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M&Aの増加

2009-01-07 | weblog

インタビュー:不況下でM&Aは増加へ=GCA・佐山氏

GCAサヴィアングループの佐山展生取締役はロイターとのインタビューで、2009年のM&A(企業の合併・買収)マーケットの動向について、不況を背景として企業買収は増加するが、その一方で買収ファンドの優勝劣敗が進み、経営能力のあるファンドが生き残り、淘汰(とうた)が進むとの見方を示した。

また、企業と株式市場との関係もに触れ、企業の時価総額と実際の価値は異なるため、株価を意識し過ぎる企業経営のあり方には問題があると指摘した。

――金融危機後、2009年のM&A市場はどうなるか。

「だれも経験したことのない大不況になる。こうした時に起きるのは業界大再編だ。どこの業界ということは関係なく、すべての業界で活発になるだろう」

――金融危機によりM&Aの世界で起こっている変化は。

「買収資金が市場に出なくなっている。自己勘定で買収資金を出していた大手投資銀行も引いたし、ローンを付けていた銀行も資金を出せなくなった。銀行は少し前には対象企業のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)の6―7倍まで買収資金を融資したが、今は3倍ぐらいにまで下がっている。ただ、資金がここまで出なくなっている状況は、一時的なものだ。いつまでも続くわけではない。今は底が見えないので出せないだけで、何か構造が大きく変わったわけではない」

――負債を大きく膨らませてポジションを取るハイレバレッジ・ビジネスの終えんが指摘されている。

「ハイレバレッジの定義にもよるが、過剰なレバレッジの世界が終わっただけだ。銀行はお金を出すのが仕事だから、買収資金をレバレッジなしで全部エクイティで調達するような世界にはならない。確かに欧米の大手投資銀行が銀行に転換したのは、大きな構造変化だ。これによって、ハイレバレッジの自己投資がしにくくなった。しかし、買収ローンは実需に基いている。それを分けて考えないといけない」

――企業買収ファンドの時代も終わるのではないか。

「不況下で買収ファンドのポジショニングはものすごく上がるだろう。事業会社は本業だけで精一杯になり、バイアウト市場は大きくなる。ただし、すべてのファンドがうまくいくわけではない。買収ファンドは過半数の議決権を持って経営責任も持つ。資金を出せばいいわけではない。力の差がはっきり出て、優勝劣敗が始まる。日本の買収ファンドも7割以上はつぶれるのではないか」「ほとんどの買収ファンドは、金もうけが目標だ。株主としての視点に偏りがちだ。しかし、対象会社の目標は、いい会社を創ることだ。そこに現在はミスマッチがある。ファンドと投資先企業の間で、いい会社にするという目標が共有できるのかどうか。ファンドもいい会社に成長させれば、結果的にもうかるのだから対象会社の人達と一体となってやれるファンドが出てきたらダントツに伸びるだろう」

――米国型の金融資本主義の崩壊という指摘もある。

「米国では、金融セクターの最盛期に全産業の純利益の半分程度を同セクターが占めた。金融業は必要だが、モノを作ってモノが動いて、何かサービスがあって、そこで初めて金融が必要になる。金融業が利益の半分を占める社会はどう考えてもおかしい。米国は製造業からどんどん手を引いてファイナンス・ビジネスにシフトしてきた。モノ作りは急には復活できないから、日本にとってはグローバルに強くなるチャンスが来ている」「しかし、日本企業も相当にアメリカナイズされている面がある。例えば、雇用の問題だ。今、非正規雇用のリストラが問題になっている。雇用をどんどん切っているが、昔だったら許されない。日本の大企業はプライドを無くしているのではないか。どんなに不況になっても雇用は守るという認識を日本企業は持っていた。こうした点は米国の悪いところをまねして、同じ道を歩んでいるのではないかと危ぐしている」

――そうは言っても、リストラをしないと株価が下がるのではないか。

「ほとんどの経営者が、時価総額が会社の価値だと思い込んでいる。これはまったく違う。時価総額というのは、その時に1株を売ったり買ったりする価格に株数を掛けたものだ。誰も会社全体の価値を算出し、株数で割って株価を出しているわけではない。いい会社にしたからと言って必ずしも株価が上がるわけではないし、その逆もしかりだ」「もちろん、業績上方修正したら上がるし、下方修正したら下がる。上場している限りにおいて株価を意識しなければならないが、実際の会社の価値と時価総額とは別世界であり、会社の価値イコール時価総額ではないという点を確認した上で、株価を上げる議論をしないといけない。マーケットが100%の価値を評価してくれるんだという幻想を捨てないといけない。株価ばかり意識すること自体がおかしい」

――会社は誰のものなのかという議論がある。

「その質問のし方があいまいだ。会社を所有しているのは誰なのかという質問ならば、その答えは株主ということになる。しかし、会社の存在により、さまざまな人がいろんな恩恵を受けている。その恩恵はだれに属するのかという問いであれば、従業員も取引先も顧客もいる。私の考えは、経営者は株主のためだけでなく、従業員のためにも、顧客のためにも経営しなければならない。利害関係者の利害をバランスよく調整するのが経営者だ。そうすることで初めていい会社になる」「利害関係者の一部だけに偏った利益を供与する経営していたら、会社自体がおかしくなる。一時期、日本企業は株主を軽視していた。しかし、今は、株主への配当を出す一方で、なぜ従業員を削減するんだという批判も出る。これは経営者の思想だし、その思想が正しければいい人が集まり、中長期的にいい会社になる。不況下にこそ、経営者の力量が試されるのだろう」

(以上、ロイターより転載)

ロイターからインタビューを受けた佐山さんってM&Aの第一人者としてライブドアが日テレを買収しようとしたとき、よくTVで解説をしていた人だ。世界不況でM&Aは冷え込むどころか業界大再編で増加するとは意外だった。M&Aの増加によって実務に携る佐山さんも手数料でガッポリ金を稼いでうっしっし、というところか。ただ、M&Aなんて個人的にはまったく関係がないことだからどうでもいい話なんだけどね。

まあ、「100年に一度の経済危機」をエコノミストたちはどう見ているのかってことに関心があるワケで、ボーと過ごしたら次は2108年になる。この世界不況は人生最初で最後となる貴重な経験だから注意深く事象を観察しておこう、そう殊勝に考えていた。しかしながら、不況とはいえ日常生活に関して変化はないから、インタビュー記事を読んでも実感に乏しく、目ぼしいものは極僅かだ。ならば今度、備忘録として自分自身をインタビューしてエントリーしようと思っている。