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弁理士試験 代々木塾 特許法43条の解説

2019-04-30 16:35:48 | 日記
特許法43条の解説

(パリ条約による優先権主張の手続)第四十三条
1 パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をし若しくは同条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし又は同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張をした者は、最初に出願をし、若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願をし、若しくは同条A(2)の規定により最初に出願をしたものと認められたパリ条約の同盟国の認証がある出願の年月日を記載した書面、その出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲及び図面に相当するものの謄本又はこれらと同様な内容を有する公報若しくは証明書であつてその同盟国の政府が発行したものを次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
一 当該最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により当該最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により当該最初の出願と認められた出願の日
二 その特許出願が第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
三 その特許出願が前項、次条第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による他の優先権の主張を伴う場合における当該優先権の主張の基礎とした出願の日
3 第一項の規定による優先権の主張をした者は、最初の出願若しくはパリ条約第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の番号を記載した書面を前項に規定する書類とともに特許庁長官に提出しなければならない。ただし、同項に規定する書類の提出前にその番号を知ることができないときは、当該書面に代えてその理由を記載した書面を提出し、かつ、その番号を知つたときは、遅滞なく、その番号を記載した書面を提出しなければならない。
4 第一項の規定による優先権の主張をした者が第二項に規定する期間内に同項に規定する書類を提出しないときは、当該優先権の主張は、その効力を失う。
5 第二項に規定する書類に記載されている事項を電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。)によりパリ条約の同盟国の政府又は工業所有権に関する国際機関との間で交換することができる場合として経済産業省令で定める場合において、第一項の規定による優先権の主張をした者が、第二項に規定する期間内に、出願の番号その他の当該事項を交換するために必要な事項として経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許庁長官に提出したときは、前二項の規定の適用については、第二項に規定する書類を提出したものとみなす。
6 特許庁長官は、第二項に規定する期間内に同項に規定する書類又は前項に規定する書面の提出がなかつたときは、第一項の規定による優先権の主張をした者に対し、その旨を通知しなければならない。
7 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を特許庁長官に提出することができる。
8 第六項の規定による通知を受けた者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内に第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面を提出することができないときは、前項の規定にかかわらず、経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を特許庁長官に提出することができる。
9 第七項又は前項の規定により第二項に規定する書類又は第五項に規定する書面の提出があつたときは、第四項の規定は、適用しない。

〔解説〕
・1項(優先権主張書面の提出)
(1)優先権主張書面の記載事項
(a)優先権を主張しようとする旨
(b)最初の出願がされたパリ条約の同盟国の国名
(c)最初の出願の年月日
(2)経済産業省令(特施規27条の4の2第3項)で定める期間→優先日から1年4月又は後の出願の日から4月のいずれか遅い日までの間(出願審査請求後及び出願公開請求後は除く)
(3)願書に必要事項を記載して優先権主張書面の提出を省略できる(特施規27条の4第3項)。

・2項(優先権証明書の提出)→最先の日から1年4月以内
 複数優先権の主張を伴う場合には、先の出願が複数あるので、最先の日から1年4月以内である。

・3項(出願番号を記載した書面の提出)
 出願番号記載書面は、原則として優先権証明書とともに提出しなければならない。

・4項(優先権証明書不提出の効果)
(1)最先の日から1年4月以内に優先権証明書を提出しないときは、原則として、当該優先権の主張は、その効力を失う。
(2)出願番号記載書面を提出しなくても、優先権は失効しない。

・5項(優先権書類の電子的交換)
(1)最先の日から1年4月以内に所定の書面を提出することが必要
(2)所定の期間内に所定の書面を提出すれば、優先権証明書の提出は不要となる。

・6項(優先権証明書等の不提出の通知)
(1)その旨の通知→平成27年改正において、特許法条約(PLT)に準拠して、優先権証明書等の提出について救済規定を設けることとした。
(2)救済の対象→2項の優先権証明書の提出と、5項の所定の書面の提出

・7項(救済手続)
(1)6項の通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に優先権証明書、5項の所定の書面を提出できる。
(2)経済産業省令(特施規27条の3の3第5項)→ 通知の日から二月

