Carry on!! ~旅のお供に音楽を~

アラカン過ぎてクラシックやオペラの旅が何よりの楽しみです。旅先で街の人たちと音楽談義をしたり、暮らすように旅したいです。

私のオペラノート26

2014年07月22日 | オペラ

   ≪中味の濃いオペラ『DON CARLOS』を観る≫ 

 

                    

            

 いつの間にかオペラノートの番号が〇で囲めなくなり、いまさら初めの分から直すのも変なのでA型の人間としてはこだわりたいところですが、そのまま順番に書いてゆこうと思います。   というより暑くて熱くてPCに向かう時間が少なくなっているので、それでなくても現実の2014年の同時進行のオペラノートを目指すためにも、もうひと踏ん張りしなければなりません。      そしてきょうはDVDでラモン・ヴァルガスがドン・カルロ役を務め、涙ながらに熱演するのを観て感激したその同じオペラを同じウィーンのオペラ座で観ることができました。

    ☆2013年4月9日(火) 開演17:00 WIENER STAATSOPER

          ☆ ヴェルディ 『DON CARLOS』

    ☆出演 フィッリッポⅡ世: クワンチュル・ヨン(ユンとの表記もあります)

        ドン・カルロ: ユンホン・リー(MET引っ越し公演の時に

              ピンチヒッターとしてこの役で来日してくれた方です)

        ロドリーゴ: George Petern(読み方に自信がないのでそのまま)

        大審問官: Alexandru Moisiuc

        エリザベッタ: Iano Tamar

        エボリ公女: Nadia Krasteva

        ☆演出 ペーター・コンヴェチュニー(DVDのお蔭で名前が判りました)

              ☆指揮 Bertrand de Billy

          ☆ 演奏 Orchester der Wiener Staatsoper

     ☆オペラ難易度 C (黒田恭一さんの著書『オペラへの招待』によるもの)

 

 ウィーンは音楽の都、というべきところのひとつですが、オペラに関してはいつ行っても観たい、聴きたい音楽が手の届くところにある羨ましい唯一の街ではないかと思います。   この『ドン・カルロ』というオペラは2011年にMETの引っ越し公演で観ようかと思ったものの、タイトルロールが総入れ替えという事態になったことと、DVDで観てもかなりの長さであるところから腰が引けて見ずじまいになったいたものです。      今回のウィーン訪問ではDVDで観たものと同じプロダクションであるのと、韓国系の歌手が揃って名を連ねていたけれど私の好きなバリトンのクワンチュル・ユンさんが出るということで即決してチケットを購入してもらいました。前回は『パルシファル』でのグルネマンツ役がすごい迫力の歌声でした。 同じ年のバイロイト音楽祭でも同じ役を務めていましたね。(あのネズミの大群が出てくる・・・)ドン・カルロ役のユンホン・リーは初めてのウィーンでのオペラ『トスカ』でのカヴァラドッシ役で聴いています。その時は少し落胆したものの、その後力強さに感動してファンになりました。だから、このお二人がタイトル・ロールと知ってすごく嬉しかったです。

※2019年追記:どうして海外の劇場に日本人歌手が出てこ来ないのか、このお二人の歌手の活躍を観て、私は韓国系の歌手のハングリー精神というか心の強さをすごいことだと感じ入るばかりです。   

 ちなみに今回の旅はLand and Stay という方法で航空券はマイレージで手に入れたので、ホテルと公演のチケットを旅行会社に依頼する、ということが面倒がなくて間違いも少ないということで、『郵船トラベル』にお手伝いいただいて個人旅行にしました。            個人旅行であってもちゃんとItineraryを作ってくれますよ。(この英語覚えたばかり。旅程表のことです)気楽に行動したい旅人にはお奨めの手段かと思います。手数料は多少かかりますが・・・・今回の『ドン・カルロ』は1カテ(ファーストカテゴリーというのだそうな)平土間で€185・プラス手数料はだいたい日本円で¥3000.ぐらいでした。前から5列目、歌手の表情も良く観ることができます。

 このオペラは5幕もので休憩が二回あるものです。根性を入れて観ないと(何しろ素人がこのような長いオペラを観るのはテンションの維持が困難なのです)あるいは出演者によって、または演奏によってだれだれになる可能性もあります。DVDでのラモンちゃんの熱演を観ているばかりにそういうことになってしまう恐れもありましたが、そんな心配はすぐに吹き飛んでしまうほどの気持ちの高まりが舞台に集中させてくれました。 好きな歌手がまたは知っている歌手がひとりでも出演しているということほど楽しみなことはありません。  そして、今回のプログラムは見出しに張り付けたようにいつものウィーン国立歌劇場の定番の大きさではなく珍しく大判のもので、ユンさんが表紙に写っているプロダクションの物でしたからあとからこうしてノートを綴るのも判りやすくて助かります。あらすじも日本語で書かれてすこし気が抜けそうになった時に読んでまたオペラに向かえました。

