華氏451度

我々は自らの感性と思想の砦である言葉を権力に奪われ続けている。言葉を奪い返そう!! コメント・TB大歓迎。

緊急「都教委への要請署名」呼びかけられています

2006-10-02 22:50:57 | お知らせ・報告など

 もう既に御存知だろうか。kuronekoさんのブログに「東京都教育委員会に対する緊急要請への賛同署名のお願い」が載せられたことを、ハムニダ薫さん喜八さんkuroi-mazinさんkaetzchenさんからのTBで知った。明日締め切りなので、取り急ぎお知らせを。

 kuronekoさんのブログの記事を、コピーさせていただく。皆さん、石原都政に抗議の声をあげる都民を応援してください。

◇◇◇以下、コピー◇◇◇

東京都教育委員会に対する緊急要請への賛同のお願い
                        
突然のお願いをさせていただきます。私たちはこのたび、東京都教育委員会に対し、後掲のような緊急要請を行うことにしました。この要請にご賛同いただける方は、お名前、所属を添えて、次のいずれかへE・メールでお知らせ下さるよう、お願いいた
します。賛同署名の期限は10月3日(火)22時とさせていただきます。
  shomei@zendaikyo.or.jp
  kinkyushomei@yahoo.co.jp

呼びかけ人

石田米子(岡山大学名誉教授)  大西 広(全国大学高専教職員組合委員長)   勝野正章(東京大学教員)  小森陽一(東京大学教員)   近藤義臣(群馬大学教員)  斎藤貴男(ジャーナリスト)  酒井はるみ(茨城大学教員)  志水紀代子(追手門学院大学教員)   醍醐 聰(東京大学教員)  俵 義文(子どもと教科書全国ネット21事務局長)   浪本勝年(立正大学教員)   成嶋隆(新潟大学教員)     早川弘道(早稲田大学教員)    堀尾輝久(東京大学名誉教授)

   2006年10月●日

東京都教育委員会 御中  

東京地裁判決(9月21日)を踏まえた緊急の要請書

 東京地方裁判所(難波孝一裁判長)は、2006年9月21日、東京都立高校などの教職員らが、東京都教育委員会を相手取った訴訟で、国旗掲揚の際の起立や国歌斉唱の義務がないことを認め、東京都教育委員会の通達や校長の命令に従わなかったことを理由に教職員を懲戒処分をしてはならない、という主旨の判決を言い渡しました。
 この判決は、憲法第19条と教育基本法第10条に基づく、二つの重要な法的判断を行っています。
 一つは憲法19条に基づく判断で、判決は、「起立したくない教職員、斉唱したくない教職員、ピアノ伴奏したくない教職員に対し、懲戒処分をしてまで起立させ、斉唱させることは、いわば少数者の思想良心の自由を侵害し、行過ぎた措置である」と判示しました。つまり、東京都教育委員会の「10.23通達」とそれに基づく校長による職務命令、そして懲戒処分という、行政が行なってきた一連の行為は、思想・良心の自由を保障した憲法19条に違反すると明確に判断したわけです。
 もう一つは、教育基本法第10条に基づく判断です。判決は、国旗・国歌は国民に対し強制するのではなく、自然のうちに国民の間に定着させるというのが国旗・国歌法の趣旨であると判断しました。そのうえで判決は、最高裁学力テスト判決で示された
憲法・教育基本法解釈に従って、「10.23通達」に始まる東京都教育行政による、逸脱を許さない国旗・国歌強制施策は教育基本法10条に違反する(不当な支配」に該当する)と認定しました。
 ところが、東京都と都教育委員会は9月29日、この東京地裁判決の受け入れを拒み、東京高裁に控訴しました。これに先立ち、石原慎太郎東京都知事は9月22日の記者会見で、「当然控訴します」と開き直り、控訴の理由として、「通達に従って、指導要領で指示されていることを先生が行わない限り、それは義務を怠ったことになるから」「処分を受けて当たり前」と発言しました。
 しかし、判決はそもそも東京都教育委員会の通達も、それに基づく校長の職務命令も違憲・違法と判断したわけですから、教職員にはそれらに従う義務がないことは明らかです。この意味で石原都知事の発言は完全に論理破綻をしています。私たちは東京都と都教育委員会がこのように正当な理由を示せないまま行った控訴に抗議しすみやかに東京地裁判決に従うよう、強く求めるものです。

以上のことをふまえ、私たちは東京都教育委員会に対し次の3点を要請します。

1)今回の東京地裁判決に基づき、「10・23通達」をはじめ、国旗・国歌強制をめぐ
る、すべての通達とそれに基づくすべての職務命令をただちに撤回すること。
2)前記の諸通達と職務命令に違反したとしてなされた、すべての懲戒処分を取り消すこと。
3)今回の東京地裁判決の重みを真摯に受け止め、教員の思想・良心の自由を保障し、児童・生徒とともにのびのび学べる教育環境づくりを進めること。      