・8項(不責事由による追完)
(1)不責事由により7項の経済産業省令で定める期間内に優先権証明書等を提出できなかったときは、経済産業省令で定める期間内に優先権証明書等を提出できる。
(2)経済産業省令(特施規27条の3の3第6項)
6 特許法第四十三条第八項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の経済産業省令で定める期間は、次に掲げる場合に応じ、当該各号に定めるところによる。
一 特許法第四十三条第二項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。次号において同じ。)に規定する書類を、当該書類を発行すべき政府による当該書類の発行に関する事務の遅延により提出することができなかつた場合 当該書類を入手した日から一月(在外者にあつては、二月)とする。
二 前号に掲げる場合以外の場合 特許法第四十三条第二項に規定する書類又は同条第五項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)に規定する書面を提出することができなかつた理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)とする。ただし、当該期間の末日が同法第四十三条第七項に規定する期間の経過後六月を超えるときは、同項に規定する期間の経過後六月とする。

・9項(書類又は書面の提出の効果)
 7項又は8項により書類又は書面を提出したときは、4項は適用されず、優先権は有効とされる。

弁理士試験 代々木塾 特許法41条の解説

2019-04-29 17:06:08 | 日記
特許法41条の解説

(特許出願等に基づく優先権主張)第四十一条
1 特許を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その特許出願に係る発明について、その者が特許又は実用新案登録を受ける権利を有する特許出願又は実用新案登録出願であつて先にされたもの(以下、「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面(先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。
 ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その特許出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
一 その特許出願が先の出願の日から一年以内にされたものでない場合(その特許出願を先の出願の日から一年以内にすることができなかつたことについて正当な理由がある場合であつて、かつ、その特許出願が経済産業省令で定める期間内にされたものである場合を除く。)
二 先の出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願若しくは第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願又は実用新案法第十一条第一項において準用するこの法律第四十四条第一項の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願若しくは実用新案法第十条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願である場合
三 先の出願が、その特許出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
四 先の出願について、その特許出願の際に、査定又は審決が確定している場合
五 先の出願について、その特許出願の際に、実用新案法第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合
2 前項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係る発明のうち、
 当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面
(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)
に記載された発明
(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項(これらの規定を同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)
 についての第二十九条、第二十九条の二本文、第三十条第一項及び第二項、第三十九条第一項から第四項まで、第六十九条第二項第二号、第七十二条、第七十九条、第八十一条、第八十二条第一項、第百四条(第六十五条第六項(第百八十四条の十第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)並びに第百二十六条第七項(第十七条の二第六項、第百二十条の五第九項及び第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)、同法第七条第三項及び第十七条、意匠法第二十六条、第三十一条第二項及び第三十二条第二項並びに商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第二十九条並びに第三十三条の二第一項及び第三十三条の三第一項(これらの規定を同法第六十八条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、
 当該特許出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす。
3 第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面
(外国語書面出願にあつては、外国語書面)
に記載された発明のうち、
 当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面
(当該先の出願が外国語書面出願である場合にあつては、外国語書面)
に記載された発明
(当該先の出願が同項若しくは実用新案法第八条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項(これらの規定を同法第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された発明を除く。)
については、
 当該特許出願について特許掲載公報の発行又は出願公開がされた時に当該先の出願について出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされたものとみなして、第二十九条の二本文又は同法第三条の二本文の規定を適用する。
4 第一項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない。

〔解説〕
・1項柱書本文(国内優先権の主張の要件)
(1)特許出願に係る発明→後の特許出願の請求項に記載された発明を意味する。後の特許出願の請求項について適法な補正がされたときは、補正後の発明を意味する。
(2)その者が特許を受ける権利を有する特許出願であって先にされたもの(先の出願)→後の特許出願の出願人は先の出願の出願人と同一であることが必要である。
(3)最初に→出願当初に記載した発明について優先権主張を認める。補正により追加した発明については優先権主張は認めない。
(4)明細書、特許請求の範囲又は図面→特許請求の範囲に限定されない。
(5)外国語書面→外国語書面出願では外国語書面が最初のものに相当する。
 外国語書面の翻訳文を提出することなく1年以内に後の出願ができ、その後も、外国語書面の翻訳文を提出する必要がない。優先期間は1年であるが、翻訳文の提出期間は1年4月だからである(36条の2第3項)。

