Carry on!! ~旅のお供に音楽を~

アラカン過ぎてクラシックやオペラの旅が何よりの楽しみです。旅先で街の人たちと音楽談義をしたり、暮らすように旅したいです。

私のオペラノート101

2022年04月14日 | オペラ

         《新たな気持ちで101本目のノート『ばらの騎士』を観る》

 昨年末に久々に家族と観た『マイスタージンガー』がことのほか良かったので、また新国立での鑑賞の機会を待っていたら、これまでオペラのことを殆ど指南してくださっている音楽評論家の加藤浩子さんからレクチャー付きのオペラ鑑賞(『ようこそオペラ』シリーズの4回目で私は2回目の参加です)にお声をかけて頂きました。それで、本当はライブでは初めて観る演目、というオペラに絞って観てゆく、という原則を一旦さておいて、11年ぶりにこのオペラを聴きに行くことにしたわけです。『ばらの騎士』はカルロス・クライバーがこよなく愛していたオペラとして有名で、私もそのCDやDVDの印象が強いのですが、2011年の12月にウィーンの国立歌劇場で観て以来の、あの大好きなオットー・シェンクのプロダクションに引けを取らない舞台となるのか興味津々、やや心配なところもありながら出かけました。

 コロナ禍にあってこのプロダクションも海外からの主要なキャストがキャンセルで日本人歌手がカバーすることになってしまいましたが、要の元帥夫人役でアンネッテ・ダッシュだけは来日を果たしてくれたのがものすごく楽しみでしたし、事前に映像を駆使して解説をしていただけるので、より鮮明にオペラの輪郭が掴めることがなにより贅沢な鑑賞方法だと、お洒落なマスクに不織布マスクで我が身の心構えもばっちり二重に対策して出かけていったのでありました。

      ☆2022年4月9日 14:00(土) 開演 新国立歌劇場

      ☆リヒャルト・シュトラウス 『ばらの騎士』全3幕

      ☆出演 元帥夫人:アンネッテ・ダッシュ

          オックス男爵:妻屋秀和

          オクダヴィアン:小林由佳

          ファーニナル:与那城 敬

          ゾフィー:安井陽子

          マリアンネ:森谷真理

      ☆指揮 サッシャ・ゲッツェル

      ☆演出 ジョナサン・ミラー

      ☆管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団

      ☆合唱 新国立歌劇場合唱団

      ☆オペラ難易度 B (音楽評論家・黒田恭一さんの著書によるものです)

 まずは今回の新国立劇場のプロダクションをダイジェスト版で知ることが出来ました。https://youtu.be/ZjDq5p4czM (出演者は今回とは違います)新国立のプロダクションもかなり美しい舞台だということが判るかと思います。

 

         

       ドレスデンで初演されたR・シュトラウスの一番解り易いオペラ(個人的見解です)

        

 頓珍漢なオペラノートを綴る私でも、R・シュトラウスが名前が同じだからと言ってあのワルツ王、ヨハン・シュトラウスと親戚でもなんでもないことは最近は良く解っております(最近まで怪しかったすが…)ですが、このオペラの台本を書いたフーゴ・フォン・ホーフマンスタイルについては前のオペラノートではかすりもしなかったと思います。ですから、今回のレクチャーでホーフマンスタイルが『ばらの騎士』について画期的な台本を書いた、それが小説のように美しい文脈で書かれていた、ことを知ればまた別の観方もできることを知りました。なぜなら、オペラの台本は通常”オペラ台本作家”によって書かれていたので、たいてい「愛だ!復讐だ!!」みたいなお決まりの内容になってしまっていた、ということだからです。また、印象的なアリアが少ない、と思っていたことについても、元帥夫人が歌う場面もそれは”アリア”というより”モノローグ(語り)”なのだから・・・だそう。これみんな加藤浩子さんのレクチャーのお陰で知りえたことです。

 このようなことは今回の予習で使ったCDの全曲盤やDVD(両方とも大好きなカルロス・クライバー指揮1979年ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場公演のLIVEのもの)では学習しきれませんでした。ですので、レクチャーを受けて一つの演目について深堀することも大切だと痛感しました。CDについては日本語の対訳がついていないものでしたので、新たにカール・ベーム指揮、ウィーン・フィルのCDも加えDVDの解説といただいたレジメで補足しながら書いています。そしてこの私のお宝のDVDは今やYouTubeで全編同じものを観ることが出来ます(日本語字幕付き!!)ので、クライバーの優雅な指揮による、(晩年は頑として他のオペラは振らなかったのは何故か)ということを知るためにもこのオペラの全編を残しておこうと思います。https://youtu.be/nHSNPbZiwI

