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2019年6月5日 弁理士試験 代々木塾 商10条の解説

2019-06-05 12:15:03 | 日記
2019年6月5日 弁理士試験 代々木塾 商10条の解説

(商標登録出願の分割)第十条
1 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合であつて、かつ、当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。
2 前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第九条第二項並びに第十三条第一項において準用する特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。
3 第一項に規定する新たな商標登録出願をする場合には、もとの商標登録出願について提出された書面又は書類であつて、新たな商標登録出願について第九条第二項又は第十三条第一項において準用する特許法第四十三条第一項及び第二項(これらの規定を第十三条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな商標登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。

〔解説〕
・1項(分割の要件)
(1)主体的要件→出願人が同一(共同出願の場合は全員が一致)
(2)時期的要件
(a)出願が審査、審判、再審に係属、拒絶審決取消訴訟に係属
 拒絶審決取消訴訟係属中に分割を認めたのは,商標法条約の要請である。この場合は、もとの出願について、準特施規30条の補正はできるが、68条の40第1項の補正はできないので、補正の遡及効は認められない。
(b)当該商標登録出願について第七十六条第二項の規定により納付すべき手数料を納付している場合
 平成30年改正により、商標登録出願の適正化を図るため、追加された。
(3)客体的要件→2以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする出願
 指定商品が「第3類 化粧品」であるときは、化粧品に含まれる香水等の個々の商品について分割できる。
 分割できるのは分割直前のもとの出願に含まれている商品又は役務に限られ、補正により削除した指定商品等については分割できない。
(4)手続的要件→分割と同時にもとの出願について必要な補正をすることは、出願時遡及の要件である。分割と同時に補正をしなかったときは、出願時は遡及せず、分割時の出願とされる。もとの出願について商標権の設定の登録がされたときは、同一商品又は役務に係る分割出願は3条の趣旨に反するとして拒絶される。
 なお、特許出願の分割、実用新案登録出願の分割、意匠登録出願の分割においては、分割と同時にもとの出願について必要な補正をすることは、出願時遡及の要件ではない。
・2項(分割の効果)
・本文→出願時の遡及効
・ただし書→出願時が遡及しない場合(手続期間の確保)
・3項(書類のみなし提出)

2019年6月4日 弁理士試験 代々木塾 商8条の解説

2019-06-04 11:57:33 | 日記
2019年6月4日 弁理士試験 代々木塾 商8条の解説

(先願)第八条
1 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
2 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。
3 商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは、その商標登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
4 特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を商標登録出願人に命じなければならない。
5 第二項の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。

〔解説〕
・1項(異日出願)
(1)出願人が同一の場合は適用しない。
(2)8条1項は拒絶理由ではない。4条1項11号で拒絶できるからである。
(3)後願先登録の過誤登録については、4条1項11号により無効にすることができないため、8条1項違反は無効理由である。

・2項(同日出願)
(1)出願人が同一の場合は適用しない。
(2)8条2項は拒絶理由である。4条1項11号で拒絶できないからである。

・3項(先願の地位)
(1)拒絶査定が確定→先願の地位が消滅する。
(2)登録査定が確定→商標権が存続する場合は先願の地位は消滅しない。商標権が消滅したときは先願の地位が消滅する。商標権消滅後は第三者の商標選択の範囲を拡大する。

・4項(協議命令)
 4項の協議命令と2項及び5項の拒絶理由の通知は、同時に行う。16条により政令で定める期間内に拒絶理由の通知をしなければならないからである。

・5項(くじ)
 くじに外れた出願について出願取下書又は出願放棄書を提出しなかった場合には、5項の規定により拒絶査定をすることになる。

2019年6月3日 弁理士試験 代々木塾 商7条の2の解説

2019-06-03 18:11:52 | 日記
2019年6月3日 弁理士試験 代々木塾 商7条の2の解説

(地域団体商標)第七条の二
1 事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除き、当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。)、商工会、商工会議所若しくは特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人又はこれらに相当する外国の法人(以下「組合等」という。)は、その構成員に使用をさせる商標であつて、次の各号のいずれかに該当するものについて、その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、第三条の規定(同条第一項第一号又は第二号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。
一 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
二 地域の名称及び自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字のみからなる商標
三 地域の名称及び自己若しくはその構成員の業務に係る商品若しくは役務の普通名称又はこれらを表示するものとして慣用されている名称を普通に用いられる方法で表示する文字並びに商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字として慣用されている文字であつて、普通に用いられる方法で表示するもののみからなる商標
2 前項において「地域の名称」とは、自己若しくはその構成員が商標登録出願前から当該出願に係る商標の使用をしている商品の産地若しくは役務の提供の場所その他これらに準ずる程度に当該商品若しくは当該役務と密接な関連性を有すると認められる地域の名称又はその略称をいう。
3 第一項の場合における第三条第一項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)の規定の適用については、同項中「自己の」とあるのは、「自己又はその構成員の」とする。
4 第一項の規定により地域団体商標の商標登録を受けようとする者は、第五条第一項の商標登録出願において、商標登録出願人が組合等であることを証明する書面及びその商標登録出願に係る商標が第二項に規定する地域の名称を含むものであることを証明するため必要な書類を特許庁長官に提出しなければならない。

