華氏451度

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国民の大多数が「改憲」を望んでいるか?

2007-03-14 23:42:00 | ムルのコーナー

 野良猫のムルと華氏宅居候のトマシーナの、相も変わらぬ会話を立ち聞きしてみた。

トマ:ねえ兄貴、人間の世界では「こくみんとうひょうほうあん」とかいうものが騒がれてるみたいだね。

ムル:ああ、あれか。おまえも最近、結構「しゃかいもんだい」の話をするようになったなあ。

トマ:僕、ひとつ疑問なんだけどさ。憲法って、変えちゃいけないものなの?

ムル:そんなこたぁねえだろ。憲法だって人間が作った法律なんだからさ、未来永劫、絶対変えちゃいけないなんてことはあり得ねぇよ。

トマ:じゃあ、変える方法を決めておいたって別にかまわないんじゃない?

ムル:基本的にはね。ただ、いま人間の世界で出されている国民投票法案てやつは問題が多いのさ。

トマ:問題って、どんな?

ムル:細かく言やぁいろいろあるけど、おいらの見るところ、「憲法を簡単に変えられるようになる」ということだろうな。それについては、もう大勢の人が書いてるぜ。たとえばもう1週間ぐらい前だけど、お玉さんて人が「有権者の2割の意見で改憲されたらどうする?」って訴えてたぜ。

トマ:え? 国民投票法案って、2割の人が賛成したら変えてもいいっていう法律案なの?

ムル:まさか、そんな露骨じゃあねぇさ。ただ、自民党案ってやつは有効投票(白紙や無効票を除いたもの)の過半数でOKってことになってるんだ。しかも最低投票率の規定もないからね。投票率が低かったりすると、それこそ全有権者の20%ぐらいの賛成で憲法が変わるかも知れないという話さ。いや、20%以下で変わることだってあり得るな。

トマ:有効投票の過半数って、随分乱暴な気がするなあ。

ムル:だろ? 憲法ってやつはさ、その国の基本的な姿というのかな、方針というのかな、こういうふうにやっていきましょう、という一番根っこの部分を決めた法律なんだぜ。おいらは「変えちゃいけないわけじゃない」と言ったけど、でもさ、細かい法律みたいにひょいひょい変えるもんでもないだろうよ。

トマ:基本的な方針て……学校でいうと「建学の精神」みたいなもの?

ムル:うーん、少し違うけど、まあ似たような感じだと思ってもいいかもな。個人でも集団でもいいけどさ、こんなふうにやっていきたい、という「基本的な方針」があるわけじゃん。おいら達だって、あるだろ。

トマ:兄貴の場合は「ご意見無用の一匹狼、じゃなかった、一匹ノラネコとして生きる!」ってやつだね?

ムル:やかましい! そんなこたぁどうでもいいのっ。ともかくさあ、その方針は絶対変えちゃいけないわけじゃねぇけど、変えるのは「よっぽどの時」なわけさ。

トマ:憲法を変えるっていうのは、個人の場合で言うと生き方とか人生観とかを変えるようなものなんだね。

ムル:うん、まぁそう思っても間違いじゃないだろ。ともかくさ、そういう基本原則、根っこの部分にかかわる法律だから、変えるとしたら「よほどの場合」だけだとおいらは思う。その憲法のおかげでひどい目に遭ってる人達がいて、国民の大多数が「こんな憲法は嫌だ」と悲鳴を上げた時、とかさ。それから、国の体制が変わった時――天皇制がなくなったとか、クーデターが起きて軍事独裁政権が出来た時なんかも、憲法は変わるだろうけど。

トマ:今の憲法を、日本の人達は「不都合な憲法」だと思っているのかしらん。

ムル:思っている人もいるだろ。でも大多数が――じゃあないと、おいらは思うな。だから、「有効投票の過半数」なんてギョッとするような国民投票法を作ろうとしているのさ。そう言えばあの法案、「壊憲手続き簡略化法案」とも言うらしいぜ。

トマ:きゃは、ケッサクだねッ。でも、有効投票数じゃなくて、投票総数の過半数でも、やっぱりおかしいよね。投票率50%だったら、その投票総数の半分と言えば有権者のたった25%じゃないの。

