太った中年

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原爆の日

2008-08-06 | weblog

毎年、この日はメディアがこぞって広島への原爆投下について特集する。さて、13年前、戦勝50周年を記念して米国でもスミソニアン博物館で原爆を投下したB29戦闘機エノラ・ゲイの展示が企画された。しかし、全米退役軍人会がそれに猛反対して中止になった。この騒動は日本の新聞にも取り上げられたからよく記憶している。展示企画を監修したのが米国の著名な歴史学者バーンスタイン・スタンフォード大教授で、彼は米国政府による原爆投下決定のプロセスの研究では第一人者だ。

広島、長崎への原爆投下の理由について、原爆投下成功のホワイトハウス公式表明に基づいた戦争早期終結説~戦争で米国軍人の犠牲をこれ以上増やさないため~を米国民は信奉していて、現在でも米国政府はそのように歴史教育をしている。

ところが、バーンスタインの軍事外交機密文書の研究によって彼は戦争早期終結説に異を唱える。バーンスタインによれば、米指導者は当時20億ドルを費やした核開発計画を無駄にできず、パールハーバーの復讐のために市民を大量虐殺し、ソ連に核の脅威を見せ付けるという原爆投下の根本的な目的があったという。

敗戦50周年のとき、日本ではマッカーサーによって発禁処分になった曰く付きの「アメリカの鏡・日本」が出版された。この本でもGHQの諮問機関で働いていた著者ヘレン・ミアーズは「原爆投下は必要なかった。それは日本に対して使ったのではなく、ソ連との政治戦争で使用したのだ」としている。バーンスタインもミアーズも先の大戦で最も非人道的な行為、原爆で一瞬にして20万人の市民を殺害した米国の道義的な責任を問うている。

さらにバーンスタインは、開戦前、ルーズベルトが「非戦闘員に対して戦闘攻撃はしない」と厳命していたにもかかわらず、簡単に覆り、市民へ無差別攻撃、殺戮をしてしまったことについて「米国は戦時下で敵国を人間と見なさない」と発言している。また、東京裁判のオランダ派遣判事だったレーリンクも同様に、 「連合国の国民は有色人種を、昔から人間以下とみなすように教育されてきた。有色人種である日本人は人間ではないと感じていたからこそ、広島、長崎で数十万人の市民を一瞬にして焼殺できた」と、批判している。

以上のことから白人の人種差別意識が原爆投下の背景にあり、それは日本が実際の戦争の他に米国の黄色人種に対する偏見と憎悪とも闘っていたことを意味する。

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