 第一幕が始まってから、唯一知っているアリアのドン・カルロとロドリーゴの二重唱を待って待ってそしてそのメロディーが流れると気分はもう最高潮!!すっかり感情移入してもう涙が出そうです。滑らかなそして二人の息もぴったりで歌われたこの『われらの胸に友情を』はこの後も二人の運命を示唆するようにところどころに入り込んできて、長いオペラを引き締めてくれるようです。何しろ、長い、と聞いただけで腰が引けていたぐらいですからドラマティックなアリアね。 それから、2004年版のDVDと変わらぬ美しさと安定した歌唱で切ないぐらい感情移入させてくれるエリザベート役のイアノ・タマールはLiveとDVDで4公演ほど見ましたが、同じ年の2013年の『ザルツブルク音楽祭』でこの役を演じているアニア・ハルテロスと同じぐらい好きなエリザベート役で本当にいい声だと思います。(こちらの『ドン・カルロ』はNHKのBSプレミアムシアターで放映されました) 

   

                  

                   ラモンちゃんは無視してエリザベート役の

                       イアノ・タマールにご注目を

 

 肝心のドン・カルロ』役のユンホン・リーは以前にウィーンでの『トスカ』で観て最初は違和感があったものの、後半の歌唱でその実力を認識した歌手ですので、日本で観るときのような「あっ、これ中村さんになっちゃってる・・・」(?)みたいは想いはしなくて済みました。(良く解るような、解らないような説明ですね) トスカの時より少し軽めの声で始まりだんだん声に厚みを持たせるような貫禄も加わってきたように思います。個人的に日本人もそうですが、アジアの出身の歌手に大声援を送りたいので祈るようにその歌声に耳を傾けて聴きました。細く抑えたところの声も美しかったです。

 最初の休憩時にも目が離せない演出があって『エボリ公女の妄想』とかでは茶目っ気のある一面も(このシーンはアリアはありません)見せてくれて楽しめました。この演出を要らない、と思う人もいるそうですが、私はおもしろかったです。このほかにも休憩時にまたも趣向を凝らした演出もありますので、これからウィーンで『ドン・カルロ』を観る方のためにお楽しみはとっておこうと思いますが、お手洗いやコーヒーブレイクはお早めに切り上げてお席に着くことをおすすめします。とにかく、男性の声で美しい、という思いはあまりないのですがこの『ドン・カルロ』は強弱がはっきりしている少し難しいけれど見ごたえのあるオペラだと思うので、バージョンアップしたユンホン・リーは声や感情を抑えたところがうまく表現していてとても良かった思っています。・・・でも、出来ればラモン・ヴァルガスのが聴いてみたいです~(しつこいです~!!)

 ロドリーゴ役の歌手はほとんど認識がなくウィーンに行く前の事前調査もほとんどできませんでしたが、一番楽しみにしていたアリアが大満足だったことを思うとそれなりの実力者だったのだと思います。(ごめんなさい、どこかで観たお顔なのですが・・・お詫びのしるしに『ウィーン国立歌劇場』での活躍ぶりを紹介しているページからお写真をどうぞ)

 

                  

                 George Petern(ロドリーゴ) 

 

 エボリ公女はMETのビューイングでドロラ・ザジックが「私は何回この役をやったと思ってるのよ」というような感じでインタビューのルネ・フレミングに食いつきそうに答えていたのが頭をよぎって随分イメージの違うエボリ公女だと(線が細くてビジュアル的にはOKでした)ナディアの後ろにドロラ・ザジックが重なって『妄想大魔王』状態でした。でも、最終的にはかなくて切ない女心をうまく表現していてなかなかいいメゾだと最後は拍手と足踏みです。

 できればここでこのキャストでの歌声をと思ったのですが、これから観たいという私の願望を優先してラモン・ヴァルガスとよく『トスカ』でスカルピア役などで活躍しているLudovic Tézier との二重唱がありましたので聴いてほしいと思います。このコンサートでの指揮者も私が大好きな人ですが名前を度忘れしたので、調べてすぐにアップしたいのでしばしお待ちください。            https://www.youtube.com/watch?v=ydmrHG6tphU 

 休憩二回、その間も早めに戻らないと上記のようにこの演出ではいろいろしかけもありますので詳しくは書きませんが、気を付けましょう。

 この時の滞在はオペラ座から歩いて数分の『グランドホテル』を奮発しましたが、いろいろDoesn't work のところがあって、こちらの英語力も足りずに苦情を言いきれなかったので結局何も改善されなかったのが残念でした。こういうところが個人旅行での困った点ではありますが、自由さには代えられないのであとは英語力をブラッシュアップさせて、次回は(と言っても『グランド・ホテル』の朝食のごはんがすかすかのなんちゃってごはんでしたので、もう朝食は洋食にして、現地の食べ物をもっと楽しもうと思いました。あ、和食もどきのメニューを除けば『グランドホテル』の朝食は美味しいです。もと、ANA系のホテル?というところに引かれて選んでしまったのが失敗でしたが、部屋の作りはとてもクラシックで雰囲気がいいのでチャンスがあればもう一度泊まってみたい・・・・かな。(つれ合いは「もう、いい」と言ってます)

 最後に今頃気に入って聴きまくっているかつての名ソプラノで亡き黒田恭一さんもとても気に入っていらしたアグネス・パルツァのエリザベッタがこの時のプログラムで紹介されていたのでスキャンして添付してみました。彼女が健在でしたら一度聴いてみたかったですね。

 

                 

                 エリザベッタ役のアグネス・パルツァです             

         

☆今までのそれこそなんちゃって『オペラノート』は引っ越し前のブログにも書いています。だいぶ書き進みましたが、あと20本近く書かないと現在の2014年にはたどり着けません。  急げ~!!出ないと熱中症で死んでしまいそう~!!