・1項柱書ただし書(仮専用実施権を有する者があるとき)
(1)仮専用実施権に係る特許出願に基づく国内優先権の主張を伴う後の特許出願をするときは、仮専用実施権者の承諾を得なければならない。先の特許出願はその日から経済産業省令で定める期間(1年4月)を経過した時にみなし取下げとなり(42条1項)、同時に仮専用実施権が消滅し(34条の2第6項)、専用実施権を取得できないという不利益を受けるからである。
(2)仮通常実施権者の承諾は、不要である。仮通常実施権の登録制度を廃止したため、仮通常実施権者の存在を特許庁が把握することは困難であるからである。ただし、承諾に代わる代替措置として、先の特許出願について仮通常実施権を有する者があるときは、別段の定めがない限り、国内優先権の主張を伴う後の特許出願についても仮通常実施権が許諾されたものとみなすこととした(34条の3第5項)。

・1項各号(国内優先権の主張ができない場合)
・1号→優先期間は原則として1年(パリ条約の優先権と同様)
 ただし、正当な理由がある場合であって、かつ、その特許出願が経済産業省令(特施規27条の4の2第1項)で定める期間(期間の経過後2月)内にされたものであるときは、国内優先権の主張を認めることとした。
・2号→分割又は変更の出願、実用新案登録に基づく特許出願に基づく優先権主張は認められない。分割等の要件を判断しなければならず、審査負担が増大するからである。
・3号→放棄出願、取下出願、却下出願に基づく優先権主張はできない。
・4号→査定又は審決が確定した出願に基づく優先権主張はできない。
・5号→設定の登録がされた実用新案登録出願に基づく優先権主張はできない。
・3号~5号は、先の出願が後の出願時において特許庁に係属していることを要件とするものである。
 なお、パリ条約4条の優先権については、先の出願が優先権の発生の要件を満たしていれば、その後、先の出願が取り下げ、放棄されても、正規の国内出願としての効力を失うことはない(パリ条約4条A(3))。
 パリ条約4条A(3)は「正規の国内出願とは、結果のいかんを問わず、当該国に出願をした日付を確定するために十分なすべての出願をいう。」と規定している。

・2項(国内優先権の主張の効果)
(1)優先権の主張を伴う特許出願に係る発明のうち、先の出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明→後の出願の請求項に記載された発明であって、先の出願の当初明細書等に記載された発明を意味する。
 41条2項の適用は、特許請求の範囲に記載された発明に限定されるので、国内優先権の主張を伴う出願が29条の2の先願に該当する場合は、41条2項は適用されない。
(2)後の出願の特許請求の範囲に記載された発明のうち、優先権の利益がある発明については出願時の遡及効が認められ(41条2項)、優先権の利益がない発明については出願時の遡及効は認められない。国内優先権の効果は、請求項ごとに判断する。
(3)先の出願が外国語書面出願→外国語書面が出願当初のものに相当する。
(4)先の出願がすでに優先権の主張を伴う場合(かっこ書)→より先の出願にも記載された発明については優先権の効果は認められない。優先権の累積的主張を認めることは優先期間を定めた趣旨に反するからである。
(5)新たな実施例を追加した場合の効果(裁判例、審査基準)
 後の出願の請求項1の発明は、先の出願の当初明細書等に記載した発明と同一であるが、その発明に含まれる新たな実施例を追加したときは、請求項1の発明のうち追加した実施例に係る部分については国内優先権の効果を認めない。
 先の出願の明細書に発明イが記載され、その実施例としてイ1とイ2が記載されている場合において、後の出願の請求項1に発明イが記載され、明細書に実施例としてイ1とイ2とイ3が記載されているときは、請求項1に記載された発明イのうち新たな実施例イ3に係る部分については国内優先権の効果は認められない。先の出願後、後の出願前にイ3が記載された刊行物Pが発行されているときは、請求項1の発明イは、刊行物Pを引用して新規性が否定される。
 ただし、その後の適法な補正により、追加した実施例イ3を削除したときは、優先権の効果が認められ、拒絶理由は解消する。

