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チョウ・トンボ・野鳥に親しむ

昆虫・野鳥老人の原点-スズムシ、コシアカツバメ、アサギマダラ

 私は小学校3~5年にかけて、父の仕事の関係で、高知県の四万十川源流点に近い標高500m程の山合地に住んだことがある。私は、それまで病弱であったが、その地の豊かな自然ときれいな空気に恵まれ、みるみる健康を回復した。
 ある秋の夜、庭で虫の美しい鳴き声がするのに気付き、懐中電灯と自分の耳を頼りに探し当てたのがスズムシであった。翅をすり合わせて清々しい音を出す様子、仕組みの素晴らしさに、感動したものであった。
 また山合の狭い田の上を飛ぶツバメの腰が赤いのを見つけ、それまで住んでいた海に近い所では見たことが無かったので驚いたものであった。さらに巣の形が徳利のようで、ツバメのお椀型と違うのを知って、さらに驚いたものであった。図鑑で調べ、コシアカツバメと知った。
 同じ頃、アサギマダラに出会った。鱗粉の少ない半透明の水色(浅葱色)の翅でふわふわと飛ぶ姿に大いに胸躍った。渡りをすることを知って、こんな弱弱しく見える翅で、よく2,000km近い渡りができるものだ、北風に乗るのがよほどうまいのだなどと想像した。その頃、使っていた三省堂の原色昆虫図譜に載っていた、ギフチョウ、オオムラサキの美しさにも惹かれ、何時か見てみたいものだと思っていた。これらの出会いが、私の昆虫少年、野鳥少年、ひいては現在の昆虫・野鳥老人の原点となった。
 石川県に来て、ギフチョウ(3月28日投稿)はごく当たり前に見られることを知ったし、オオムラサキ(7月3日投稿)も生存していることを見つけ、感動し、新聞にも投稿した。少年の時の願いを老人になって満たすことができた。
  桜を楽しむギフチョウ
   石川県のオオムラサキ

 ヒガンバナや萩が咲き、秋が深まり、うろこ雲とともに、綺麗な夕焼けが見られ、庭ではアオマツムシ(9月3日投稿)の鳴き声が喧しい。

    窓から見る夕焼け

 3日前の夜、外に出ると、アオマツムシの鳴き声に混ざって、か細く聞こえるが、澄んだよく通る鳴き声を認めた。昆虫少年の心が蘇り、懐中電灯、耳を頼りにスズムシを見つけることができた。大人になってからも飼育したりしてはいたが、野生のスズムシを見つけたのは、数十年以上ぶりで大いに感動し、少年に返った気もした。
  家の近くで見つけたスズムシ

 先日、富山県の入善地区で、海鳥を探すのに失敗し、ふと立ち寄った発電の風車があるところで、草原を飛んでいるツバメの群れを見つけ、コシアカツバメだと直感した。










海原、近くの草原を飛ぶコシアカツバメ

 長い尾羽の燕尾が見事である。

腰の茶色、燕尾が目立つコシアカツバメ

 山の方に居るものと思い込んでいたが、海岸に近い田の上を飛んでいるのを発見し、驚きの念を禁じえなかった。家に帰って、図鑑を調べると、海岸から開けた市街地、農耕地で見られるとある。私の経験が、むしろ特殊であったと今になって気づいた。
 海岸ではコサギも見つけた。コサギは普段田の周辺に居るが、最近少なくなった、何処に行ったのだろうと思っていたが、この時期は海でも餌を摂ることが分かった。

     海岸のコサギ

 瀬女で、オオルリボシヤンマの生息地を見つけた。湧き水で懸命に生きている姿が感動的であった。

 産卵行動をするオオルリボシヤンマ

 近くで、アサギマダラを一匹見つけ心躍らせた。

 高い人気にあやかって、瀬女では、アサギマダラの里が開設された。

  マーキングされたアサギマダラ

 アサギマダラがまるで大きな花のようにフジバカマに群れていた。手軽に見られる分、魅力が減り、やっと見つけた時の感動が無くなった気がする。
 フジバカマに群れるアサギマダラ

 かえって、メスグロヒョウモンを1匹だけ見つけたことが感動的だった。
フジバカマを訪れたメスグロヒョウモン

 老人になっても、少年のような柔らかい心と感動を憶える心を持たねばと、改めて思った。


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