〔解説〕
・1項(主体的要件、客体的要件)
(1)主体的要件→出願人が組合等であること
(a)事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものは除く)
(b)当該特別の法律において、正当な理由がないのに、構成員たる資格を有する者の加入を拒み、又はその加入につき現在の構成員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならない旨の定めのあるものに限る。
 ある地域のある組合等が地域団体商標について商標権の設定の登録を受けた後、当該地域における事業者が事後的に当該組合等に加入して地域団体構成員として地域団体商標を使用できる途を確保するためである。
(c)商工会、商工会議所、特定非営利活動法人
(d)これに相当する外国の法人
(2)その構成員に使用をさせる商標であること
 地域団体商標の商標登録を受けようとする商標が、団体によって使用されており、その構成員に使用させないものである場合は、1項柱書の規定により登録を受けることができない。
(3)1号~3号のいずれかに該当する商標であること
 各号は、通常の商標登録出願をした場合には、3条1項3号で拒絶されるようなものを規定している。
 3号の産地に付される文字の例→「本場」「特産」「名産」
 3号の提供の場所に付される文字の例→「本場」
 3号の商品の産地又は役務の提供の場所を表示する際に付される文字とは認められないもの→「特選」「元祖」「本家」「特級」「高級」
(4)その商標が使用をされた結果自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること
(a)比較的低価格であり、日常的に消費されること等から、比較的広範囲の地域で販売され得る商品について(野菜、米、食肉、水産食品、加工食品等)
 需要者の範囲は比較的広範囲に及ぶと考えられるが、その地域が属する都道府県を越える程度の範囲における多数の需要者の間に広く認識されていれば足りる。
(b)高価であること等から、生産地では販売されず、主として大消費地で販売され尽くすような商品について(高額で市場取引される高級魚等)
 主たる需要者の範囲は大消費地等の大都市に限定されるなど、地域的な広がりが限定的と考えられる場合には、少なくとも販売地が属する一都道府県における多数の需要者の間に広く認識されていることを要する。
(c)主として生産地でのみ販売される地産地消の商品やその地でのみ提供される役務について(伝統野菜、消費期限が短い生菓子等)
 需要者の地域的な広がりは限定的と考えられることから、少なくともその地域が属する一都道府県における多数の需要者の間に広く認識されていることを要する。
(d)工芸品等の商品について(当該地域で生産される箪笥、壺)
 需要者の地域的な広がりは限定的と考えられることから、少なくとも地域が属する一都道府県における多数の需要者の間に広く認識されていることを要する。
(5)3条の規定(3条1項1号又は2号に係る場合を除く。)にかかわらず、地域団体商標の商標登録を受けることができる。
 地域団体商標の商標登録出願については、3条1項柱書、3条1項3号~6号、3条2項は、適用されない。
 3条1項1号又は2号に該当する場合は、地域団体商標は拒絶される。
 例えば、商標「さつまいも」は、商品「さつまいも」の普通名称である。

・2項(地域の名称)
(1)商標登録出願前から当該出願に係る商標の使用をしている→出願前から使用していなければ、地域の名称とは、認められない。出願後に使用を開始しても、地域の名称とは、認められない。
(2)1項各号の「地域の名称」には、現在の行政区画単位の地名ばかりでなく、旧地名、旧国名、河川名、山岳名、海域名等も含まれる。
(3)「商品の産地」
(a)農産物については、当該商品が生産された地域
(b)海産物については、当該商品が水揚げ又は漁獲された地域
(c)工芸品については、当該商品の主要な生産工程が行われた地域
(4)「役務の提供の場所」
 温泉における入浴施設の提供については、温泉が存在する地域
(5)「密接な関連性を有すると認められる地域」
(a)原材料の産地が重要性を有する加工品については、その加工品の主要原材料が生産等された地域が1項に該当する。
 「そばのめん」について、原材料「そばの実」の産地
(b)製法の由来地が重要性を有する工芸品については、当該商品の重要な製法が発祥し由来することとなった地域が1項に該当する。
 「織物」について、伝統的製法の由来地