・3項(先の出願が29条の2又は実3条の2の引用例となる場合)
(1)後の出願当初の明細書等に記載された発明であって、先の出願当初の明細書等にも記載されている発明については、後の出願について出願公開等された時に、先の出願について出願公開等されたものとみなして、先の出願について29条の2又は実3条の2の先願の地位を認める。
(2)後の出願が引用例となるのではなくて、先の出願が引用例となる。
(3)外国語書面出願→後の出願も、先の出願も、外国語書面が出願当初のものに相当する。
(4)先の出願が優先権主張を伴う場合(かっこ書)→より先の出願にも記載された発明については優先権の効果は認められない。
(5)先の出願について出願公開又は実用新案掲載公報の発行がされたものとみなして
(a)先の出願→先の出願は通常はみなし取下げとなって出願公開されない。
(b)出願公開→29条の2の引用例となるためには出願公開が要件
(c)実用新案掲載公報の発行→実用新案登録出願については実用新案掲載公報の発行が要件(実用新案法では出願公開制度がない)

・4項(手続的要件)
(1)第1項の規定による優先権を主張しようとする者→先の出願の出願人であって後の特許出願の出願人を意味する。
(2)先の出願の表示→出願番号と出願日
(3)記載した書面→願書に記載して書面の提出の省略ができる(特施規27条の4第3項)
(4)経済産業省令(特施規27条の4の2第3項)で定める期間は、優先日から1年4月又は後の出願の日から4月のいずれか遅い日までの間(出願審査請求後及び出願公開請求後は除く。)である。

弁理士試験 代々木塾 特許法39条の解説

2019-04-28 14:38:28 | 日記
特許法39条の解説

(先願)第三十九条
1 同一の発明について異なつた日に二以上の特許出願があつたときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。
2 同一の発明について同日に二以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた一の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その発明について特許を受けることができない。
3 特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが同一である場合において、その特許出願及び実用新案登録出願が異なつた日にされたものであるときは、特許出願人は、実用新案登録出願人より先に出願をした場合にのみその発明について特許を受けることができる。
4 特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが同一である場合(第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願(第四十四条第二項(第四十六条第六項において準用する場合を含む。)の規定により当該特許出願の時にしたものとみなされるものを含む。)に係る発明とその実用新案登録に係る考案とが同一である場合を除く。)において、その特許出願及び実用新案登録出願が同日にされたものであるときは、出願人の協議により定めた一の出願人のみが特許又は実用新案登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許出願人は、その発明について特許を受けることができない。
5 特許出願若しくは実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について第二項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
6 特許庁長官は、第二項又は第四項の場合は、相当の期間を指定して、第二項又は第四項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を出願人に命じなければならない。
7 特許庁長官は、前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、第二項又は第四項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。

〔解説〕
・1項(異日出願の取扱い)
(1)特許出願の日
 特許出願の日とは、出願日認定要件を満たすときは、原則として願書を提出した日である(38条の2第1項)。
 分割又は変更に係る出願→もとの出願の日(44条2項、46条6項)
 実用新案登録に基づく特許出願→実用新案登録出願の日(46条の2第2項)
 国内優先権主張出願→先の出願の日(41条2項)
 パリ条約優先権主張出願→先の出願の日(パリ条約4条B)
(2)対象となる発明→特許請求の範囲に記載された発明
 特許請求の範囲について補正がされた場合→補正後の発明
(3)同一の発明とは、技術的思想として実質同一の発明をいう。
 実質同一の発明とは、次の場合をいう(審査基準)。
(a)課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)である場合
(b)先願発明の発明特定事項を、本願発明において上位概念として表現したことによる差異である場合
(c)単なるカテゴリー表現上の差異(例えば、表現形式上、「物」の発明であるか、「方法」の発明であるかの差異)である場合
(4)先願発明が上位概念で後願発明がその下位概念であるときは、先願の上位概念から後願の下位概念を特定することはできないので、同一の発明とはしない(審査基準)。
(5)出願人が異なる場合
 発明者も異なる場合は、29条の2を優先適用する。先願の確定を待っていたのでは、審査が遅延するからである。
 発明者が同一の場合は、29条2は適用できないので、39条1項を適用する。この場合は、先願の確定を待つこととなる(審査基準)。
(6)出願人が同一である場合
 29条の2は適用できないので、39条1項を適用する。出願人が同一であるので、先願の確定を待つことなく、後願に39条1項の拒絶理由を通知する。39条1項の拒絶理由が解消しないときは、先願が未確定でも後願について39条1項により拒絶査定をする(審査基準)。