http://blogs.yahoo.co.jp/borosan14/31660632.html (『私のオペラノート1』という拙いノートです)

                 


私のオペラノート25

2014年07月21日 | オペラ

       ≪ベルリン・フィルで『魔笛』を聴く

 2013年4月、一年ぶりのベルリン訪問の二日目。昨日は思わぬ分不相応の難しいオペラで頭が混乱してしまいましたが、きょうは待望の『ベルリン・フィル』のコンサートです。   しかもこの公演はこの年から『バーデン・バーデン』に場所を移しての『イースター音楽祭』で上演されたオペラ『魔笛』を演奏会形式で聴くことができるというので、朝から楽しみで街歩きもいつもより足取り軽く回って夜のコンサートに備えました。                       演奏会形式というと本来はオペラそのものとは違うものだとは思っていますが、自分の中ではオペラへの入り口へと進めてくれた『エフゲニー・オネーギン』(ミュンヘンのヘラクレス・ザールでの公演)とともに大好きなカテゴリーですので、あえて『オペラノート』に加えて記録したいと思います。http://blogs.yahoo.co.jp/borosan14/31683477.html (引っ越し前のブログで書いた演奏会形式の『エフゲニー・オネーギン』の記録です。

  ☆2013年4月7日  開演 22:00 ベルリン・フィルハーモニーホール

  ☆モーツァルト    歌劇《魔笛》(演奏会形式上演)第1幕 (01:10:33)

  • 出演:ディミトリー・イヴァシュシェンコバスバリトン/ザラストロ), パヴォル・ブレスリクテノール/タミーノ), アナ・ドゥルロフスキソプラノ/夜の女王), ケイト・ロイヤルソプラノ/パミーナ), ミヒャエル・ノッジバリトン/パパゲーノ), レグラ・ミューレマンソプラノ/パパゲーナ), ジェイムズ・エリオットテノール/モノスタトス), アニック・マシスソプラノ/第1の侍女), マグダレーナ・コジェナーメゾソプラノ/第2の侍女), ナタリー・シュトゥッツマンコントラルト/第3の侍女), アンドレアス・シャーガーテノール/第1の武者), ダーヴィット・イェルサレムバスバリトン/第2の武者), ベンジャミン・ヒューレットテノール/第1の僧侶), ジョナサン・レマルバスバリトン/第2の僧侶), ジョゼ・ファン・ダムバリトン/弁者), ベルリン放送合唱団, サイモン・ハルシー合唱指揮

  • 演奏: ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

  • 指揮: サー・サイモン・ラトル

    (以上のプログラムは正確に記したかったのでベルリン・フィルの

     『DCH(デジタル・コンサート・ホール)』からコピペ、しました)

  ☆オペラ難易度 B (黒田恭一さんの著書『オペラへの招待』によるものです)

 

 さて、当日は演奏会形式と言っても本当に演出が楽しい仕掛けでいっぱいでそれは楽しかったです。まずは歌手たちがステージの両端からだけではなく客席のいろいろなところから登場したり、そういえば座席に座った時にいつもの『DCH』の撮影時より多くのカメラが配置されているのに気付き、もしかしたら?きょうはLive?とカメラの位置を確認してしまいました。(って、別に私が確認してどうなるものでもないのですが、2011年4月のLiveの時も映っていましたので今度も映るかしら・・・というミーハー気分です) そして、その期待通りのことが起こりました。

 帰国後、アップされた『ベルリン・フィル』の『DCH』(デジタルコンサートホール)のサイトのアーカイブスで確認すると、Live当日のでれでれに喜びまくっている私がちらりと映っていました。自分の横にあの笛の音と共にケルビーノ役のミヒャエル・ノッジが来た時、遠くの客先にあるカメラを観たらこちらに向いてみたので「たぶん、映っているね」と(「別にあなたを映しているわけではありませんよーっ!」って突っ込みを入れられそうですが)つれ合いに言ってどきどきしておりました。後から映像を確認すると一瞬のことなのに、あまりのはしゃぎように目を覆いたくなりました。ですが、素人ゆえにそれほど嬉しく楽しいコンサートも久しぶりだったので仕方がないかと思っています。それにしてもテレビって顔が実物以上に丸々と太って映るのですね。それはそれはコンパスで描いたようにまんまる、なのであとから冷静になってから観ると恥ずかしい限りです。(ま、だれからも指摘はされませんが・・・実際はそれほど丸くはありません)

 『バーデン・バーデンイースター音楽祭』でのオペラはBSプレミアムシアターで放送されましたので演出はどういうものか知っている人も多いと思います。これもドイツの新演出らしい、というかタミーノもパミーナも現代的な服装で夜の女王はそれほど魔女っぽくはありませんし、線が少し細いアナ・ドルロフスキというソプラノでした。かつてのE・グルベローヴァが『夜の女王のアリア』を歌っているのを何回か聴いたり観たりしているのでそう思ったのかもしれませんが、コスチュームものの演出で楽しんできた人にとっては新演出の『魔笛』はまた別のオペラのようなものに思えるかもしれませんね。それにしても名前からしてロシア系?の歌手がここにも出演していてその台頭はすごいものがあります。

 

           

              『バーデン・バーデンイースター音楽祭』での『魔笛』です  

 

