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2019年6月13日 弁理士試験 代々木塾 商29条の解説

2019-06-13 10:22:54 | 日記
2019年6月13日 弁理士試験 代々木塾 商29条の解説

(他人の特許権等との関係)第二十九条
 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。

〔解説〕
(1)「その使用の態様により」としたのは、登録商標の使用をする物品によって又は登録商標の物品への用い方によって商標権が特許権等と抵触したりしなかったりする場合があるからである。
(2)他人の特許権、実用新案権と抵触する場合についても規定したのは、平成8年改正により、立体商標制度を導入したからである。
(3)他人の著作隣接権と抵触する場合について規定したのは、平成26年改正により、音の商標が登録され、音の商標が使用される場面においては、著作権との抵触のみならず、著作隣接権(音楽レコード等)との抵触も想定されるからである。
(4)「指定商品又は指定役務のうち抵触する部分」とは、指定商品又は指定役務が複数あって、そのうち抵触する指定商品又は指定役務という場合(第25類「被服、履物」のうち「被服」のみが抵触する場合)と、指定商品又は指定役務の幅が広くそのうちの一部について抵触する場合(第25類「被服」のうち「洋服」のみが抵触する場合)の2つの態様がある。
(5)「その態様により登録商標の使用をすることができない」としたのは、抵触する態様である場合にのみ、登録商標を指定商品又は指定役務に使用できないとするためである。
(6)使用するための手段としては、特許権、実用新案権、意匠権との抵触の場合は、実施許諾を受ける、著作権、著作隣接権との抵触の場合は、利用許諾を受ける手段がある。
(7)商標権の禁止権が他人の権利と抵触する場合において、禁止権(37条1号)が他人の禁止権(37条1号)と抵触するときは、出願の先後を問わず、抵触する部分は、双方とも使用が禁止される。
 禁止権(37条1号)が他人の特許権等と抵触するときは、
(a)他人の特許権が先願であるときは、実施許諾を受ければ、禁止権の範囲でも事実上の使用はできる。
(b)他人の商標権が先願であるときは、特許権者が実施する手段はない。禁止権(37条1号)の範囲は使用許諾ができないからである。
(c)同日出願のときは、特許権者は禁止権(37条1号)の存在にかかわらず実施できるが、商標権者は禁止権(37条1号)の範囲では、実施許諾を受けなければ、使用できない。

2019年6月11日 弁理士試験 代々木塾 商26条の解説

2019-06-11 18:37:06 | 日記
2019年6月11日 弁理士試験 代々木塾 商26条の解説

(商標権の効力が及ばない範囲)第二十六条
1 商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
一 自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標
二 当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
三 当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標
四 当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について慣用されている商標
五 商品等が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標
六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標
2 前項第一号の規定は、商標権の設定の登録があつた後、不正競争の目的で、自己の肖像又は自己の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を用いた場合は、適用しない。
3 商標権の効力は、次に掲げる行為には、及ばない。ただし、その行為が不正競争の目的でされない場合に限る。
一 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(平成二十六年法律第八十四号。以下この項において「特定農林水産物等名称保護法」という。)第三条第一項(特定農林水産物等名称保護法第三十条において読み替えて適用する場合を含む。次号及び第三号において同じ。)の規定により商品又は商品の包装に特定農林水産物等名称保護法第二条第三項に規定する地理的表示(次号及び第三号において「地理的表示」という。)を付する行為
二 特定農林水産物等名称保護法第三条第一項の規定により商品又は商品の包装に地理的表示を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
三 特定農林水産物等名称保護法第三条第一項の規定により商品に関する送り状に地理的表示を付して展示する行為

〔解説〕
・1項柱書
(1)「他の商標の一部となっているものを含む」とは、他の商標の一部となっている商標にも商標権の効力は及ばないことを意味する。識別力のある商標に識別力のない文字等を結合させた商標(ソニーラジオ)が商標登録された場合でも、当該結合商標中の識別力のない文字等(ラジオ)については、商標権の効力が及ばず、第三者が自由に使用できることを確認的に規定したものである。
・1項1号→4条1項8号違反の過誤登録に対する救済
・1項2号、3号→3条1項1号、3号違反の過誤登録に対する救済
・1項4号→3条1項2号違反の過誤登録に対する救済
・1項5号→4条1項18号違反の過誤登録に対する救済
・1項6号→商標的使用に該当しない場合は、商標権の効力が及ばない。

・2項(1号の適用除外)
 不正競争の目的とは、他人の信用を利用して不当な利益を得る目的をいう。

・3項(特定農林水産物等名称保護法(GI法)との調整)
 平成28年改正において、TPP12協定の実施に伴い、攻めの農林水産業への転換(体質強化対策)として、日本国の地理的表示(GI)の海外での保護を通じた農林水産物の輸出促進を図るため、諸外国と相互に地理的表示(GI)を保護できる規定の整備を行う必要が生じた。
 なお、この改正法の施行期日は、TPP11発効の日である。