・2項(同日出願の取扱い)
(1)同一の発明→一方の発明を先願発明とし他方の発明を後願発明としたときに両発明が同一となり、かつ、一方の発明を後願発明とし他方の発明を先願発明としたときにも両発明が同一となる場合に、両発明は同一とする。
(2)一方が上位概念で他方が下位概念の場合は、同一の発明としない。先願が上位概念で後願が下位概念と同様に取扱う趣旨である(審査基準)。
(3)協議制を採用→出願人同士の自主的解決が望ましい。
(4)一の特許出願人のみ→出願人が同一の場合にも適用する。
(5)協議をすることができないとき→協議をしようとしても相手が応じないか、相手が不在の場合
(6)出願人が異なる場合
 各出願人に特許庁長官が39条6項の協議命令をする。
 39条2項以外の拒絶理由があるときは、協議命令の際にあわせて審査官による拒絶理由を通知する。
(7)出願人が同一である場合
 出願人に、特許庁長官による協議命令(39条6項)と、審査官による拒絶理由通知(39条2項、50条)を同時に送付する。協議に時間を要しないからである。

・3項(発明と考案が同一の場合)
(1)特許出願に係る発明イと実用新案登録出願に係る考案ロが同一であり、実用新案登録出願が先願である場合に、39条3項が適用される。
(2)実用新案登録出願については早期に実用新案権の設定の登録がされる。特許出願は、出願審査の請求がされた後に、39条3項の審査が行われる。出願人が異なるときは、29条の2を適用すれば足りる。出願人が同一のときは、29条の2は適用できないので、39条3項を適用することとなる。実用新案権について同一考案に係る請求項を削除する訂正をすれば、その訂正の効果により(実14条の2第11項)、39条3項の拒絶理由は解消する。

・4項(発明と考案が同一で同日出願)
(1)実用新案登録出願が特許庁に係属しているとき
 特許庁長官は、特許出願の出願人に協議命令をする(39条6項)。実用新案登録出願については実体審査をしないため(実14条2項)、実用新案登録出願人に協議命令はされない。
(2)実用新案登録出願について実用新案権の設定の登録がされているとき
 協議をしても特許出願人を一の出願人と定めることはできないので、特許庁長官は、特許出願人に協議命令をしない。この場合は、特許出願人に、39条4項の拒絶理由が通知される。拒絶理由の通知を受けた特許出願人は、実用新案権者と事実上の交渉をして、実用新案権者が同一部分の請求項を削除する訂正をすれば、訂正の効果により(実14条の3第11項)、39条4項の拒絶理由が解消する。
(3)実用新案登録に基づく特許出願(分割又は変更した場合を含む)とその基礎とされた実用新案登録出願との間においては、39条4項は適用しない。46条の2第1項による特許出願をしても自己の同日出願に係る実用新案登録出願を引用して拒絶されたのでは特許権を取得できないこととなり、これでは46条の2の規定の趣旨に反するからである。

・5項(先願の地位)
(1)出願の放棄→出願放棄書を提出した場合
(2)出願の取下げ→出願取下書を提出した出願のほか、みなし取下げも含む
(3)出願の却下→18条の却下、18条の2の却下、38条の2第8項の却下等
(4)拒絶査定又は拒絶審決が確定→不服申立の手段が尽きたときに拒絶が確定
(5)第1項から前項まで→他の規定の適用では出願という事実は残る。
(6)初めからなかったものとみなす→先願の地位が遡及的に消滅する。
(7)特許権の設定の登録がされた特許出願→先願の地位が残る
(8)冒認出願であっても特許権の設定の登録がされたときは、先願の地位が残る。無効審判で無効審決が確定したとしても、先願の地位が残る。
(9)ただし書→同日出願で協議不成立のときは双方とも拒絶されるが、この場合は先願の地位を有する。拒絶後、後願者又は一方の当事者が特許取得可能となるのは不公平となるからである。
(10)同日出願でも他の理由(進歩性等)により拒絶が確定した出願は先願の地位は消滅する。

・6項(協議命令)
 協議→一の出願人を定めるための協議
 出願人→特許出願人を意味(実用新案登録出願人は除外)