 そして、三人の侍女役のひとりは常連のM・コジェナですが、2012年の『ザルツブルクイースター音楽祭』での『カルメン』のタイトルロールよりこういう感じの役どころがぴったりの感じがします。侍女たちがステージの右側から登場するときには『I Love Berlin』のトートバッグを肩にかけおばさん歩きでゆっくりと出てきたときは周りの人たちと思わず微笑みを交わしたり、ちょっとしたところに小ネタを仕込む演出も演奏会形式の自由なところでしょうか。  歌手の皆さんもその反応に気を良くしてかのびのびと楽しみながら歌っている様子でした  その歌ごえのなかに、昨晩聴いたばかりのあの『偽の女庭師』に登場した歌手がいるのを発見!!何度かつれ合いに「ほら、きのうセルペッタ役をやっていた人でしょう?」と言ったのですが、記憶にない!そうで・・・・私はその細面の顔とスタイルに覚えがあって(だって昨晩観たばかりですよ、しかもいくら訳が分からないオペラだったとはいえ、彼女の張り切った演技とはつらつとした歌声は印象的でしたから覚えているでしょう、いくらなんでも…)  そういう記憶に残る歌手ってなかなかいないのですからパパゲーナ役のレグラ・ミューレマンのことは覚えておきたいと思います。     http://www.regulamuehlemann.com/en/front 

 タミーノ役のテノールのパヴォル・ブレスリクパミーナ役のソプラノのケイト・ロイヤルについても初めての歌手ですので、この時は前期のグルベローヴァが出ていたDVDでの学習したものを思い浮かべながら、それでも演奏会形式の中でもこの時は楽しめましたので、二人の歌もとても受け入れやすいうまい歌い手だな、という印象を持ちました。      イギリス出身のケイト・ロイヤルのことは少し調べておいたので思ったより貫禄のある声だなという(オペラの時やコンサートの時も軽い服装でいいところのお嬢さん風な感じでしたから少し重めの声で表現しているのかと思いました。パパゲーナのソプラノの声と対照的にタイトルロールとしての自信を見せてくれたのかもしれません。 ケイト・ロイヤルが過去に『ベルリン・フィル』に出演した動画があるご本人のHPがみつかりました。http://www.askonasholt.co.uk/artists/singers/soprano/kate-royal            

 

         

         これは『バーデン・バーデン』での『魔笛』の模様です

 

 ですが、この日のコンサートの勝利者(という言い方はあまりよくないかしら・・・)は何といってもパパゲーノ役のミヒャエル・ノッジでした。 バーデンのオペラの中でもキャップを後ろ前にかぶってひょうきんさ満載でのびのび歌いまくり、ハーモニーホールでも登場するたびに笑いと拍手を沢山もらって張り切っていました。主役を食う、というのもこの役の美味しいところではありますね。 モーツァルトもまさかこういう演出で自分のオペラが上演されているとは思っても観なかっただろうなぁとそんなことを考えてひとり笑ってしまったこの日のコンサートでした。(久々の『妄想大魔王』です)
 
 それでは、いけない・・・とおもいつつフラッシュは消してハーモニーホールでのコンサートのカーテンコールの写真がみつかりましたので載せておきます。このようなピンボケの写真よりベルリン・フィルの『DCH』のアーカイブスで本物の良さをご堪能ください日本語のHPから簡単に検索でき、無料で観られるインタビューや1回だけのチケット購入もできます。日本は世界でドイツに次いで二番目ぐらいにチケット購入者が多いそうですが、できたらドイツを抜いて一番になりたいと私は思っているのでご興味がない方も一度ぜひアクセスしてしてみてください。
きっと音楽人生がばら色になる、はず?です。
                            
                    
                 
 
                     かなりピンボケですがオケが去った後も出てきてくれました 
         子どもたちの左側にいるのがケルビーノ役の ミヒャエル・ノッジです                     
                                 
 
 
 ☆私のオペラノートおぼつかない内容ながら思い出しながら綴っています。

私のオペラノート24

2014年07月19日 | オペラ

           難関オペラ『偽の女庭師』を観る≫

             

           

 

 『ベルリン・フィル』を聴く、ということがこの時の旅のメインであったのでついで、と言っては失礼かもしれないのですが、前回のシラー劇場での『ラ・ボエーム』がまずまず理解できた演出だったので(?) 2013年の4月の旅でも『ベルリン・シュターツ・オーパー』のオペラを観ることにしたのですが、問題はあまり上演機会のないオペラのようでいい予習のCDやDVDが見つかりませんでした。ようやくAmazonで中古のDVD(N・アーノンクール指揮)を手に入れさっそく観てみました。   その結果、これはただでさえ現代的な演出でしたので、ドイツでのオペラはもっとすごいことになるかもしれない、という不吉な予感が沸き起こってきました。                                『ベルリン・国立歌劇場』の建物は相変わらず改装中のままそのベールをとらずじまいで、このままではベルリンでのオペラ鑑賞はこれが最後の機会となってしまうかもしれません。


        ☆2013年4月6日(土) 開演 19:00 ベルリン・シラー劇場

        ☆モーツァルト 『偽の女庭師』

        ☆出演 ドン・アンキーゼ: STEPHAN RUGAMER(ウムライト省略)

            サンドリーナ: ANNETTE DASCH

           (ローエングリンに出ていたこの人しか知りません)

                           ベルフィオーレ伯爵: JOEL PRIETO

                           アルミンダ: ALEX PENDA

                                騎士ラミーロ: STEPHANIE ATANASOV

                                セルペッタ: REGULA MUHLEMANN

                  (ウムライト省略)