また、YouTubeにはカルロス・クライバー指揮のウィーン国立歌劇場のプロダクションの動画もアップされています。ウィーン版ではオクタヴィアンがアンネ・ゾフィー・フォン・オッター、ゾフィー役はバーバラ・ボニーが務めています。この二つをたっぷり観比べるのもまた『ばらの騎士』を知る近道かと思います。クライバーはウィーン・フィルが大好きなオーケストラだったようです。(ウィーン版には残念ながら字幕が付いていません)参考までに第1幕だけ添付しておきます。https://youtu.be/omFIvIqDhWo

 第1幕目は元帥の留守中に若いオクタヴィアンという青年貴族といわば不倫中、のシーンから始まります。これはウィーン以外の舞台では観ていませんので、ドイツ各地の歌劇場ならばもっと過激か現代的な設定に読み替えられていると思いますが、全体にトーンの明るい舞台ですので、そんないやらしさは感じません。オクタヴィアンへの想いは変わらないけれど、自分の年齢やおかれた立場を想うとその関係が危ういと思いながらの関係が続いていて、これはそんなに長続きはしないだろう、とも思っていますそれがずっと『元帥夫人のテーマ・・・』とか、解り易いアリアとして歌われないのでちょっとだれる、というか眠気が来るところはあります。それにしてもアンネッテ・ダッシュはさすがの安定感ある歌唱で衣装が良く映え美しい立ち姿です。ベルリンで10年前に観た『偽の女庭師』の女子高生のような若々しいコスチュームとは違い、元帥夫人、という役を身にまとってさすがの歌唱でうっとりしました。オペラグラスもってゆくべきでした。

 重要な役どころのオックス男爵はいい狂言回し役となって話を面白くしてくれる存在なわけです。そのオックスももっぱらモノローグ的な旋律で、歌い続けます。このあたりが素人には辛抱のしどころではあります。 この公演でもピンチヒッターと言っては失礼過ぎる日本を代表するバス歌手妻屋秀和がそつなく、おもろいおっちゃん的動きで舞台を楽しくしてくれます。(でも、そろそろなんでも妻屋秀和、というキャスティングでしのがなくても、他の歌手にもチャンスを与えたらいいのにと思いますが(これも素人の遠吠えです)実際はやはりこの人しかいなかったのだろうなぁ、と納得するのも事実なわけですが。

オクタヴィアン役はいわゆる女性(メゾ・ソプラノ)が務める”ズボン役”というものですが、これもキャスト変更で役を得た(これもとても失礼な言い方ですね。何しろ外国人歌手に歌ってほしかった、と思う役なので)メゾ・ソプラノの小林由佳が力を発揮して見応えのある歌声と動きでベテランのアンネッテ・ダッシュの元帥夫人と渡り合っています。もっと華奢な声かと思いきや、芯の通っている声でこれは良かったかと嬉しく思いました。私のノートを辿ってみると2017年の『椿姫』でフローラ役で出演していました。日本人歌手のことを頑として認めない部分がまだあり、あまりこの歌手を認識していないのです。申し訳ない限りです。

 このオペラはアリアらしいアリアがない、と書きましたが、唯一よく耳に残って知られている曲の一つは毎朝元帥夫人に謁見に来る一団の中の、”テノール歌手”の歌声CD9番目のアリア『厳しく武装せる胸もて(厳しさに胸をよそおい)』はちょっとしか登場しませんが、観ている人をほっとさせる歌ではあります。気が付けば東フィルの音はいつもその歌や登場人物の動きにふんわりとまとい続けています。カルロス・クライバーにばかり洗脳されて、今回の指揮者サッシャ・ゲッツェルにあまり、というかほとんど関心を持って聴いていなかったので、少しこのあたりで軌道修正、音にも集中することにしました。

 ということで、お話はオックス男爵の若い婚約者への使者として使わされことになった、オクタヴィアンへの切ない感情を秘めたまま、元帥夫人がいずれは身を引いてゆくであろうことを胸に刻み込みながら歌うCD10番目の『また来たのね(時のモノローグ)』がなんとも切ないメロディを奏でるのでした。