以 上

◇◇◇コピー終わり◇◇◇

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「美しい日本語」を殺すな――上滑りな言葉たち(序)

2006-10-01 23:04:49 | 本の話/言葉の問題


〈ものを考えるときのスタイル〉

 皆さんは、何をしながらものを考えますか。いや、むろん「ものを考えるときはじっと座って宙を睨んで」という人もおられるだろうが、沈思黙考型は意外に少ないのではないか。少なくとも私の周囲にはあまりおらず、たいていは「何かしながら」である。数から言えば「散歩しながら考える」という人間と、「手を動かしながら考える」という人間が多い(要するに足か手かどちらかを動かしている、ということだな)。後者はたとえば、楽器をいじりながらとか、細工物をしながらとか、いたずら描きをしながらとか。変わったところでは、ジクソーパズルをしながらとか。ひとり、皿洗いしながら考えるのがベスト――というのもいる(ちなみにその友人は、うちに遊びに来ると必ず食器を全部洗ってくれる。なかなか便利な習性である)。あ、「ハサミでその辺の紙を細かく切りながら」というのもいた。これはあまり他人にとって役に立たない。

 どうやら端座して(座禅組んで、でもいいですが)よりも、何かをしながらの方がモノは考えやすいのかも知れない。よほど「モノを考える」ことが身についている人以外は、何かしらBGMかお囃子、と言うか空気の揺れ動きがあった方が頭が解き放たれるのだろう。

 私の場合、仕事上の資料をどんなふうに整理しようかとか、気の重い手紙にどう返事しようか等々、主題?が明確で目的や到達点がほぼ見えている時は「歩きながら」が多い。散歩もするし(ちなみに真夜中の散歩が趣味でもある)、狭い家の中を動物園の檻に入った動物みたいにぐるぐる歩き回ることもある。だが、何かを漠然と考え、思考をあちこちに飛ばすには、「字を読む」のが一番だ。


〈文字と私〉

 私は本を読むのが好きで――というより字を読むのが好きで、コーヒーでも飲みながら何か読んでいれば幸せ気分になる型の人間である(内容を理解できたかどうか、きちんと頭に入ったかどうかは別の話。わかっていない方が多いかも知れない。まあ、一種の病気です)。ほかにやることがない時に手元に読むものがない事態に耐えられず、そんな時は近くにあるものを手当たり次第読んでしまう。誰かが置き忘れたらしい週刊誌や新聞、などは序の口。先日は病院の待合室で読むものが切れ、気がつくと掲示板の前に立ってボンヤリと「乳児健診のお知らせ」「糖尿病患者の会のお知らせ」などという自分とは縁もゆかりもない貼り紙を読んでいた。電車で隣に座った学生さんが開いている教科書か何かを、ほとんど無意識のうちに横目でチラチラ読み始めてしまい、学生さんに気持ち悪そうな目で見られたこともある(さすがに私もシマッタと思ったが、言い訳するのも余計に変。降りる予定の所でもないのに、こそこそと次の駅で降りてしまった……)。

 読んだものが、頭に入らないことの方が多い――のはむろん私の理解力と関係あるのだが、ひとつは私にとって、文字を読むのは自分の頭の中を整えるための準備運動、という意味合いがあるからだろう。文字を追いながら、その文字列とは直接関係ない何やかやをあれこれと考えていることも多いのである。

 ぼーっと字を追っているうちに、次第次第に「言葉を用いて何かを考える」世界が整えられていく。さらにその世界が守られ続ける。


〈粗雑な言葉への嫌悪〉

 そんなわけだから、ある意味で「読むものは何でもいい」とは言える。だが「何か音楽が流れていないと、どうもモノを考えにくくて」という人がおられればわかると思うが、そういう人にとって最悪の場合は何でもいいだろうけれども、できれば好きな音楽の方がモノは考えやすいに違いない。

 私が言葉に妙ちきりんなほどこだわりを持つのは、粗雑な言葉は――線路に置かれた石や道の真ん中の水たまりや、カメラのレンズにべったりついた指紋や、口に入れた途端にジャリッというアサリの砂のように――私が凝縮しようとしている世界にヒビを入れ、モノを考えようとする時の邪魔をするからである。

 最近はその粗雑な言葉が世の中を席捲し、私の神経をささくれ立たせる。……実はその「言葉たち」のことを愚痴るつもりで書き始めたのだが、前置きが長くなったので本論は明日。タイトル見ればテーマはだいたいおわかりと思うので(苦笑)わさわざ書く必要ない、てなものですが、まあ多分、書くと思います……。
  

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