        ☆演出 HANS NEUENFELS(ドイツ語が読めないのでHPで

                               調べました)

        ☆指揮 HRISTOPHER MOULDS

        ☆演奏 ベルリン国立歌劇場管弦楽団

        ☆オペラ難易度 D (個人的見解です

         もし音楽評論家の黒田恭一さんがご存命であれば

         「これは難易度 B ぐらいですよ(微笑)」

         と言われるかも・・・)              

 

  冒頭の写真は現地で手に入れた(いわば宝の持ちぐされ)プログラムですが、これでこのオペラが想像できることでしょう。これは全くのドイツ演劇です!!オペラとは思えませんでした。それをもとにして(全部ドイツ語なのです)予習の為に観たDVDと見比べながら役名や当日のキャスト表を書いてみましたから完璧、とは言えないものですが。     シラー劇場の公演ではチューリヒ歌劇場で収録されたDVDには出て来ない男女の役者も登場し、そのやり取りがかなりのウエイトを占めていましたので、歌っていないときのやり取りは全く解らず、さすがの『妄想大魔王』の私もお手上げ状態となりました。

 ですが、こうして改めて自分のオペラノートを書き始めてみるとこのラーゴネーロ市の司法長官役・テノールのドン・アンキーゼ役シュテファン・リュガマー(と読むらしい)は以前にも自分で調べたテノールの中にいた記憶があります。柔らかく安定したその歌声のことが甦ったらまた追記してきちん書きたいと思います。リュガマーのHPとは別にご本人の歌声がYou Yubeにありましたので、役柄は違いますがそのソフトな歌声を確認してもらえたらと思います。『ばらの騎士』に出演していた時の映像です。https://www.youtube.com/watch?v=RpLSqqGVfY4

 それで、シラー劇場での『偽の女庭師』とは、モーツァルト青年期に第二作目のオペラ・ブッファとしてつくられたものだそうで、軽快ながらもやや長めの前奏曲に浸りつつ新演出がどのようなものが珍演出になるのか、期待と不安半々で幕が上がりました。

 設定はやはりかなり現代的です。舞台もごくごくシンプルでのっけからドイツ演劇というのでしょうか、アドリブが飛び交い客席からは笑いが起こります。  もう、なんのこっちゃ!?です。どういう役回りか皆目見当もつかない熟年の夫婦が登場して狂言回しのようなお芝居をするのです。ですから、歌になるとほっとします。  女庭師サンドリーナ役のソプラノはそのあと『ローエングリーン』にカウフマンと共演で出ていたのを観ましたので、今となってはすごいソプラノが出ていたのだと解ります。そんな実力派のソプラノ、アンネッテ・ダッシュの歌声は少し深みのあるソフトな歌声で落ち着く感じでした。いつも(と言ってもシラー劇場は二度目ですが)席が割と平土間の前の方を取っているので顔も表情も良く見えるのですが、少女のようなきらきらした目の美しいソプラノ歌手です。ですが、何しろ演出が女庭師、というには解りにくいその仕事らしい動きがなく抽象的な表現なので、どうなっているのかを理解するのに相当神経をすり減らしてしまいました。        途中で確かつれ合いが「もう、シラー劇場はいいや」とあきらめ顔で言ったことを覚えていますが、仕方がありません。実際、よく解らなかったのですから。           ここで、大好きな『ベルリン・フィルの12人のチェリストたち』結成40周年記念のコンサートにゲスト出演していたアンネッテ・ダッシュの歌声がありましたのでこれで感想の至らなさを帳消しに(はならないか?)してもらえたら・・・・と。  次回はワーグナーものでアンネッテ・ダッシュを聴く、というのはどうでしょうか?  秘密にしたい最高の組み合わせの画像です!!                     https://www.youtube.com/watch?v=B7iwJB4fRSU

 あらすじはアーノンクール指揮のスイスでの公演のDVDのライナーノートを読んでみると『ドン・ジョヴァンニ』と『フィガロの結婚』を足して二で割って悲劇でも喜劇でもないような(???)という感じです。 「そんなこと見れば判るでしょうに」と言ったあの時代にありがちな筋立てです。(決めつけてしまってスミマセン)  音楽はアーノンクールの得意な古楽器での演奏の軽やかな響にとはまた違った展開でテンポが速かったように覚えています。この時の指揮者も初めて聴く人でしたが、バロック音楽を得意とする方のようで、ウィーンなどでも活躍しているようですからそのバックボーンを知って聴くとまた違う感想もでてくるのでは、と楽しみにしています。それこそ、あすのアーノンクールかもしれません。

                   

                   

                 参考にしたDVD タイトルロールはエヴァ・メイ                

 

 もともとモーツァルトの音楽を理解していない私は有名な『コジ・ファン・トッテ』とか『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』『フィガロの結婚』と言った有名なモーツァルトのオペラをようやく一通り観たところ、位のレベルですから、この世間的になじみのない『偽の女庭師』はどれも似たような旋律に聴こえてしまいました。  それでも、モーツァルトのオペラで好きなのは歌いだす時のチェンバロです。指揮者がチェンバロを担当することが多いのでそれを観たり聴いたりするのが好きです。ヴェルディのオペラのアリアの歌いだしのような特徴的なそういう決まり事みたいなのが結構楽しいなと思います。人によって苦手なオペラがあってもどこか掴まえ所を見つけると案外好きになるのが早いような気がします。      シラー劇場でも場面転換でその音が流れると「あぁ、ようやく歌が始まる」といって安心したようなそれが支えになったというような気がしますが。      ともかく、ドイツ演劇を観せるのかオペラを聴かせるのかどっちかにしてほしいと思って見終えたのがその時の感想です(こんなことしか書けないなんて、