・7項(協議命令の効果)
 協議命令を受けたが、指定期間内に届出をしなかったときは、協議不成立とみなすことができる→特許庁長官の裁量
 協議不成立擬制の効果→2項違反、4項違反で、拒絶理由等

・平成23年改正により旧6項は削除
 旧6項は、発明者でない者であって、特許を受ける権利を有しない者がした特許出願は、39条1項~4項の適用においては、特許出願でないものとみなす旨を規定していた。特許権の設定の登録がされた場合でも、旧6項に該当するときは、先願の地位が認められていなかった。
 平成23年改正において、旧6項を削除し、冒認出願であっても特許権の設定の登録がされたときは、先願の地位を認めることとした。
 同一発明について真の権利者が二重に特許を取得することを防止するため、真の権利者の後願を拒絶し、真の権利者に特許権の移転の請求を認めることとしたものである(74条)。

弁理士試験 代々木塾 特許法38条の4の解説

2019-04-27 11:37:43 | 日記
特許法38条の4の解説

(明細書又は図面の一部の記載が欠けている場合の通知等)第三十八条の四
1 特許庁長官は、特許出願の日の認定に際して、願書に添付されている明細書又は図面(外国語書面出願にあつては、明細書に記載すべきものとされる事項を第三十六条の二第一項の経済産業省令で定める外国語で記載した書面又は必要な図面でこれに含まれる説明を同項の経済産業省令で定める外国語で記載したもの。以下この条において同じ。)について、その一部の記載が欠けていることを発見したときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。
2 前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、明細書又は図面について補完をすることができる。
3 前項の規定によりその補完をするには、経済産業省令で定めるところにより、明細書又は図面の補完に係る書面(以下この条及び第六十七条第三項第六号において「明細書等補完書」という。)を提出しなければならない。
4 第一項の規定による通知を受けた者が第二項に規定する期間内にその補完をしたときは、その特許出願は、第三十八条の二第一項又は第六項の規定にかかわらず、明細書等補完書を提出した時にしたものとみなす。ただし、その補完が第四十一条第一項の規定による優先権の主張又は第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願に係るものであつて、かつ、前項の規定により提出した明細書等補完書に記載した内容が経済産業省令で定める範囲内にあるときは、この限りでない。
5 第二項の補完をした特許出願が、第三十八条の二第一項第一号又は第二号に該当する場合であつて、その補完に係る手続補完書を第三項の規定により明細書等補完書を提出した後に提出したときは、その特許出願は、前項の規定にかかわらず、当該手続補完書を提出した時にしたものとみなす。
6 第二項の規定によりその補完をした明細書又は図面は、願書に添付して提出したものとみなす。
7 第二項の補完をした者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第三項の規定により提出した明細書等補完書を取り下げることができる。
8 前項の規定による明細書等補完書の取下げがあつたときは、その補完は、されなかつたものとみなす。
9 第三十八条の二第九項の規定は、第一項の規定による通知を受ける前に執つた手続に準用する。
10 前各項の規定は、第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項又は第二項の規定による出願の変更に係る特許出願及び第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、適用しない

〔解説〕
・1項(明細書等の一部欠落の場合)
(1)出願日の認定に際して、明細書又は図面の記載の一部が欠落しているときは、特許庁長官は、その旨を出願人に通知しなければならない。
(2)特許請求の範囲の一部が欠落しているときは、適用されない。特許請求の範囲の記載は、出願人の自由意思で記載されるべきものであるからである。

・2項(明細書等の補完)
 38条の4第1項の通知を受けた出願人は、経済産業省令で定める期間内に明細書等の補完ができる。
 経済産業省令(特施規27条の11第1項)→特許法第三十八条の四第二項の経済産業省令で定める期間は、同条第一項の規定による通知の日から二月とする。