 わかったようなわからないような第1幕が思ったより早く終わってしまい、やっぱり、ウィーンのオットー・シェンクのプロダクションの方がいいわぁと、ない物ねだりな感想を持ったまま第1回目の休憩となりました。今公演よりテラスを使っての軽食やアルコール飲料の販売も再開され、(ホワイエでは飲食禁止のまま、おしゃべりも控えて、のプラカードを持って見回りされて、相変わらず感染対策きっちりしています)ひとりで参加の私は手持ちのおやつを口に入れ、SNSの情報をシェアして早々に座席に戻りました。同じ列には3年前にルツェルンに行った旅仲間の方々もいらっしゃいましたが、マスク姿のお互いを認識できないのか「どちらのご旅行でご一緒しましたっけ?」と聞かれ、「そりゃぁないでょ・・・」と拍子抜けしていじけた私は、だんまりを決め込んで次の幕に備えて目を休めることにしました。 

   

       

       上から元帥夫人のアンネッテ・ダッシュ オクタヴィアンの小林由佳

          ゾフィー役の安井陽子 そしてオックス男爵役の妻屋秀和です

 

 さて、第2幕目はいよいよ『ばらの騎士』オクタヴィアンが使者として銀のバラをオックス男爵の婚約者ゾフィーに届けに来て、運命の出逢いとなるのですが、そのゾフィーの登場シーンで私はまた悪い癖がでてしまい、どう見てもあの中央の椅子に座っているこの娘は、ゾフィーか?どうみても小太りのおばちゃんじゃない…と落胆してしまったのです。丸顔のぽっちゃりしたゾフィーを観るのは初めてなので、かなりのがっかり感に襲われて、その声に集中出来ません。ここからが第二幕の聴きどころ、恋に落ちるシーンの旋律が美しい!!、と言われていたのです。オクタヴィアンとゾフィーが一目で惹かれ合い『銀のばらの音楽』から二重唱『目に涙を讃え』へと音楽が高まってゆくのですが、どうしても邪念が首をもたげてささやいてきてしまいました。やっぱり、ここはモイツァ・エルトマンとかルチア・ポップとか華奢なソプラノの外国人で聴きたかった、というのが正直な気持ちでした。ならば海外で観なさい!という声もごもっともですし、「歌が良ければそれでいい、余計なことを言うな!」というファンの方の気持ちもわかります。それでももう少し世の中には見た目から入るオペラファンになる人もいるのだということを考えてキャスティングしてほしいと、その想いにとらわれてしまった私でした。冒頭に新国立のダイジェスト版をアップしていますので少しは私の気持ちも解って欲しいのですが、YouTubeのバイエルン版で観ると1時間30分過ぎにオクタヴィアンが使者としてやってきてゾヒィーと歌い上げる美しい二重唱がありますので、そちらでその美しい二重唱を聴いておこうと思います。はい、日本人歌手たちの大健闘は讃えます、が。https://youtu.be/nHSNPbZiwIo

 でも、この日二重唱をよく聴いている中であることに気が付きました。優しく歌いあげるその太めの丸いゾフィー(いつまで言うのか)のドイツ語が一番丁寧で、歯切れがよく美しく響いているのです。あの子音をシュッっと響かせるドイツ語の発音です。養育係や父親たちと歌っている声にも注意して、私の難聴気味の耳をそばだててみても、彼女の歌声のドイツ語だけが実にクリアーに歌われていることに気が付きました。はい、毎回申しますが私はイタリア語もドイツ語も英語も満足に話せません。が、しかしかつて藤村実穂子さんがドイツ語の子音まで神経を研ぎ澄ませて歌った時に、それがきれいに耳に入ってきて、まさしくこれはドイツ語のオペラだ!!と認識できたことを思い出したのです。その言葉を丁寧に発してゆくということをしているこのゾフィーも、丸いけど、身体のぽっちゃりさはおばちゃん臭いけど(くどい!)清潔感ある可憐な乙女という感じがしなくもないじゃないの、と私の心が丸く収まってきたのでした。そう思い込めばスリムなオクタヴィアンと急速に惹かれ合っての二重唱が続いても決して我慢がならないほどのことではないかと。ここはそつのない演奏を続ける東フィルと指揮者の派手さはないけれどシフォンケーキのような甘い演奏のお陰で落ち着きを取り戻してゆきました。 

