どちらも長い間ソフト化されなかった作品だったという。
いくつかのシーンだけYouTubeにアップされていたことはあったが、NETFLIXに「仁義なき戦い」があって、関連作品でこの二作も紹介されていたので、続けて見てみる事に。
まず初めて観た「仁義なき戦い」の方はあのチャラーン♬という有名なテーマ曲が、どのように使われるのか興味があったのだけれど、人が殺される度にチャラーン♬と流れていて、最近のバラエティ番組で恐い人が出ると頻繁に使われるような使い方をしていて、さらに全編ドタバタと裏切りだ殺し合いだとなんというか落ち着きのない映画と言ったら良いか…今でも評価が高いのが不思議な気がする。
対してこちらは山口組三代目組長となった田岡一雄の自伝的映画で、奇しくも仁義なき戦いが1973年1月公開、山口組〜の方は同年8月公開なのだが、「山口組三代目」が仁義〜よりも上回るヒットを飛ばしたにも関わらず、最近までというか今もあまり話題になっていない作品である。
公開当時は暴力団とその幹部を礼賛する内容だとして、全国防犯協会から上映反対の声が上ったそうだが、東映はそれを製作を強行、上映となったようだ。
2本続けて観た感想としては、映画としてはテンポも良く登場人物も面白くて内容も引き込まれるものがあって、私としては仁義〜よりずっと面白い映画だと思った。
これがなかなか認められなかったというか、話題に出せない大人の事情というのが、暴力団の美化・礼賛というのもさることながら、映画の中で重要だった第三国人(朝鮮人、台湾人)の扱いだったようで、終戦後に朝鮮は連合国から戦勝国扱いされたことにより、日本国内で略奪、襲撃、不法賭博という残虐非道に朝鮮人を「三代目襲名」で描かれている事にあったようだ。
面白いのは「仁義なき戦い」の主演をした菅原文太が、「山口組三代目」に高倉健演じる田岡一雄の舎弟分として出演し、最後には刀で切られてしまう。菅原文太と高倉健が共演するという作品があったのには驚いたし、田中邦衛が仁義〜、山口組〜、三代目〜の三作に出演している事も。
特に「山口組三代目」では健さん演じる田岡が組に入った時に色々面倒をみる役柄だったのが、続編である「三代目襲名」では田岡に刑務所で世話をしてもらった朝鮮人役というのが不思議なところだ。
1973(昭和48)年にこんな映画が上映されていたとは。もしこれが現代に劇場で公開されようとしたらとんでもない反対運動が起こるのは違いないだろう。
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