・3項(明細書等補完書)
 明細書等の補完をするときは、明細書等補完書(手続補完書ではない)を提出しなければならない。

・4項(補完をした場合の効果)
(1)経済産業省令で定める期間内に明細書等の補完をしたときは、特許出願は、明細書等補完書を提出した時にしたものとみなされる。願書を提出した日が出願日と認定されない。
 経済産業省令(特施規27条の11第3項)→特許庁長官は、特許法第三十八条の四第四項本文の規定によりその特許出願が明細書等補完書を提出した時にしたものとみなされたときは、その旨を特許出願人に通知しなければならない。
 経済産業省令(特施規27条の11第4項)→前項の規定による通知があつたときは、特許出願人は、同項の規定による通知の日から一月以内に限り、特許庁長官に意見書を提出することができる。
(2)優先権主張を伴う特許出願について明細書等の補完をした場合において、明細書等補完書に記載した内容が経済産業省令で定める範囲内にあるときは、すなわち、先の出願に欠落部分が完全に含まれているときは、本文は適用されず、出願日は変動しない。
 経済産業省令(特施規27条の11第6項)→特許法第三十八条の四第四項ただし書の経済産業省令で定める範囲内にあるときとは、同項ただし書に規定する優先権の主張の基礎とした出願(以下この条において「優先権主張基礎出願」という。)に完全に記載されているときとする。
 経済産業省令(特施規27条の11第7項)→特許法第三十八条の四第四項ただし書の適用を受ける特許出願の出願人は、同条第一項の通知があつたときは、第一項に規定する期間内(同条第九項の規定によりその通知を受けた場合に執るべき手続を執つた場合にあつては、当該特許出願として提出された書類が特許庁に到達した日から二月以内)に、優先権主張基礎出願の写し(優先権主張基礎出願の願書に添付された明細書又は図面が外国語で記載されている場合にあつては、当該優先権主張基礎出願の写し及びその日本語による翻訳文)を提出しなければならない。

・5項(38条の2第1項1号又は2号に該当する場合)
 明細書等の補完をした特許出願が、38条の2第1項1号又は2号に該当する場合であって、手続補完書を明細書等補完書を提出した後に提出したときは、その特許出願は、手続補完書を提出した時にしたものとみなされる。

・6項(明細書等の補完の効果)
 補完をした明細書又は図面は、願書に添付して提出したものとみなされる。

・7項(明細書等補完書の取下げ)
(1)明細書等補完書は、経済産業省令で定める期間内に取り下げることができる。
 経済産業省令(特施規27条の11第10項)→特許法第三十八条の四第七項の経済産業省令で定める期間は、第三項の規定による通知の日から一月とする。
(2)明細書等補完書を取り下げたときは、出願日の繰り下がりによる不利益を解消できる。

・8項(明細書等補完書の取下げの効果)
 明細書等補完書の取下げがあったときは、その補完は、されなかったものとみなされる。出願日は変動しない。

・9項(通知前に明細書等補完書を提出した場合)
(1)38条の4第1項の通知を受ける前に、出願人は、自発的に明細書等補完書を提出できる。
(2)自発的に明細書等補完書を提出した場合の効果は、通知を受けた後に明細書等補完書を提出した場合の効果と同様である。
 経済産業省令(特施規27条の11第12項)→特許法第三十八条の四第九項において準用する同法第三十八条の二第九項の経済産業省令で定める場合は、同法第三十八条の四第一項の規定による通知を受けた場合に執るべき手続を特許出願として提出された書類が特許庁に到達した日から二月を経過した後に執つた場合とする。

・10項(分割出願等の適用除外)
 38条の4の規定は、分割出願、変更出願、実用新案登録に基づく特許出願には適用しない。PLTの適用を義務づけられていないからである。


