ブータン王国ポブジカ谷 ~鶴と暮らす村で

ブータン王国ポブジカにおける地域に根ざした持続可能な観光の開発プロジェクト

ドゥルクエアーのエアバス購入とブータンの観光政策の関連性

2012-09-16 21:31:51 | ポブジカ観光開発事業
ブータンの国営(?)航空会社ドゥルクエアーがエアバスを1機追加購入しました。

ドゥルクエアーは早速9月からインドのコルコタ経由でシンガポールへの便を飛ばし始めました。

週にわずか2便なので、当然のことながら、機材に使用に余力があります。

そこで(?)、満席&キャンセル待ち状態が常態化しているバンコク便の増便がどうやらほぼ決まったようで、今月から実質日に2便化がほぼ確定したようです。

噂では、ドゥルクエアーはもう1機追加購入するという話も聞こえてきます。

ドゥルクエアーだけでなく、タシがシンガポール行きの国際線を飛ばすため、エアバスを購入するという噂もあります。

業務上、観光シーズンの4月や11月にも渡航する私たちプロジェクトのスタッフとしては朗報なのですが、ブータン行きの便増便の陰にはブータンの観光政策が見え隠れしており、やや複雑な心境なのです。

ブータンでは、2015年までに観光客を10万人にするという目標を立てています。

現在の年間観光客数は5万人程度なので、あと3年で倍増するという計画です。

ブータンにとって観光は重要な外貨獲得手段であり、実際に水力発電の次に重要な収入源になっています。

しかし、喜んでも良いはずの観光業界に関わる人たちの間でも、この観光客倍増計画はあまり評判が良くありません。

理由はブータン国内の観光受入態勢が不十分だからです。

ブータン政府観光協会(Tourism Council of Bhutan)は観光客の倍増とともに、ホテルのランク格上げ(外国人旅行客の滞在するホテルは一律三ツ星以上とする)を掲げていますが、ホテル側の体制がそう早急に改善されるわけではありません。

また、ブータン観光の柱であるナショナルガイドの質も問われており、ピークシーズンには季節のみガイド業を行うガイドに任せざるを得ず、観光客からのクレームの原因になっています。

観光客の多くが訪れる各地のチェチュ(お祭り)も以前と比較にならないほど増えており、パロなどアクセスの良いチェチュでは観光客用の場所の確保に苦労する状況だそうです。

ブータンの観光は、現状としては、「一生に一度行きたい」国という、秘境としてのイメージが支えており、リピーターは多くないとも言われています。

地域毎の差別化もあまりはかられておらず、パロでも、ティンプーでも、ブムタンでも、あまり変わり映えせず、よほどブータンを気に入った人でないと、2度目に訪問する理由はなさそうです。

そんな状況で旧に観光客数を増やすとどうなるのか・・・。

今年の秋、いや来年以降に明確に結果が出てくるものと思われますが、俗化が進み、ブータンらしさが失われ、ブータン観光の最大の魅力の「秘境」のイメージが崩れてしまわないか懸念しています。

私たちの事業では、そんなステレオタイプな観光から、地域の特色を打ち出す観光開発を目指しています。

野心的であるかもしれませんが、将来、ブータンの観光が地域の特色を生かしたものに変わっていくきっかけにしたいと思っています。





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