・3項(3条1項1号又は2号)
 構成員のみが使用している場合には、3項の規定が存在しないと、3条1項1号又は2号を適用することができない。そこで、構成員のみが使用する商標であっても、3条1項1号又は2号に該当するときは、3項の読み替えによって、拒絶できるようにした。

・4項(方式要件)
 補正命令に応じない場合→商標登録出願の却下(準特18条)
 補正命令を受けないで商標登録がされた場合→7条の2第1項違反の無効理由となり得る。

2019年5月21日 弁理士試験 代々木塾 特134条の2の解説

2019-05-21 13:22:44 | 日記
2019年5月21日 弁理士試験 代々木塾 特134条の2の解説

(特許無効審判における訂正の請求)第百三十四条の二
1 特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。
 ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。
一 特許請求の範囲の減縮
二 誤記又は誤訳の訂正
三 明瞭でない記載の釈明
四 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。
2 二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。
 ただし、特許無効審判が請求項ごとに請求された場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。
3 前項の場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。
4 審判長は、第一項の訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。
5 審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
 この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
6 第一項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。
7 第一項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の五第二項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。
 この場合において、第一項の訂正の請求を第二項又は第三項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。
8 第百五十五条第三項の規定により特許無効審判の請求が請求項ごとに取り下げられたときは、第一項の訂正の請求は、当該請求項ごとに取り下げられたものとみなし、特許無効審判の審判事件に係る全ての請求が取り下げられたときは、当該審判事件に係る同項の訂正の請求は、全て取り下げられたものとみなす。
9 第百二十六条第四項から第八項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項、第三項及び第四項、第百三十一条の二第一項、第百三十二条第三項及び第四項並びに第百三十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第七項中「第一項ただし書第一号又は第二号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第一項ただし書第一号又は第二号」と読み替えるものとする。

〔解説〕
・1項(訂正の請求)
(1)特許無効審判が請求されたときは、無効理由を解消するために、所定の時期(新たな攻撃を受けたとき)に訂正の請求を認めることとした。
(2)訂正の請求ができる時期は、下記の5通りである。
(a)前条第一項→134条1項の答弁書提出期間内
(b)前条第二項→134条2項の答弁書提出期間内
(c)次条→134条の3の指定期間内
(d)第百五十三条第二項→職権無効理由通知に対する意見書提出期間内
(e)第百六十四条の二第二項→審決の予告を受けたときの指定期間内

・2項(請求項ごとに訂正の請求)
 訂正の請求は、請求項ごとにできるが、特許無効審判が請求項ごとにされた場合には、訂正の請求は、請求項ごとにしなければならない。請求項ごとに可分的な取扱いとするためである。

・3項(一群の請求項ごとに訂正の請求)126条3項と同趣旨
 一群の請求項に含まれる請求項を訂正するときは、一群の請求項ごとに訂正の請求をしなければならない。特許請求の範囲の一覧性を確保するためである。

・4項(副本の送達)
 請求人に、訂正の要件について反論の機会を与えるためである。

・5項(職権訂正拒絶理由通知)
 訂正の請求について請求人が反論しなかったときは、審判官は職権で訂正の要件を満たすかどうかについて審理し、訂正の要件を満たさないと判断したときは、審判長が職権で訂正の拒絶理由の通知をすることができる。

・6項(先の訂正の請求のみなし取下げ)
 訂正の請求は、訂正の要件を満たす限り、複数回することができる。特許無効審判の請求書の副本の送達を受けたときは、特許権者は、答弁書提出期間内に訂正の請求をすることができる(134条1項、134条の2第1項)。その後、審判の請求人が請求書の請求の理由について要旨を変更する補正をした場合において審判長により補正が許可されたときは、手続補正書の副本が特許権者に送達されるが、特許権者は、答弁書提出期間内に再度の訂正の請求をすることができる(134条2項、134条の2第1項)。後の訂正の請求が先の訂正の請求と矛盾する場合には、訂正の請求の趣旨の解釈が問題となるが、特許権者の意思を最も良く反映しているのは後の訂正の請求であることから、先の訂正の請求が取下げとみなされる旨を明定し、手続の繁雑さを回避することとした。

・7項(訂正の請求の取下げ)
(1)訂正の請求の取下げは、特許無効審判の審理対象を変更する点において、訂正に係る明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(17条の5第2項)と共通しており、訂正の請求の取下げと補正の時期的制限をそろえたものである。
(2)訂正の請求の一部取下げを認めないこととしたのは、かりに認めたとすれば、明細書等の一覧性を確保するという規定の趣旨に反する場合があり、取下げ後の訂正内容を把握するために、取下書や訂正前の明細書等を参照する必要が生じるなどの問題を生じることになるからである。