弁理士試験 代々木塾 特許法38条の3の解説

2019-04-26 16:30:04 | 日記
特許法38条の3の解説

(先の特許出願を参照すべき旨を主張する方法による特許出願)第三十八条の三
1 特許を受けようとする者は、外国語書面出願をする場合を除き、第三十六条第二項の規定にかかわらず、願書に明細書及び必要な図面を添付することなく、その者がした特許出願(外国においてしたものを含む。以下この条において「先の特許出願」という。)を参照すべき旨を主張する方法により、特許出願をすることができる。ただし、その特許出願が前条第一項第一号又は第二号に該当する場合は、この限りでない。
2 前項に規定する方法により特許出願をしようとする者は、その旨及び先の特許出願に関し経済産業省令で定める事項を記載した書面を当該特許出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
3 第一項に規定する方法により特許出願をした者は、経済産業省令で定める期間内に、当該特許出願に係る願書に添付して提出すべき明細書及び必要な図面並びに同項に規定する方法における主張に係る先の特許出願に関し経済産業省令で定める書類を提出しなければならない。
4 前項の規定により提出された明細書及び図面に記載した事項が、第一項に規定する方法における主張に係る先の特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(当該先の特許出願が、外国語書面出願である場合にあつては外国語書面、外国においてしたものである場合にあつてはその出願に際し提出した書類であつて明細書、特許請求の範囲又は図面に相当するもの)に記載した事項の範囲内にない場合は、その特許出願は、前条第一項の規定にかかわらず、前項の規定により明細書及び図面を提出した時にしたものとみなす。
5 第三項の規定により提出された明細書及び図面は、願書に添付して提出したものとみなす。
6 前各項の規定は、第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項又は第二項の規定による出願の変更に係る特許出願及び第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願については、適用しない。

〔解説〕
・1項(先の特許出願を参照すべき旨を主張した特許出願)
(1)願書に明細書及び必要な図面を添付することなく、先の特許出願を参照すべき旨を主張して、特許出願ができる。
(2)外国語書面出願には適用されない。
 分割出願、変更出願、46条の2の特許出願にも、適用されない(38条の3第6項)。
(3)先の特許出願には、外国にしたものが含まれる。
(4)38条の2第1項1号又は2号に該当するときは、適用されない。

・2項(所定の書面の提出)
 38条の3第1項の規定により特許出願をする旨及び先の特許出願に関し経済産業省令で定める事項を記載した書面を特許出願と同時に提出しなければならない。
 経済産業省令(特施規27条の10第1項)→特許法第三十八条の三第二項の経済産業省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 先の特許出願をした国又は国際機関の名称
二 先の特許出願の出願日
三 先の特許出願の出願番号
 経済産業省令(特施規27条の10第2項)→特許法第三十八条の三第一項に規定する方法により特許出願をしようとする者は、当該特許出願の願書にその旨及び前項に掲げる事項を記載して同条第二項に規定する書面の提出を省略することができる。

・3項(明細書及び必要な図面等の提出)
 経済産業省令で定める期間内に、明細書及び必要な図面と先の特許出願に関し経済産業省令で定める書類を提出しなければならない。
 経済産業省令(特施規27条の10第3項)→特許法第三十八条の三第三項の経済産業省令で定める期間は、特許出願の日から四月とする。
 経済産業省令(特施規27条の10第4項)→特許法第三十八条の三第三項の経済産業省令で定める書類は、先の特許出願をした国又は国際機関の認証があるその出願の際の書類で明細書、特許請求の範囲及び図面に相当するものの謄本(以下この条において「先の特許出願の認証謄本」という。)及び先の特許出願の認証謄本が外国語で記載されている場合にあつてはその日本語による翻訳文とする。
 経済産業省令(特施規27条の10第5項)→特許法第三十八条の三第一項に規定する方法により特許出願をした者は、先の特許出願の認証謄本若しくはこれに相当するものを特許庁長官に既に提出済みである場合、特許法第四十三条第五項(同法第四十三条の二第二項(同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)に規定する書面を特許庁長官に既に提出済みである場合(第二十七条の四第五項の規定により第二十七条の三の三第三項各号に掲げる事項を記載した書面の提出を省略した場合を含む。)又は先の特許出願が日本国においてしたものである場合にあつては、前項の規定にかかわらず、先の特許出願の認証謄本の提出を省略することができる。

・4項(新規事項の追加に該当する場合)
(1)38条の3第3項により提出した明細書及び図面に記載した事項が先の特許出願の明細書等に記載した事項の範囲を超えるときは、特許出願は、明細書及び図面を提出した時にしたものとみなされる。この場合は、願書を提出した日が出願日と認定されない。
(2)先の特許出願が外国語書面出願の場合は、外国語書面に記載した事項の範囲を超える場合に適用される。

・5項(明細書及び図面の提出の効果)
 38条の3第3項により提出した明細書及び図面は、願書に添付して提出したものとみなされる。

・6項(分割出願等の適用除外)
 38条の3の規定は、分割出願、変更出願、実用新案登録に基づく特許出願には適用しない。PLTの適用を義務づけられていないからである。