          『ベルリン・シュターツオパー』のチケットです。原始的にチケットの右あたりを

            ビリッと破って入場のしるし、とします。いわばもぎり、ですね。

            参考までに、真ん中あたりに書いてある Parkett links が平土間のことで

            Reihe 5 Platz 14 が五列目の14番目の席ということですので

            早めに座席に着かないとその近くの人をみんな立たせて待たせることに  

            なりますよ、ということですので、とっとと座りましょう。

            (チケット、破らないで欲しいナ)

 

※このオペラノートを書いた後に、実際に観た『偽の女庭師』のカーテンコールの写真が1枚だけ見つかりましたので載せておきますが、決してフラッシュを焚いて取ったのではありませんので。(だからいいというものではありませんが・・・)

            

            どうでしょうか『偽の女庭師』はどれでしょう?

 

※またまた追加情報です!!2014年夏の『グラインドボーン音楽祭』でこの『偽の女庭師』が上演されていることが判りました。(遅ればせですみません)      プレビューで観る限りはドイツのと違い解りやすい演出のようですから、今から行きますか?観てみたい気がします!イギリスの南の街ブライトンに宿泊してタクシーかレンタカーで『グラインドボーン』に行くのですが、この『グラインドボーン音楽祭』などを巡る旅行会社のオペラツアーはすでに終了しているので、行きたい人は自力で行くしかないようです。  せめて、HPで私たちが観たベルリンでの『偽の女庭師』との違いをご想像ください。               http://glyndebourne.com/

 

 ☆このとんでもなく頼りないオペラノートの記録は引っ越し前のブログにも書いてあります。

  http://blogs.yahoo.co.jp/borosan14/31879879.html


私のオペラノート23

2014年07月10日 | オペラ

                                ≪初めての日本のオペラ観劇デビュー≫                      

 順番が前のシラー劇場での『ラ・ボエーム』と前後してしまったことに気が付いて綴ってしまいましたが。日付は正しいのでそのまま書いてみます。                     ともかく思い切って、多少毛嫌いしていたところのある日本の新国立劇場で上演されるオペラを初めて聴きに行きました。これまで観たオペラはすべて海外の歌劇場かあるいはその引っ越し公演でしたので、ずっとあるイメージが邪魔をして日本のオペラを観る気がなかったのですが、オペラの講座仲間の方々は日本のオペラ座、新国立へもよく足を運ばれていると聞いて一度は観てみようかとようやく重い腰を上げて出かけたのでした。

      ☆2012年12月4日(火) 開演14:00 新国立歌劇場(東京・初台)

      ☆ロッシーニ 『セビリアの理髪師』

     ☆ 出演: アルマヴィーヴァ伯爵: ルシアノ・ボテリョ

         ロジーナ: ロクサーナ・コンスタンティネスク

        バルトロ: ブルーノ・ブラティコ

         フィガロ: ダリボール・イェニス

        ドン・バジリオ: 妻屋秀和

        ベルタ: 与田朝子

         ☆演出 ヨーゼフ・E・ケップリンガー

    ☆指揮 カルロ・モンタナーロ

    ☆演奏 東京フィルハーモニー交響楽団 

    ☆合唱 新国立劇場合唱団

    ☆オペラ難易度 A (黒田恭一さんの著書『オペラへの招待』に

                     よるもの)

    ☆ビギナー鑑賞度 喜劇 軽 (加藤浩子さんの著書『ようこそオペラ!』

                   によるもの)  

                         

              

                                       

 初めての新国立、ということでなるべく日本人が出ているということを気にしなくて済むように(それほど先入観がひどいわけではなかったけれど・・・)座席は平土間の20列目あたりにしました。視力の関係で普段はなるべく前の列にするのですが、きょうは全体像もとらえたいと思いました。舞台はなかなか美しくて色彩豊か、これはいいかもしれないと思ったのですが、オペラが始まると舞台が回る回ること!!・・・・「これだけ回せます~!!」みたいによく舞台を回転させる演出で場面転換が多すぎて音楽よりそちらの方に気持ちが行ってしまい、観ていて疲れる気がしました。 ですが、フィガロ役のダリボール・イェニスの声がとてもよく響き心地よくて、ここに集中すれば最後まで楽しめるかもしれないと思いました。フィガロ歌いの一人として有名とのことですから前評判も高かったようですが、私も素人なりにこの声に気分も上々の観劇となりました。

             

               

        『セビリアの理髪師』ではありませんがその歌声を聴いてみましょう。

          https://www.youtube.com/watch?v=8bIQfqXQVMI

  

 ロジーナはこれもまた初めて聴くメゾ・ソプラノのロクサーナ・コンスタンティネスクという歌手ですが、若々しさもありエキゾチックな雰囲気もあるので、カルメンなども合いそうだと思ったりして聴き入りました。HPを開くと美しい歌声と共にそのフォトも魅力的でぜひ見て欲しいと思いました。この二人については好き!今更ながらロッシーニの音楽は優雅で滑らかでいいという感想で終始しました。

         http://www.roxanaconstantinescu.com/1-0-Home.html   

 

