

朝日新聞

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日清戦争と日露戦争は国際法を遵守した普通の戦争だったが、満州事変に始まる大日本帝国の中国侵略戦争は、世界をまったく無視した近代史に例のない愚挙だった。マツケンは侵略だと理解できなかったことが日本の失敗であり、精神的鎖国で失敗すら理解できない日本を嘆く。それは陛下の大御心でもあるのだ。