2019年6月7日 弁理士試験 代々木塾 商24条の4 解説

2019-06-07 14:12:13 | 日記
2019年6月7日 弁理士試験 代々木塾 商24条の4 解説

(商標権の移転に係る混同防止表示請求)第二十四条の四
 商標権が移転された結果、同一の商品若しくは役務について使用をする類似の登録商標又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一若しくは類似の登録商標に係る商標権が異なつた商標権者に属することとなつた場合において、その一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の指定商品又は指定役務についての登録商標の使用により他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者の業務上の利益(当該他の登録商標の使用をしている指定商品又は指定役務に係るものに限る。)が害されるおそれのあるときは、当該他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者は、当該一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者に対し、当該使用について、その者の業務に係る商品又は役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

〔解説〕
(1)商標権の移転の態様としては、甲が自己の商標権(指定商品a、b(aとbは類似)、登録商標イ)のうち指定商品aに係る商標権のみを乙に移転した場合と、甲が自己の商標権A(指定商品a、登録商標イ)と自己の商標権B(指定商品b(aとbは類似)、登録商標イ)のうち、商標権Aのみを乙に移転した場合がある。
(2)一方の商標権者、専用使用権者、通常使用権者が指定商品又は指定役務について登録商標の使用をした場合(25条)に適用される。
(3)他方の商標権者又は専用使用権者の業務上の利益が害されるおそれがあるときに適用される。
(4)業務上の利益は、他方の商標権者等が登録商標を指定商品又は指定役務に使用している範囲に限定される(かっこ書)。
(5)業務上の利益が害されるおそれがあるときとは、業務上の利益が害される具体的危険性があれば足りる。例えば、売上げの減少、得意先の喪失、業務上の信用や名声の毀損、登録商標の出所や品質、質の表示機能の毀損等についての具体的危険性があれば足りる。
(6)請求人には、通常使用権者は含まれない。独占排他的に使用できる者に限定されているからである。
(7)混同を防ぐのに適当な表示とは、一般需要者が取引上の通常の注意力をもって区別し得る程度のものであればよい。例えば、自己が業務を行っている地域の地名等を付して需要者の注意を促し得るもの等が挙げられる。

2019年6月5日 弁理士試験 代々木塾 商10条の解説

2019-06-05 12:15:03 | 日記
2019年6月5日 弁理士試験 代々木塾 商10条の解説

(商標登録出願の分割)第十条
1 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であつて、かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。
2 前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第九条第二項並びに第十三条第一項において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。
3 第一項に規定する新たな商標登録出願をする場合には、もとの商標登録出願について提出された書面又は書類であつて、新たな商標登録出願について第九条第二項又は第十三条第一項において準用する特許法第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな商標登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

〔解説〕
・1項(分割の要件)
(1)主体的要件→出願人が同一(共同出願の場合は全員が一致)
(2)時期的要件
(a)出願が審査、審判、再審に係属、拒絶審決取消訴訟に係属
 拒絶審決取消訴訟係属中に分割を認めたのは,商標法条約の要請である。この場合は、もとの出願について、準特施規30条の補正はできるが、68条の40第1項の補正はできないので、補正の遡及効は認められない。
(b)当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合
 平成30年改正により、商標登録出願の適正化を図るため、追加された。
(3)客体的要件→2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする出願
 指定商品が「第3類 化粧品」であるときは、化粧品に含まれる香水等の個々の商品について分割できる。
 分割できるのは分割直前のもとの出願に含まれている商品又は役務に限られ、補正により削除した指定商品等については分割できない。
(4)手続的要件→分割と同時にもとの出願について必要な補正をすることは、出願時遡及の要件である。分割と同時に補正をしなかったときは、出願時は遡及せず、分割時の出願とされる。もとの出願について商標権の設定の登録がされたときは、同一商品又は役務に係る分割出願は3条の趣旨に反するとして拒絶される。
 なお、特許出願の分割、実用新案登録出願の分割、意匠登録出願の分割においては、分割と同時にもとの出願について必要な補正をすることは、出願時遡及の要件ではない。
・2項(分割の効果)
・本文→出願時の遡及効
・ただし書→出願時が遡及しない場合(手続期間の確保)
・3項(書類のみなし提出)

2019年6月4日 弁理士試験 代々木塾 商8条の解説

2019-06-04 11:57:33 | 日記
2019年6月4日 弁理士試験 代々木塾 商8条の解説

(先願)第八条
1 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
2 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
3 商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは、その商標登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
4 特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を商標登録出願人に命じなければならない。
5 第二項の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。

〔解説〕
・1項(異日出願)
(1)出願人が同一の場合は適用しない。
(2)8条1項は拒絶理由ではない。4条1項11号で拒絶できるからである。
(3)後願先登録の過誤登録については、4条1項11号により無効にすることができないため、8条1項違反は無効理由である。

・2項(同日出願)
(1)出願人が同一の場合は適用しない。
(2)8条2項は拒絶理由である。4条1項11号で拒絶できないからである。

・3項(先願の地位)
(1)拒絶査定が確定→先願の地位が消滅する。
(2)登録査定が確定→商標権が存続する場合は先願の地位は消滅しない。商標権が消滅したときは先願の地位が消滅する。商標権消滅後は第三者の商標選択の範囲を拡大する。

・4項(協議命令)
 4項の協議命令と2項及び5項の拒絶理由の通知は、同時に行う。16条により政令で定める期間内に拒絶理由の通知をしなければならないからである。

・5項(くじ)
 くじに外れた出願について出願取下書又は出願放棄書を提出しなかった場合には、5項の規定により拒絶査定をすることになる。