 それから合唱団、新国立の合唱団は本当にうまい合唱団ですねまとまりがあってよくコントロール出来ていて美しい響きがとても心地よかったです。(もともとオペラは合唱の美しさ『パルシファル』から入りましたので、根っからのオペラ合唱好きではあります)                                               ですが他の日本人の歌手がどうしても私には物足りなかったのです。きっと、そばに新国立の常連さんやファンの代表の方がいて解説してくださったら、もっと彼らの歌についても呑み込みが早かったと思うのですが、声のボリュームがいまひとつ私に届かず、しぐさも隣のおじいさんみたいな感じでちょこまかした動きが『セビリア』という雰囲気から離れてしまいました。これも私がきのうきょうのオペラファンだということによる未熟さから来るのだと思います。きっとね。

 『セビリアの理髪師』を観ておけば、そのあとの『フィガロの結婚』が理解しやすい、ということで選んだプログラムでもありますが、作曲家が違うわけですからどうなるかはやはり観てみないと解らない、と実感しました。なにしろ、こんなに回って落ち着かない演出だとまた別の印象のオペラになってしまいます。                                   れとお決まりの反省ですが、もっとオペラを観るならばCDの全曲盤で曲の全体をつかんでからにするべきだと思いました~。ところどころ「このアリア知ってる」ぐらいしか感想がないのでは、高いチケット代が勿体ないですね。(もっぱら『おけぴ』のお蔭でお安くしていただいたチケットですが)

 新国立のもっとも感心したところはプログラムの良さ、充実ぶりでした。よその国のは言葉が解らないので英語でつまみ読み(?)が精一杯は当たり前ですが、表紙と中身はほとんど使いまわしという感じなのに比べて、まずは上演するオペラのあらすじがわかりやすく書かれていて、それから出演者のプロフィールと作品ノートと続き、このオペラの詳細がそのあとに丁寧に解説されています。  あら、読み物としてすごくいいんじゃないの?とこれだけは取っておく価値がありますし勉強になります!!こういうところから、日本のオペラももっと好きになれば歳を重ねてからも楽しみが増えると思うのですが・・・・どんなことになるのでしょうか?

 次のオペラの鑑賞予定は、ベルリンでのなんとモーツァルトの『偽の女庭師』というあまり上演機会のない演目となりそうなのです。さっそく、全曲盤とDVDを探しているのですが、ない!あまりない! いったいどうすればいいのかと、ネットに張り付く私でありました。

 ☆『私のオペラノート1から15までは引っ越し前のブログに書いてあります。(多少の言い間違えはお目こぼしください)

  http://blogs.yahoo.co.jp/borosan14/31879879.html

       

       ※2019年9月よりあまりに内容が稚拙なので少しずつ工事中・・・


私のオペラノート22

2014年07月07日 | オペラ

                      ≪初めての『ベルリン国立歌劇場オペラ』観劇≫

 2010年の冬に初めてベルリンを訪れて以来、毎年この時期になるとベルリンのX'masマーケットを観ていることになりますが、何度来ても『ベルリン国立歌劇場』は改装中のままで、なかなかその姿を現してはくれません。      オペラの中でドイツ語圏のものは演出が過激だったり演劇性の強い(ドイツ語でのお芝居の部分が増えたり)いわゆる背広ものが多くて辟易することがあったので、ベルリンではオペラを観る機会がなかったのですが、2012年の年末に出かけた音楽の旅ではちょうど解りやすいオペラが演目に入っていることが判ったので、一度は観劇してみたいと思い場所は『シラー劇場』を使って上演されているということだったので、またもやツアーの皆様より一足先に出発して、まずはオペラ観劇をすることにしました。今回の宿泊先は大好きな『リッツ・カールトン』の隣り、『マリオットホテル・ベルリン』です。2010年を除いてはほとんど『ポツダマー・プラッツ』周辺のホテルに泊まっているのでスーパーや郵便局がどこにあるかもよくわかっていて、快適に過ごすことができる場所となりました。それでも用意周到な私たちはまずは、『シラー劇場』のある場所までUバーン2番線乗って下見をしたうえでオペラ観劇へと向かいました。 『ポツダマー・プラッツ駅』から7つ目の『エルンスト・ロイター・プラッツ駅』の近くにシラー劇場や二番手、と言われている『ベルリン・ドイツオペラ』の劇場もあります。劇場の前で思いがけずにベルリン在住の日本人とお話することが出来て嬉しい思いをして気分よく劇場に入りましたが、さて、『シラー劇場』でのオペラはいったいどんなことになるのでしょうか。

      ☆2012年12月12日(水) 開演19:30 Staatsoper im Schiller Theater

      ☆プッチーニ 『ラ・ボエーム』

      ☆出演 ミミ: クリスチーヌ・オポライス

                      ロドルフォ: STEPHEN COSTELLO

                          ムゼッタ: ANNA SAMUIL

                          マルチェロ: ALFREDO DASA

               ☆ 演出 LINDY HUME

               ☆ 指揮 JULIEN SALEMKOUR

                ☆演奏 ベルリン国立歌劇場管弦楽団

      ☆オペラ難易度 A (黒田恭一さんの著書によるもの)

      ☆ビギナー鑑賞度 悲劇 中 (加藤浩子さんの著書によるもの)

 

             