 第2幕は後半ドタバタなので展開が早く「このオペラはオックス男爵も含めて、オペラブッファか(笑)・・・」と思わせるようなものでしたが オックス男爵が歌うこのオペラ唯一のだれしも解るフレーズ『オックスのワルツ』を耳にすると、たちまウィーンの香りがしてきます。私はお調子者のオックス男爵の歌うワルツがこのオペラでは一番耳馴染みがよいせいか好きです。ワルツとウィーンはやはりぴったりとしか言いようがないですから、素人にはとても心地よい旋律に決まっています。残念なのはオックス男爵がオクタヴィアンともめて傷を受けた後、酔っ払って調子がよくなり、召使のマリアンデルから恋文を貰って上機嫌になって歌う7番目のアリア『オックスのワルツ(こんなことになってしまった・・・)』がこのオペラの最大の聴きどころ、バス歌手の聴かせどころの低音部で終わるのですが、オックス男爵の妻屋秀和の最後のオクターブ下がる音が下がり切れず、伸ばしきれず歌声が切れてしまいとても残念でした。毎月出番があって新国立の男爵様もお疲れが出たのかもしれないです。その嫌なオヤジのオックス男爵には似合わない美しい『オックスのワルツ』をクライバーの優雅にワルツを踊るような指揮ぶりで!!(動画の2時間11分あたりからです。しつこくシェアしておきます。やっぱり未練がましいか)https://youtu.be/nHSNPbZiwIo

 第2幕が終わり本日二回目の休憩。前回のワグネリアンおじさんたっぷりの客席と違い、少し華やかな感じです。テラスもシャンパン飲んではマスクをかけて話す、といった光景も対策をして復活となっています。私は脳細胞の疲れをいやすために持参のチョコを頬張り、水分補給して再び客席へと戻りました。そのあとは1幕目と違い、元ツアーのお仲間のお姉さま方ともしばし声を潜め懇談、話題は「次、海外に良くご予定は?」ということでしたが、私以外は既に目的地を定め予約をいれているのだそうな。バーデン・バーデンとかヨーロッパ各地に思いを馳せているとのこと。私にはその話題を振ってこなかったので話しませんでしたが、私も家族と行くならばウィーンかな、と思っています。やはり、このオペラのようなオットー・シェンクの演出で陰影の深いウィーン国立歌劇場でのオーソドックスなオペラをもう一度堪能してみたいです。えぇ、そうしてみますとも!!

 あぁ、長い。私のノートはどうしてこうもくどいのか。これを全部他のブログに移すのは一大仕事となるでしょう。でもこのテンプレートも選べなくなったブログからは移さないと気持ちがハイパー維持できないでしょうね。でも、内容がこの程度ではこれで十分という陰の声もありますが。これから観るオペラの本数はぐんと少なくなりますのでまずはこれまでの100本分のノートをデーターとして残そうと思っています。

 第3幕目はこれまでと違い導入部に変化を匂わせるテンポの速い音の展開となります。舞台も大筋では変化がないのですが、いつものように大きな壁面を移動させて場面転換し、居酒屋?連れ込み宿?ふうに仕立ててあります。私はいつも新国立劇場に行ってオペラを観ると思うのですが、大胆で斬新な舞台づくりをしていて、世界のオペラ劇場に引けを取らない本当に美しい舞台が多いと思うのですが、もう少し照明を抑えるか照明の色調を変えるといいのにと思います。目を凝らしてみる、ぐらいの暗さの舞台ですが、これもウィーンでの薄暗い怪しげな居酒屋、という場面が印象深く頭にのこっているからなのでしょう。

 さて、最後はオックスが若い婚約者がいながら元帥夫人の召使い(と思っているが実はオクタヴィアンがマリアンデルの格好をしている)をくどこうと企んでいるところから始まります。ですが、ここからはオックスを懲らしめるためのオクタヴィアンの仕掛けが次々と出てきます。お化けやらオックスの子供たちだと言って引き連れてくる女やら、とっちめられて可哀そうなオックス男爵ですが、ここは経験値豊富な妻屋秀和の軽妙な動きがこの場面を盛り上げます。オペラブッファと言ってもいい、と思ったのはこの場面があるからです。ここでも『オックスのワルツ』がモチーフとしてふんだんに流れます。滑稽さと哀れさが漂う場面がオペラとして楽しめてとても好きです。