・8項(特許無効審判の請求の取下げと訂正の請求のみなし取下げ)
 例えば、請求項1~3が一群の請求項である場合において特許無効審判の請求が請求項1~3について請求項ごとにされた。被請求人は、請求項1~3について一群の請求項ごとに訂正の請求をした。その後、請求人が請求項1のみについて特許無効審判の請求を取り下げた。この場合は、請求項1に係る訂正の請求はみなし取下げとなるが、請求項2と請求項3に係る訂正の請求はみなし取下げとなならない。特許権者の防御の機会を奪うのは適切でないからである。この場合は、請求項2と請求項3の訂正が認められる場合があり、特許請求の範囲の一覧性が確保できないこととなる。

・9項(訂正審判の規定の準用)
(1)126条7項の準用→特許無効審判の請求がされている請求項について特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正をしたときは、独立特許要件は、訂正の要件から除くこととした。訂正の要件の審理と無効理由の審理において二度も独立特許要件を審理することは、二重の審理となるからである。特許無効審判の請求がされていない請求項についても訂正の請求ができるが、この場合は、独立特許要件を訂正の要件として審理することとなる。
(2)133条1項、3項、4項の準用→訂正の請求書について補正命令がされ、補正命令に応じないときは、審判長は決定をもった訂正の請求書を却下する。


2019年5月20日 弁理士試験 代々木塾 特許法68条の解説

2019-05-20 17:14:54 | 日記
2019年5月20日 弁理士試験 代々木塾 特許法68条の解説

(特許権の効力)第六十八条
 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。
 ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

〔解説〕
・本文(特許権は特許発明を独占排他的に実施し得る権利)
(1)業として→個人的、家庭的な実施を除き、広く事業としての意味である。
(2)専有する→独占排他的に実施できることを意味する。
(3)最高裁平成9年7月1日判決(BBS事件、国内消尽)
 特許権者又は実施権者が日本国内において特許製品を譲渡した場合には、当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し、もはや特許権の効力は、当該特許製品を使用し、譲渡し又は貸し渡す行為等には及ばない。特許権者は、特許製品を自ら譲渡するに当たって特許発明の公開の対価を含めた譲渡代金を取得し、特許発明の実施を許諾するに当たって実施料を取得するのであるから、特許発明の公開の代償を確保する機会は保障されているものということができ、特許権者又は実施権者から譲渡された特許製品について、特許権者が流通過程において二重に利得を得ることを認める必要性は存在しないからである。
(4)最高裁平成9年7月1日判決(BBS事件、並行輸入)
 日本国の特許権者又はこれと同視し得る者(子会社又は関連会社等)が国外において特許製品を譲渡した場合においては、特許権者は、譲受人に対しては、当該製品について販売先ないし使用地域から日本国を除外する旨を譲受人との間で合意した場合を除き、譲受人から特許製品を譲り受けた第三者及びその後の転得者に対しては、譲受人との間でその旨を合意した上特許製品にこれを明確に表示した場合を除いて、当該製品について日本国において特許権を行使することは許されない。すなわち、特許製品を国外において譲渡した場合に、その後に当該製品が日本国に輸入されることが当然に予想されることに照らせば、特許権者が留保を付さないまま特許製品を国外において譲渡した場合には、譲受人及びその後の転得者に対して、日本国において譲渡人の有する特許権の制限を受けないで当該製品を支配する権利を黙示的に授与したものと解すべきである。

・ただし書(専用実施権を設定した場合は特許権の積極的効力が制限)
(1)専用実施権を設定した範囲内では、特許権者は業として特許発明を実施できず、他人に通常実施権の許諾ができない。
(2)最高裁平成17年6月17日判決(特許権者の差止請求)
 特許権者は、その特許権について専用実施権を設定したときであっても、当該特許権に基づく差止請求権を行使することができる。専用実施権の設定契約において専用実施権者の売上げに基づいて実施料の額を定めるものとされているような場合には、特許権者には、実施料収入の確保という観点から、特許権の侵害を除去すべき現実的な利益があるからである。
(3)特許権者の損害賠償請求
 102条1項~3項は、専用実施権者に適用され、特許権者には適用されない。
 専用実施権者の売り上げが減退して特許権者が受け取る実施料が減少した場合は、実施料の減少分は、特許権者の損害に該当し、特許権者は、民法709条により侵害者に対し損害賠償請求ができる。この損害賠償請求は、102条3項の実施料相当額の請求ではない。