華氏451度

我々は自らの感性と思想の砦である言葉を権力に奪われ続けている。言葉を奪い返そう!! コメント・TB大歓迎。

2006年が始まった――吹きくる風が私に問う

2006-01-01 05:58:36 | 雑感(貧しけれども思索の道程)



年が明けた。ずうずうしい飼い猫の顔を見ながら、「新年だとよ」と呟いてみる。

正月は、冥土への旅の一里塚……だそうである。だから「めでたくもあり、めでたくもなし」。個人的にはあまりめでたいともめでたくないとも思ったことはない。かなり確信犯的な無神論者なので、初詣も行ったことがない。

だが正月には、確実に時が刻まれていることを思い知らせるという意味はあるかも知れない。

「おまえは何をしてきたのだと、吹きくる風が私に問う。してきたことの総和が襲いかかるとき、おまえも少しは血を流すか」と謡った詩人がいた。少しずつ少しずつ年を重ねるにつれて、私の耳にも「おまえは何をしてきたのだ」と問う風の声が間近くなりまさる。

まだ夜は明けない(現実の世界でも。窓の外はまだ漆黒の闇)。しかし夜明け前に、夜は最も暗いのだという言葉を私はまだ心の片隅で信じている。

知らない顔をして自分だけ巧く立ち回っていれば、平穏無事にすむというわけはない。救ってくれる誰か、がいるわけではない。ゴドーを待ちながら「立ち上がらなかった」二人には、永遠に明日は訪れなかった。だから私たちは……いや、私は。深い闇の向こうに明日を掴むために重い腰を上げ、闇を通して明日を垣間見ようとする。

今年こそは明日の片鱗を垣間見ることができますように。……
コメント (8)
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