 ドタバタの挙句オックスは退場して、その場を収めるために現れた元帥夫人が再び登場。この時のアンネッテ・ダッシュの動きと歌唱が実にエレガントで横の立ち姿が凄く美しくて感激しました。大枚はたいてレクチャー付きのオペラに来て良かったぁ、と思った瞬間でした。(そこか!)そして元帥夫人はオクタヴィアンとゾヒィーの想い、関係に気づいて身を引く決意をするのでした。ここからが第3幕の聴きどころの三重唱CD8番目の『私が誓ったことは』が歌われます。元帥夫人が2幕目登場しませんので、この場面で歌うシーンを背筋正して待っていました。ここはやはりDVDと同じキャストでの動画がありましたのでそれを紹介します。グィネス・ジョーンズとブリギッテ・ファスベンダーのオクタヴィアンとルチア・ポップの過去最大の歌姫たちの三重唱です。これは本当に美しい三重唱の中の三重唱だと思います。 https://youtu.be/0O1ck18wbyo

 新国立版のはやはり元帥夫人の心情からすると、もっと陰影がある舞台だと雰囲気も高まったのではと思い聴いていました。(白内障の目には明るすぎる、だけのことかも)この作曲家のR・シュトラウスはモーツァルトをこよなく尊敬していたそうで『フィガロの結婚』をイメージしてこのオペラを作曲したということですから、その点からすれば明るさのあるしめくくりはフィガロ的ドタバタ劇とも言えてこのプロダクションの明るさ通りなのかもしれません。    そして、元帥夫人が去った後で歌われる最後の二重唱CD9番目の『夢なのかしら』で終わりを迎えます。でも、最後の最後に小姓(ウィーンでは黒人の子供、が扮していました)が忘れ物を拾いに来て・・・という演出はそのまま引き継がれていて、ウィーンのワルツの余韻を残しつつの小粋な終わり方でした。あぁ、やっぱり来て良かった『ばらの騎士』

 この日もカーテンコールもそこそこにダッシュで劇場をあとにしました。感染対策を万全にしているとはいえ、何千人もの人が一斉に退場するのはやはりまだまだ怖いのです。余韻は上記の動画でまた浸ることにします。ちなみに前にもシェアしましたが、新国立劇場には視聴覚室で画像(録画)を観ることが出来ます。今回のレクチャーで加藤浩子先生が解説で使われたのも2007年からのジョナサン・ミラーのプロダクションでした。コロナ禍ですのでこちらを観たい方は事前に確認をしてから行った方が良いかと思います。

 最後に、予習に使ったCDについて残しておきます。人生最大の断捨離でも手離さなかったクライバーのCDとDVD、そして図書館から借りて来たカール・ベームのCDともにこのワルツの演奏はどちらも流れるように美しく、うっとりと聴き入ってしまいます。オペラが苦手でわけわからん!という方にも、せめて『バラの騎士』のCDは一度聴いてみてほしいと思います。『加藤浩子と行くイタリア歌劇場めぐり』のツアーでご一緒したご夫妻の奥様の方が「私はこの『ばらの騎士』を聴かせながら子守りをしていたのですよ」との言葉が今でもわすれられません。お育ちの違いはもういかんともしがたい羨ましくも驚愕のエピソードです。

       

      

        これが大好きなカルロス・クライバーのライブ盤です、もう断捨離します

          https://item.rakuten.co.jp/naxos/c581083dr/

オペラノートと称しながら、音楽的要素が少しも書けない私にとって、楽しみは素敵な歌手たちの歌声をYouTubeで拾って、探して聴くことです。今回唯一の海外からのゲスト歌手、アンネッテ・ダッシュは本当に来日してくれてありがとうという気持ちですので、彼女に敬意を表して私が楽しんでいる『ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホール』に出演した時の歌声を紹介しておきたいと思います。ベルリン・フィルの代表的アンサンブルの一つ、『12人のチェリストたち』のゲストで『ラヴィ・アン・ローズ』を歌っています。https://www.youtube.com/watch?v=B7iwJB4fRSU