ムル:そうそう。投票率50%だったら、有権者のだいたい4人に1人の賛成で「改憲案」が通るわけさ。「20%=5人に1人」よりはマシかも知んないけど、「国民の総意」じゃあねえよな、どう考えても。おいらはもしも憲法を変えるなら、投票率とは関係なく、「全有権者」の少なくとも3分の2、本当のところは4分の3ぐらいの賛成が必要だと思う。あ、この話は前にもしたことがあったかもな。

トマ:全有権者の3分の2の賛成がないと変えられないとしたら、投票率が60%ぐらいだったら、もうそれだけで「改憲不可」だよね。投票した人が全員賛成だったとしても、憲法は変えられない。条件が厳しすぎる、っていう人もいるんじゃないかなあ。

ムル:おい、トマ。おまえ何聞いてたんだよ。国がその「生き方」を変えようってんだぜ? どんなに厳しくしたって、厳しすぎることはねぇよ。憲法を変えるとか変えないとかいう大切な問題については、「主権者」の国民全員がちゃんと考えて答えを出すべきなんだぜ。与党はそんなこと、させたくないのさ。いや、与党だけじゃない。国民投票法案については民主党も同罪だな。民主党の案だって、「憲法を変えやすい」案であることは間違いねぇや。この法案が通ってみろ、憲法はその時の政府の意向でころころ変わる可能性が出てくるぜ。ごく普通のジョーシキ持った国民なら、危なっかしいと思うのが当たり前じゃねぇのかなあ。

トマ:それにしても、今の内閣はほんと、法案通すのをすごく急いでるみたいだね。なぜそんなに急ぐんだろ。

ムル:まあ、自民党はずーっと「改憲」したがってたし、特に今の総理大臣は「任期中に改憲する」とかって、しょうもないこと言ってる男だしな。ほかにやることが山積みだろうにさ。ともかく、その「急いでる」というところが、国民投票法案のもう一つの問題点つうか、危ない点だろうなあ。改憲推進派っていうのかな、憲法変えたいと言ってる連中は、「憲法を神聖なもののように祭り上げるべきではない。議論すべきだ」とよく言うけどさ、彼らの言う「議論」てのは、「変えた方がいいよね、の話」にしか過ぎないんだ。「憲法を守るべきか、変えた方がいいのか」という議論をしちゃいけない、なんてことはあり得ない。もっともっと大勢が憲法のことを知り、真面目に議論した方がいいに決まってる。でも本当はそれをされたくないのさ、改憲したい連中はね。

トマ:ふうん……。「庶民は何も知らなくてよろしい」ってわけかぁ。国民投票法案のことも、きっと細かく分析されたり議論されたくないんだね。……ハ、ハックショーン!

ムル:お、おい。おまえ風邪ひいたのかよ。

トマ:うん、華氏の風邪がうつったみたい……。

ムル:「ナントカは風邪ひかない」って猫仲間の長老が言ってたけど、嘘八百だったみたいだな……。あ、おまえのことじゃねぇよ、そう睨むなってぱ。

◇◇◇◇◇

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10%の賛成でも! (布引洋)
2007-03-15 11:34:03
今自民党の考えている方法なら20%ではなく10%でも可能です。
例えば総選挙の時に行なわれる最高裁判官国民審査のように、用紙に正確に反対と書き入れない限り、全部信任票とすれば10%程度の賛成で80%の賛成票を偽装できます。
選挙のドサクサに紛れて最高裁判官国民審査方式で国民投票をすれば、まんまとしてやられるかも知れません。
Unknown (華氏451度)
2007-03-15 22:40:08
布引さん、いつもありがとうございます。本当にそうですね、おっしゃる通り10%賛成で改憲、もあり得るのです。今の自民党法案が通るならば。

私は国民の大多数が「本当に」「自民党が考えているような改憲を是とする」なら、それも仕方ないとは思います(そうなったら、真面目に日本脱出を考えますが……)。ただ、政府に都合のいい情報だけ与えられ、何となく口当たりのいい言葉にゴマカされた形で「賛成多数」になることは何としても阻止したい。

ましてや、「大多数が賛成」でもないのにイケイケで改憲されてしまうなど、とんでもないことです。(現在、改憲に断固反対という意見が大半であるかどうかはわかりません。割合から言えば半数に達していないかも知れませんが、同時に断固賛成という割合だって、それほど多いわけではないでしょう。よくわからないとか、もっとよく考えてみたい、という人が結構多いのではないでしょうか)

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