             この垂れ幕がで演出がイメージできると思います

 

 この時期でしかもポピュラーな演目だということだからでしょうか、座席はほぼ真ん中の前から3番目が取れていました。けれど、知っている名前の歌手は見当たりません。これまでにさんざん反省の弁を語っていたのですから少しはキャストへの予備知識を入れてきた、と思われるところですが、懲りもせず準備に追われていたという言い訳で何も調べてきませんでした。   ですが、下見に来た時劇場前の垂れ幕を観て「あ、ふつうの演出みたい・・・」と思ってほっとした覚えはあります。  直前に指揮者がA・ネルソンスの予定からJ・SALEMKOUR(サームクォーアと読むのでしょうか?)に変更されたということを聞いて少しがっかりしていました。やはり、本物の歌劇場じゃないと振れないということでキャンセルしたのでしょうか。唯一知っている名前でしたから東京で『ウィーン・フィル』のコンサートで指揮をしたことを覚えていましたので、キャンセルはとても残念でした。

 ですが、開演して舞台を観てほっとしました。衣装などは60、70年代の頃の雰囲気になっていましたが、それほど突飛な舞台設定ではなかったので、これならば安心して観られると思ったからです。何しろ、これは1年前にMETの引っ越し公演でM・アルヴァレスとB・フリットリの豪華な舞台を観ていますから、どうしても比較してしまいます。     ミミ役K・OPOLAIS(なんと呼んだらいいのかわからないのです。ラトビア出身とのことですからヤンソンスさんと同郷ということですね。いつかちゃんと名前を言えるようにします。すみません)はMETでもグリゴーロとタイトルロールを務めているほどのソプラノですので、この役を熟知していてビジュアル的にもとてもいい透明感のある声の持ち主でホッとしました。何しろ予習で観たいくつかのDVDの中にはおおよそ病弱なミミ役には程遠い体型の持ち主が多く、加えて倒れようとどんな態勢でも「私はこんなに声が出るわよ~」と言わんばかりに声を張り上げるソプラノがいる中、で彼女は本当に自然な感じで抑揚が効いていてとても良かったと思います。出演者が知らない歌手ばかりだなんてがっかりしたこともすぐに忘れ、陰影のあるシンプルな舞台づくりも新鮮で本当に良いオペラだと思いました。 このブログを書いた時にはそのミミの歌声が聴けたのですが最近Not foundになってしまったようですので代わりにこの柔らかなソプラノの歌声を見つけましたので添付しておきます。You Tube様、しばらく消さないでくださいね。ありがとうございます。      

    https://www.youtube.com/watch?v=YVJA1r9d_hQ

         

          現代的なミミとロドルフォの雰囲気はわかっていただけるかと思います

 

 相手役のロドルフォは?というとアメリカ出身のテノールでどちらかというと、MET級というよりは二番手のイメージのテノールのようでしたが、これまた今までみたロドルフォの中では一番線が細いビジュアル的には一番ぴったりくる感じのロドルフォだったと思います。            何しろこの役はR・ヴァルガスとか少し体系的に丸い人ばかり見てきましたから、線が細いという印象になったのだと思いますが、声はキンキンせずミミを思いやる気持ちに溢れたいい表現をする声で結構感動させられました。自然に引き込まれる声はその人がうまい歌手だということを表しているのでしょう。小さな劇場でもコツコツと力を蓄えるために努力している人はいずれMETにも呼ばれる歌手になれるかもしれませんね。その時を楽しみにしたい歌手がそこにいたようです。もしかしたらあなたの一押しになるかもしれませんので、その歌声をどうぞ。

     http://stephencostellotenor.com/

※2014年7月にWOWWOWで放送された2011/12METのシーズン開幕のビューイングでの『アンナ・ボレーナ』にS・コステロが元恋人のぺルシ役で出演しているのを観ました。!!   二番手などと、失礼なことを書いてしまいました。すでにMETで活躍していたことを知り本当に嬉しく思いました。これからもどこかのオペラ座で出逢えることが楽しみです。

 前奏曲から悲しげな響きをゆらゆらと漂わせるはかなげなろうそくの火のように、この日の指揮者もまた代役であることを感じさせずに自然に歌手に寄り添って演奏しているようでした。(冬になるとこういう感傷的な感想のひとつ言ってみたくなるものです)      決してMETの公演のように『ラ・ボエーム』であってもどこか華やかな感じがする舞台と違い、終演後「あ、よかったかも・・・」と余韻を胸にしまってホテルに帰ったような、悪い印象など少しも残っていなかったことはいいオペラだった、ということでしょう。

 帰り道もそれほど人通りは多くありませんがみなUバーンの駅に向かって歩いてゆきますので、そのあとをついてゆけば駅にすぐたどり着け、危ない道はありませんでしたのでホテルまで30分足らずで帰り着けました。電車の中も遅い時間とはいえ『危ない人』も見かけず比較的治安がいい街というのは本当に居心地がいいものです。                      

  ちなみに翌年2013年にベルリンに行った時もまだ、『ベルリン国立歌劇場』は改装が終わらずどうやら2015年あたりまでずれこみそうだとか。ベルリンに出来る予定の国際空港といい、ヨーロッパは時間というものがゆっくり流れるところのようですね。

 

☆私の引っ越し前に綴ったオペラノートなどのブログはこちらに綴ってあります。

 http://blogs.yahoo.co.jp/borosan14/31879879.html